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モトヤフ中村悟さんインタビュー

今回のモトヤフインタビュー第24回は、米グーグルが編み出したマインドフルネスの能力開発メソッド「Search Inside Yourself」(SIY)を参考に独自のプログラムを作り上げてヤフー社内でマインドフルネスの企画・展開をされた中村悟さんです。このヤフーの先行事例が各メディアに注目され、その後社外でも講演やイベント、ワークショップなどに登壇し、これまでに社内外に10000人以上にマインドフルネスを届けてこられました。現在は個人事業「にこフル」を創業し、同時にポートフォリオキャリアの働き方(いくつかの会社やプロジェクトをかけもちするような働き方)をされています。


-中村さん、本日はよろしくお願いいたします。まず最初にお名前をフルネームで教えてください。

中村悟(なかむらさとる)です。よろしくお願いいたします。

-お生まれはどちらですか、また現在はどちらにお住まいですか。

神奈川県の相模原市生まれで、現在は東京都の世田谷区在住です。

-これまでのプロフィールをご紹介ください。

慶應義塾大学(SFC)を卒業し、新卒ではニフティ株式会社に入社しました。実は、ヤフーは新卒のときに入りたかった会社だったのですが、その当時は新卒採用が積極的でなかった時期だったようで、2005年にヤフーに中途入社し、約15年在籍。2020年に独立しました。

-ヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

大学時代からインターネットが大好きでした。新卒で入社したニフティはインターネット業界のプロバイダー(ISP)で、ブロードバンド動画配信やアニメメディアなど立ち上げに関わりました。
2004年10月、Yahoo! JAPANのアクセス数が1日10億ページビューというニュースを目にし、ISPとは数桁が違うことにショックを受けたと同時に、インターネットのど真ん中で働きたいという想いが出てきました。

また、私が大学3年のときに、とある研究会で川邊さん(Zホールディングス株式会社代表取締役社長)と出会いました。尊敬する憧れの先輩がヤフーで活躍されていることもあって、念願かなってヤフーに入社いたしました。

-ヤフーでのお仕事はどんな内容でしたか?

2005~2012年はサービス企画部門、2012~2020年は人事部門で半々です。
サービス企画では、メディア系サービスを担当し、Yahoo!動画(現GyaO!)、Yahoo!ニュース、Yahoo!スポーツ(現スポーツナビ)などのディレクション、プロデューサーを担当しておりました。人事では、人材育成、組織人事、ヤフーアカデミア、グッドコンディション推進など担当し、2~3年ごとにいろいろ経験させていただきました。のちほど触れるマインドフルネスにつながる部分も含めて、少し詳しく触れますね。

入社当時(2005年2月)のYahoo!動画はプレミアム会員向けのサービスでした。2005年12月にソフトバンクグループ(ソフトバンクとヤフーの合弁)としてTVバンクが設立され、孫さん直々の指揮のもとで、広告モデルの無料動画サービスへフルリニューアルを担当しました。

リリース直前は月間200時間超の残業で血尿がでてましたが、、なんとかリリースし、今までで一番大きな仕事をした達成感と手ごたえを感じ、急成長していくのを見届けることができました。その後、川邊さん率いるYahoo!ニュースに異動したのですが、2009年にヤフーがUSENグループのGYAOを買収し、新生GYAO社長となった川邊さんとともに、再び動画サービスに携わることになりました。

わずか数年のうちに、以前のYahoo!動画時代とは状況が一変していました。YouTubeやニコニコ動画の動画サービスが立ち並び、サービス成長や事業収益にもたいへんな状況で、業務負荷と周囲からのプレッシャーに押しつぶされてしまい、心身のコンディションを保つことができなくなってしまった経験があります。

いま振り返ると、当時の辛い経験があるからこそ、マインドフルネスに出会うべくして出会ったきっかけだったと思います。

-ヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

とくに印象に残っていることは二つあります。
一つは「社会的意義のある仕事観」です。
上記のYahoo!動画のフルリニューアルをはじめ、Yahoo!ニュースのBCP対応、Yahoo!スポーツ×スポナビのオリンピック特集など、大規模なメディアサービスの経験から「日本の動画ビジネスは自分たちがつくっているんだ」「何があってもサーバは落とさない」「日本の情報ライフラインを私たちが支えている」という視座は、今も日々大切にしていることです。

もう一つは、「一人ひとりの可能性を信じる」ことです。
サービスや事業が成長する前に、一人ひとりが成長すること。つまり、「才能と情熱を解き放つ」です。人財にフォーカスし、その人自身も知らない、内に秘めている才能と情熱を、1on1や人材開発会議、ななめ会議、ヤフーアカデミアなどあの手この手で解き放とうとしているのは、とんでもなくすごいことです。自分らしさを大切にする価値観は、ここで学びました。

-辞めたから分かるヤフーの良さというものはありますか?

