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モトヤフ喜志さんインタビュー<後編>

元ヤフーメンバー・インタビューシリーズ第8回

事務局
SREホールディングス(旧ソニー不動産)での、5年間における、お仕事をお聞かせください。

中期事業計画の策定や、黒字化させるための予算実績管理、複数事業の各種KPIの設計と管理会計、上場審査対応、上場にあたっての機関投資家向けIRなどを管掌していました。私が数字をみている期間は、上場まで、単月黒字を、ずっと維持しました。東京証券取引所マザーズ上場翌日に、東証一部への準備やセグメント開示の準備の指示を出したりしていたので、プロジェクトメンバーには「鬼」と言われました。

SREホールディングス(旧ソニー不動産)の社長の西山さんが、元々ソニー本社の経営スタッフを務める大変優秀な方であり、銀座にオフィスがあった頃には、よく、近くの日比谷公園に二人で赴き、今後の経営戦略などについて話をしていました。私からは、インターネットサービスでは定石である、プラットフォーム化や、サービスのAPI化、数値のKPI管理などの話をしていました。

西山さんからは、ソニー前社長の平井さん、現ソニー社長の吉田さん、CFOの十時さんが、ソニーを再建する話なども伺いました。十時さんは、最初の数年間はソニー不動産の社外取締役でもあり、月1回の取締役会に出席されていたので、どういうポイントを指摘されるのか、大変勉強になりました。詳細は控えますが、復活期のソニーの子会社の取締役を5年間務めて、間接的とはいえ、ソニーの経営を間近で観察できたのは、貴重な経験でした。

事務局
SREホールディングス(旧ソニー不動産)の東京証券所マザーズ上場時のエピソードをお聞かせください。

喜志さん
SREホールディングス(旧ソニー不動産)は、すでに上場会社ですので、上場に関わる事の詳細は控えます。ただ、一般論して、①予実管理を徹底して利益を出す、②ガバナンスを甘く考えない、という2つの基本を徹底する事かと思います。

そのためには、「利益」を目標に、⑴儲かるところに集中する、あとは捨てる、⑵失敗したら速攻で撤退する、⑶コストは強烈に下げる、⑷できる部隊に任せる、できない部隊は選手交代、とシンプルに考え、実行を徹底させる事かと思います。

ヤフーが、出資してから4年半で、企業価値を40億→400億と約10倍にし、東京証券取引所マザーズにスピード上場させましたが、ヤフーとソニーというブランドのJVで、企業価値が、上場時にたったの400億で、1,000億に到達しなかったのは、当時の上場プロジェクト管掌取締役として、どうすればより高い結果になったのか、反芻して、シュミレーションしています。

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事務局
利益を出すのは大変ですよね。

喜志さん
いろいろ試しているうちに、利益が出る商品や商流が見つかり、後から、なぜその商品や商流が儲かるかの理由を見つけて、再現可能性ある形に整理して、顧客や投資家にわかりやすいように言語化する事かなと思います。利益を出す実態は、こんなものではないでしょうか。そして、利益が出る商品や商流が見つかるまでpivot (方針転換)しまくる。ビジョンがあって、ビジョンに導かれた戦略があって、戦略に沿って利益が出る、なんて綺麗な話は、利益が出る金脈を見つけたあとに再構築した物語に過ぎないと思います。

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事務局
ところで喜志さんといえば何と言ってもナポレオンをはじめとする歴史上の人物に対する深い興味をお持ちですが、どんなきっかけで興味を持たれるようになったのですか。

喜志さん
中学3年生の15歳のときにたまたま学校の図書室に学級委員が集まる機会があり、暇つぶしに偶々手にした本が、ナポレオンの伝記でした。何故か強烈な衝撃を受け、その時から傾倒していきました。最初はナポレオンの人物像を中心に、その後は戦史を中心に、おそらく、ナポレオン関係の本を、日本語英語合わせて300冊以上読んでいると思います。

事務局
戦史を読むと、お仕事にどう役立つと思いますか。

喜志さん
目的達成のためにドライに判断すべき部分と、外部要因が偶発的に引き起こす部分に、仕事の中身を分解して、その中で駆け引きと意思決定するお手本として、戦史ほど良い教科書はないと思っています。

