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モトヤフ宮崎さんインタビュー


事務局:宮崎さんのフルネームを教えてください。
宮崎:宮崎豊久です。


事務局:今はどちらにお住まいですか。
宮崎:千葉県の外房の一宮町というところに住んでいます。その前は同じ外房地区の大網白里市に住んでいました。


事務局:ヤフーに在籍されていたのはいつ頃でしたか。
宮崎:2004年から2007年にヤフーに在籍しておりました。


事務局:ヤフーに入ったきっかけやお仕事はどんな内容でしたか。
宮崎:それまでは米国のフィルタリング会社の日本支社「サーフモンキーアジア社」に勤務していたのですが、その会社をヤフーが買収したためヤフーにジョインすることになりました。

そして入社後はフィルタリングデータ部門の責任者としてフィルタリングサービス(あんしんネット)の開発普及を推進しました。 


事務局:元々インターネット業界にお勤めだったのですか。
宮崎:いえ、大学を卒業後に最初は石川県の建設会社に就職しました。退職後、留学のため、イギリスに移住しました。

しかし数年後に病気になり、入院や通院を繰り返していて、他にやることがなく、ホームページを始めたのが1998年の終わりでした。当時はちょうど世界的にメールが使われ始めて、日本の友達から面白い画像が送られてきたので、その画像を展示したサイトでした。このサイト(月間平均2万アクセスくらい。最大では5万アクセスくらい)は、当時の高校生に人気が出てきて、メールをたくさんいただきました。


最初は面白かった!という内容でしたが、メール交換を重ねると、学校であった出来事や、辛かったことを話してくれるようになりました。当時から、自殺者募集の掲示板なども存在しており、彼らの中にも利用者がいました。

また、出会い系サイトのようなもので出会って性被害に逢う子どももたちもいました。しかし、彼らはいわゆるハイリスク者ではなくて、普通というより、どちらかというと、とても勉強もできて、親の期待通りに過ごしている子どもも少なくはありませんでした。


親の前、先生の前、もっといえば、大人の前ではいい子でいる子どもたちは、自分たちの辛さを表に出せません。この子供達の根底に目を向けていくと、共通点が見つかり、誰でもその状況になりえる、集団全体のリスクに目を向けることが重要だとわかりました。

わたしも幼少期の辛い思い出がフラッシュバックしてPTSDになったので、当時の気持ちを振り返りながら、こうした彼らのお話を丁寧に聞いていました。こうした活動がきっかけとなり、アメリカのフィルタリング会社のsurfmonkey社CEOの目にとまりスカウトを受けて入社することになったのです。

事務局:現在のお勤め先はどちらですか。またどのようなお仕事をされていますか。
宮崎:ネットスター(株)で、インターネットポリシースペシャリストをやっています。具体的には、フィリタリングデータベース管理部門に勤務しており、青少年の携帯電話の普及による携帯キャリアのフィルタリングサービスのプロジェクトに参加しております。


また、行政等での子どものインターネット利用のアドバイザー等も務め、行政や教育関係機関などと協力し、インターネット時代の青少年問題課題解決の調査・研究や啓発活動を行っています。

具体的には、現職会社に入る前から思春期の青少年の課題解決をテーマにした講演を続けてきておりましたが、それを現職会社の活動の一部として続けている形となっています。

こうした講演は現在では新型コロナウイルスの影響で減少はしておりますが、以前は全国レベルで年間50回から100回程度行っておりました。


事務局:勤務先での活動以外にも様々なポジションで活動されているようですね。
宮崎:はい、例えば・横浜市学校課題解決支援専門家・日本思春期学会性教育認定講師・日本思春期学会思春期学研究認定者といった立場での活動も行っております。

以前は財団法人インターネット協会の主任研究員として、青少年のネット安全利用の調査・研究・啓発などを実施したり、警察庁の外郭団体であるインターネット・ホットラインセンターのシニアアナリストとして、ネット上の違法情報の調査・報告や、インターポール(国際刑事警察機構)をはじめとする海外機関の国際会議などでの、日本のインターネット犯罪の状況解説などにも参加していました。


事務局:書籍の執筆やメディアへの記事投稿等もされているのでしょうか。
宮崎:書籍としては「証言現代のポルノ被害と性暴力」 (共著) 東京都社会福祉協議会( 2009年)、「中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド」(共著) 日本評論社(2016年)、「事例解説 子どもをめぐる問題の基本と実務」 (共著)  青林書院(2017年)、

「季刊セクシュアリティ No.88 君たちは〈性〉をどう生きるか」(2018年)、「季刊セクシュアリティ No.93 SNSと性に向き合う」 (2019年)、「季刊セクシュアリティ No.100 今春発売予定」などがあります。また投稿記事も複数あります。更に最近では「とよさんコミュニケーションズ」というyoutubeチャンネルも始めております。