いくつも思い当たりますが、仕事が属人化せずに、チームや仕組みでまわっていることです。会社やプロジェクトをかけもちしていると、会社の文化や雰囲気がそれぞれあり、「●●さんしか知らない、●●さんが辞めちゃうと困る」みたいな話はよくあります。ヤフーでは、定期的なジョブローテーションやドキュメントやワークフロー、ツールが整っていることは、良さのひとつです。

また、ビジネスパーソンとしてのスキルやマインドの基礎力は高いと感じます。採用の基準やや人材育成の制度が整っていることが影響しており、ここも良さですね。

-中村さんがマインドフルネスに傾倒して、ヤフー社内で展開するきっかけはなんだったのでしょうか。

2012年にサービスから人事部門に異動し、人材育成チームに配属されました。どこからどう手をつけていいのか分からず、まず本屋さんに行きました。たまたま「これがグーグルの研修プログラム!」という帯文言が目にとまり、ジャケ買いした本はこちらです。

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マインドフルネスの本を探していたのではなく、人材育成担当になってグーグルの研修が気になって、その中身が「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」というマインドフルネスだったのです。

2014年10月に、米Googleで開発されたSIYプログラムが日本で初開催されまして、個人負担で参加しました。本を読んだだけではわからなかったことが2日間の座学と体験がマッチして、その直後のメモには、「ヤフーの中で是非展開したい」と書き残していました。

それから2年の月日が流れて2016年夏、ヤフーアカデミアの学長、伊藤羊一さんとの1on1での対話がきっかけに、リーダーシップ発揮に必要なメタ認知を鍛えるために、マインドフルネスを取り入れるという、「メタ認知トレーニング」として実現することができました。

2016年当時、まだまだマインドフルネスは一般的ではなかったのですが、NHKの番組や日経新聞の特集で、「マインドフルネス」のテーマがピックアップされ、その企業導入事例としてヤフーがたびたび取材されるようになりました。

それから、マインドフルネスは生産性が高まる、ストレスが下がるなど、世の中に注目されてきて、徐々にビジネスパーソンに広がってくるとともに、社内の認知率も高まってきて、メタ認知トレーニングの参加者はじわじわと増えてきました。当初はヤフーアカデミア限定プログラムでしたが、ヤフーに広がり、ヤフーグループ、いまではZホールディングスグループやソフトバンク社員が参加するまで展開されています。

(宣伝)メタ認知トレーニングは、マインドフルネス・メッセンジャーズという有志の仲間で、四半期ごとに定期開催されています。イマヤフの方でまだ体験したことない方は、ぜひ受けてみていただきたいです。

-ネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

2020年5月末、退職時の想いはこのnoteに書いています。

UPDATE [mindfulness] を掲げて、ヤフー以外の会社や組織をはじめ、地域や行政、教育分野にも、より多くの人々にマインドフルネスをお届けしたいという決意をしたためです。また、私が辞めてもヤフーでのマインドフルネスの取り組みは継続していけるとメッセンジャーズという有志の仲間に託せれたのも大きいです。

-現在のお仕事は具体的にどんな内容でしょうか?
にこフル・マインドフルネス・・・などについて詳しく教えてください。

個人事業主であり、いくつかの会社やプロジェクトをかけもちするような働き方を、ポートフォリオ・キャリアと呼んでいます。私にとってすべて本業であり、マインドフルネスを多くの人に届けられるよう、どのようにアプローチできるかで関わっております。
MiLIでは日本におけるマインドフルネスの第一人者として、カルビーでは中の人として社員向けに、サイバー大学では学生向けに、RELATIONSでは組織開発としてクライアント向けなど。また個人事業は、「にこフル」という屋号で、研修やワークショップなどお引き受けしております。