事務局
他にどんな歴史上の人物に興味があるのですか。

喜志さん
ナポレオンに似たところが多いので、信長と曹操です。彼らの伝記や戦史もたくさん読みました。

事務局
他にどんな本をお読みになったのですか。

喜志さん
本は広く読んできました。特に、30代の頃に「戦略論」と「経済」についての古典を読もうと思い、1年半かけて、次のような本を読みました。理解できなかった事も多いですが、一度、古典のインデックスが頭の中にできた事は、仕事でも役に立っています。

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「戦略論」について、「孫子」、クラウゼヴィッツ「戦争論」、ジョミニ「戦争概論」、モルトケ「軍事著作集」、マハン「海上権力史論」「海軍戦略」、ドゥーエ「制空」、リデルハート「戦略論」、マッキンダー「地政学」、フラー「制限戦争指導論」、デルブリュック「政治史的枠組みの中における戦争術の歴史」、ミッチェル「空軍による防衛」、毛沢東「遊撃戦論」、チェ・ゲバラ「キューバ革命軍の戦略・戦術」、ヴォー・グエン・ザップ「人民の戦争・人民の軍隊」、クレフェルト「戦争の変遷」、グレイ「現代の戦略」、ルトワック「戦略論」。そして、「経済」について、スミス「国富論」、マルクス「資本論」、ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」、ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、シュムペーター「資本主義・社会主義・民主主義」、フリードマン「資本主義と自由」、カーネマン「ファスト&スロー」などです。

事務局
喜志さんは、ご自分はどんな人間だと思いますか。

喜志さん
「健全な野心をもった変人」だと思います。ただの野心だけだと、人の気持が考えられないですし、ただの向上心だとエネルギーが足りないと思うんです。お世話になった方には、きちんと恩義を返すとか、裏切らないという健全な精神を持ちつつも、上を目指し続ける野心を持ちたいですね。こういうタイプですから、ヤフオク!時代に上司であった役員の梅村さんから、「お前は、過去10年間ヤフーでみてきた人物の中で、三本の指に入る優秀さだが、同時に三本の指に入る問題児だ」と言われたことがあります。

事務局
現在お勤めの会社名と肩書きを教えてください?またネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

喜志さん
SBI証券です。事業開発管掌の執行役員に就任しております。
インターネットの大きな流れは、広告メディア(2000年代)→コマース・SNS(2010年代)→金融(2020年代)ときており、金融は、古代バビロニアから現代まで、いつの時代も社会や事業のインフラですが、2020年代の金融インフラは、他の事業のデータを非連続に取り込み、または、他の事業のデータと融合し、独自の進化を遂げると思います。インターネットサービスの総合百貨店のようなヤフーに身を置く事で、広告メディア、コマースを識る事ができましたし、SREホールディングス(旧ソニー不動産)では、上場に至る経営を識る事ができました。2020年代のフィンテックを識るには、SBIに身を置くのが最善と判断しました。

事務局
今、特に力を入れていることや興味を持たれていることは何ですか?

喜志さん
高校数学の復習と大学数学の勉強をしています。

事務局
これからチャレンジしたいことは何ですか?

喜志さん
最近では、自分の仕事が、公益にどう役に立っているのかを考える事が多くなりました。30代の頃は、個人としてのキャリアをどう上げていくか、ギラギラした野心を持って仕事をしていましたが、40代でヤフーとソニーのJVの経営に参画し会社を上場させた事で、一区切りがつき、今は、仕事の意義みたいなものを強く考えるようになりました。その意味では、SBIという日本の社会に影響力を持つフィンテックのリーディングカンパニーにいるわけですから、今の仕事を通じて、正しい倫理観を持って、日本の国力を上げていきたいと思います。

事務局
ではイマヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

喜志さん
ヤフー(Zホールディングス)におけるキャリアの一例として、何かのお役に立てば幸いです。

事務局
モトヤフに伝えたいメッセージもお願いします。

喜志さん
モトヤフのキャリアの一例として、何かのお役に立てば幸いです。

事務局
最後に読者に伝えたいメッセージをお願いします。

喜志さん
ヤフーという企業のとある社員のキャリアの一例として、何かのお役に立てば幸いです。

事務局
本日はありがとうございました。

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