事務局:ところで、話は変わりますが学生時代に夢中だったことや現在もプライベートで打ち込んでいることや趣味はありますか。
宮崎:学生時代は車のレースに参加することに夢中でした。今は一宮町に住んでおり、敷地内の山の開拓とか造園に熱中しているところです。

それとフルリモートワークに移行してから一日2食のサイクルとなったこともあり15キロも痩せました。また、今までは理論で子育てや思春期の課題を講演等で伝えてきましたが、今は自分が親となったこともあり、自分の子供を育てることで、毎日がその実践になっていて、ライフワークそのものになっています。

事務局:コロナが日本中で蔓延してからはフルリモートに移行した多くのサラリーマンが地方移住する傾向があるようです。

そうした点では宮崎さんはある意味時代を先取りした形で、千葉の外房に早くから住まわれて通勤や出張をされていたことになりますね。ところでそれ以前にはどんなところに住んでおられましたか。
宮崎:ざっと挙げると、横浜市、杉並区、石川県、オックスフォード、ボストン、ロサンゼルス、ロンドン、千葉県と言ったところですね。


事務局:ヤフーで学んだことや、辞めたから分かるヤフーの良さみたいなものはありますか。
宮崎:ヤフーで学んだことは「インターネット黎明期から巨大市場を生み出してきたプロセス」そのものということですね。

そして辞めたからわかるヤフーの良さは「モトヤフという言葉からわかるように、卒業後も繋がっていられるネットワーク力」だと思います。


事務局:イマヤフそしてモトヤフや読者にも伝えたいメッセージをお願いいたします。
宮崎:自分の専門分野以外の人と繋がること。意見の異なる人と共存していけることはこれから特に必要なことです。今のSNS社会はフィルターバブルが本当に顕著に現れていて、異なった意見を交わす場所が少なくなっていき、異なった意見に慣れない人が増え続けています。

その結果、マイノリティー(少数派)を排除し続けているのです。多様性を認める社会と言いつつ、なかなか実現できない根底にはこのような背景があります。これはネット以前のテレビの多チャンネル化の時代から加速しており、Youtubeの時代になるとさらに、人は自分の好みのもの、同じ思考(嗜好)のものしか見なくなりました。

異文化交流レベルではなく、変な話し虫唾が走るほど嫌な人たちとも共存できる社会を作らないと、この傾向が加速してしまうので、そんなサービスづくりを目指してくださいですね。


事務局:これからチャレンジしたいことは何でしょうか。また今までの講演活動等を通じて構築されたネットワークをどのように今後の思春期課題の解決に向けた大きな動きに繋げていこうと考えておられますか。
宮崎:チャレンジしたいことは、乳幼児期から児童期まで、子どもの心の発達にとても重要な期間に、全ての保護者の負担を減らし、子供が安心して安全に過ごせる保育所に変わる社会資源を提供するシステムを構築することですね。


残念ながら今の保育所は基本的に仕事を持った人が子供を預ける場所になっており、全ての家庭を対象にできていないのが現状です。


思春期課題の解決には、わたしが直接関わって繋がったネットワークだけでは意味がありません。

アメリカの政治学者で、ハーバード大学ケネディスクール教授である、ロバート・パットナム氏は「ソーシャルキャピタル」を提言し、小さなコミュニティーの中での密着した関係性だけでなく、違った環境、違った意見のグループを橋渡しするつながりも重要であると考えています。

これは企業を含めたあらゆる共同体においても重要な課題でありますが、そもそも人は違った意見や、少数派に目を向けず、同一性を求め続けていきます。だからこれまで、巨大な市場を資本家は作り続けてきました。

ネット時代になり、同じ嗜好の人をまとめたり、ニッチマーケットで少数派を狙い撃ちする手法もでてきて、これはマーケットにおいても大成功を納めましたが、ただこれでは、多様性とは逆の方向に行ってしまい、強靭化や持続性と言った面では、共同体の脆弱性に繋がっていきます。

わたしがやっている講演をはじめとする様々な活動は、最終的には違った意見の人たちとどう共生、共存できるかといった視点で行っています。その考えの人たちを増やすことによって、結果的に健康で豊かな生活ができていた。そんなイメージを作ることが目的となるのではないでしょうか。

一見犯罪者やトラブルを起こす人たちを更生・排除していくといい社会ができるのではないか?と錯覚してしまいます。ただ、その人たちがなぜ、トラブルを起こしてしまうのかを考えていくと、結局は社会に馴染めず排除されてきた要因が大きいと思います。

それはわたし自身が感じていたことであり、時間はかかりますが、一人も排除せずに過ごせる社会づくりにこだわって、伝え続けたいと思います。

事務局:宮崎さん、ありがとうございました!

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