去年は高野山でマインドフルネス研修の講師するというお仕事もありました。

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-現在の仕事の面白いところや素晴らしいところを教えて下さい。

長らくヤフーにいたので、仕事の進め方や一人ひとりのスキル、会社の雰囲気などヤフー仕様が基準になっていました。いくつかの会社やプロジェクトをかけもちすると、多様な価値観、仕事観にふれることが多くなり、ヤフーのスタイルのままでは通用しないこともわかりました。世の中は広く、知らないことが多くて、とてもおもしろいです。

-今、特に力を入れていることは何ですか?(お仕事面でもプライベートでも)

マインドフルネス×●●という、掛け合わせの取り組みをしたいです。マインドフルネス単発よりは、マインドフルネスと違う領域の掛け合わることで、まだ知らない必要としている人へアプローチできる可能性が高まるためです。

-ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

私はヤフー時代の上司には恵まれすぎていました。
入社時のビックボスであった宮坂学さん(メディア事業部)、川邊健太郎さん(Yahoo!ニュース、GyaO!)、本間浩輔さん(Yahoo!スポーツ、PD)、伊藤羊一(ヤフーアカデミア)さんには、とくにお世話になりました。

ぺーぺーの自分に対してティーチング、コーチング、率直にフィードバックなどいろいろとご指導いただきました。今でも「宮坂さんだったら、何と突っ込んでくるかな」「本間さんだったら、何と問いかけてくるかな」とセルフ1on1しています。

-ご趣味は何ですか?

5歳の娘と遊ぶことです。
最近は公園で遊んだり、レゴをつくったり、ひらがなでお手紙書いたりしています。

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-コロナで変わったことはありますか?

ヤフーを卒業すると同時に新しい働き方に切り替わるタイミングでした。コロナによるリモートワークが推奨されたこともあって、いくつかの会社やプロジェクトをかけもちする働き方が成立しています。また、通勤時間がなくなったことで、娘の保育園送りやお迎え時間にゆとりがもてたり、夕食の準備をしたり、家事をする時間が増えたのは、コロナのいい影響ありと言っていいかもしれません。

-ライフワークは何でしょうか?

ぱっと思いつくのは、「自分らしさの探求」でしょうか。
私がマインドフルネスに出会い、マインドフルネスをお届けしたいという想いの根源には、その人自身の人生レールのスタートラインに立ってほしいという願いがあります。

一人ひとりの人生や生活、仕事において、「自分って何者?」という問いに向き合い、世間体や親の期待による既定路線のレールにのっかったままの人生ではなく、自分自身のレールに切り替えようとする、人生の分岐点とスタートラインに立ってほしいという願いです。

その分岐点とスタートラインに立ちさえすれば、あとは自分で歩けていけるという信念もあります。そのためには言っている私自身も「自分らしさを探求」し、マインドフルネス実践を続けているので、ライフとワークがそのままいっしょかもしれません。

-これからチャレンジしたいことは何ですか?

マインドフルネス×web3の可能性をチャレンジしたいです。インターネット歴25年のWeb1.0おじさんですが、web3に触れるときには、一番最初にインターネットに触れたときと同じようなワクワクを感じています。メタバースやDAOを行ったり来たりするときには、自分自身に立ち戻るときにもマインドフルネスは欠かせません。

-イマヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

2020年代、Zホールディングスグループのヤフーから見える景色は、どのような景色がみえるでしょうか。ヤフー単体にとどまらず、グループ会社との掛け合わせは、可能性に満ちあふれているかと思います。1ユーザーとしてサービスを使うのを楽しみにしております。

-モトヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

ヤフーという同じ会社や環境、雰囲気をともにした皆様とのつながり(モトヤフ・ネットワーク)は、インターネットのノードな気がします。必要としているときに必要な誰かとつながれる、末永くベストエフォートでつながっていけるとうれしいです。

-読者に伝えたいメッセージをお願いします。

ここまでお目通しいただきまして、ホントにありがとうございました! モトヤフというご縁はこれからも続きますので、何かの企画やイベントなどをごいっしょできるとうれしいです。このインタビューの機会をくださった川村さん、佐藤さん、ホントにありがとうございます。

-中村さん 本日は、貴重なお話を伺わせていただき、ありがとうございました。

インタビュアー:川村英樹、佐藤祐治

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