ルヴァンG大阪戦で見えたリーグ戦との違い ヒントは伊佐の「我々はチャレンジャー」の言葉

梅雨が明け九州特有の蒸し暑さが訪れた8月
そんな8月が始まって直ぐにトリニータには厳しい試合がやってきた、ルヴァンカップGS第2節G大阪戦だ
今季はコロナの影響もあり大会方式が変わり従来の「ホーム&アウェー」での6試合を行っての結果ではなく「総当たり戦」による3試合を行っての結果で決勝グループに進めるクラブが決まると言う方式になった、これにより第1節A湘南戦で負けたトリニータ、柏レイソルに負けたG大阪どちらも勝ちが必須条件となった
コロナの影響からU21制度も今季は撤廃されたもののやはり控え組がメインとなるカップ戦だけにチームとしての戦術浸透が試される試合となる
ここまで名古屋戦から4連杯中のトリニータ、リーグ戦では無いとは言えなんとしても嫌な流れを立ちたい状況、そんな中で片さんが選んだのはこのメンバーだった

ムンが公式戦では2年前の山口戦以来のスタメン、ホームではデビューとなった
新加入としては佐藤と羽田が名を連ねた(※羽田は昨シーズン2種登録選手としてデビューはしている)
リーグ戦からは殆どのメンバーが入れ替わり佐藤のみが連戦となった

対するG大阪のメンバーがこちら

最初見たときに思わず「は?」と口に出てしまった、これでもリーグ戦から8名を入れ替えている 訳わからん選手層
最終ラインには若い高尾と松田が名を連ねそのラインを締めるのが昌子、怪我からの復帰戦となった
試合開始から試合を見ている9割の人の予想通りガンバが攻め立てる
遠藤から両WBとCBの二人の間にロングパスが入りそこに福田や宇佐美が入っていく場面が多く見えるがここを両サイドしっかりとした連携で跳ね返した、特に星&高畑のサイドは上背がない二人ながらしっかりと対応し相手に触らせる事すらしなかった
開始から10分立ったあたりからガンバがチームとして怜と羽田のサイドを狙い始める
怜が前目に黒川にマークしに行った後ろのスペース、宇佐美の斜めの動きに対し羽田が釣り出され中で井手口とパトリックがフリーになる場面が増える、その嫌な流れの中からピンチを迎える
前半29分、佐藤和弘の横パスを井手口が引っ掛け少しボールを持ち走り込んでいるパトリックにパスを出すとパトリックはそれをダイレクトでシュート、ボールは弧を描きネットを揺らした
この瞬間恐らく全トリサポが思った「あー、いつもの流れか…」
しかしこの日のトリニータは違った、失点をしても誰一人下を向かずチームとしてのプラン通りにプレスをかけ相手のパスの出しどころを限定していき最後のクロスに対しては守備陣一丸となり弾き返した、そして暫くしてそのプレスが相手に致命傷を与える事となる
前半39分、昌子のパスが少し緩くなった所を見逃さなかった三平がそのボールを引っ掛けて伊佐にボールを渡す、伊佐が少し運んで倒れながも三平に渡すボールを受けた三平はゴール右エリアに入り込み逆サイドにクロスを入れる
これに対してしっかりと走り込んでいた小塚がしっかりと合わせて同点にした
嬉しい嬉しい小塚の今季初得点だ、この一連の流れに去年の勇者、アド、コヅの3人組の幻影をみた…
そしてそのまましっかりとチームとして守り前半を同点で折り返す

後半、ガンバは宇佐美に変え小野瀬を入れてきた

後半は少し異様な展開になる、意地でも勝ちたいガンバがどんどんと荒くなっていく
しかしトリニータはこうなると非常に強い、中盤の小手川を起点にしっかりとボールを繋ぎながらガンバのプレスを手玉に取り相手陣地に迫るも最後は跳ね返されてしまった
後半18分、大分が少し連携がズレた所を見逃さずに左のエリアを攻略し真ん中にボールを送る、そこから絶妙なタイミングで入ってきた小野瀬にボールが入りシュート…ここは運良く枠の外に外れてくれた
そしてその直後に両チーム交代に動く
【G大阪】
昌子→三浦 黒川→矢島 遠藤→渡邊
【大分】
小手川→長谷川
ガンバは点を取る為にアタッカーを増やし、対するトリニータは守備を固める為に長谷川を投入した
ここからはガンバが攻める一方的展開に、次々にピンチを迎えるも刀根の的確なコーチングとムンのビッグセーブに救われた
後半の給水タイムが終わった直後に二度目の交代
【大分】
星→高山  伊佐→髙澤
となった、今年のラッキボーイ髙澤が頂点に入り三平との2トップの様な形に変形した
そしてお互い殆どチャンスを迎えれ無くなってきた後半中盤に両チーム交代枠を切る
【G大阪】
倉田→山本
【大分】
小塚→成豪  三平→井上
成豪と井上が2トップの形を取り少し下り目で高澤が位置取る形に、緊急的ではあるが新たな形を作り出した片さん
この交代で入った成豪と井上が早速もうプレスをかける、二人でボールを追いかけまくってキーパーまでプレスをかけ走り回る、これにはドームから拍手が送られる
試合も増えを意識し始める試合終盤
声を出しては行けないと言うルールの中だがこの日1ドーム中から声が響く出来事が起きる
髙澤がボールを受けてペナルティエリア内に侵入、その侵入に少し反応が遅れた三浦が後ろから押してしまう形に、「PKか!?」誰もがそう思った 恐らくはガンバサポでさへ…しかし肝心の審判はなんと下を向いていた、恐らく主審は目に汗が入ったのだろう見えにくい位置でもあったから仕方は無い…が副審はしっかりと目の前で見ていたはずだ、なのに旗を上げなかった これが現在のJの審判のレベルだVARが無ければ中東の笛よりも酷いジャッジをさも当然の様に吹く
審判も人間だからミスはある、選手と同じ様にフェアに扱うべきだと言われるがならばこそ「プロの審判」として我々サポーターも見ている、給料を貰っている以上はしっかりとした判定をして頂きたい
まぁそんなこんなありつつも試合終了の笛が吹かれて試合は終了、絶好調ガンバからすれば勝ち点3を逃した形、試合後のガンバの選手達に笑顔は無かった
対照的にトリニータの面々はどこか嬉しそうな表情だった、何せ4連敗を引き分けとは言え止めたのだ それも普段は控えと言われる選手達で
そしてこの試合の後に片さんはあること語った
「我々が負け続きになりチームとしてまた一から振り返る事にした、その中で我々とは何か…と言う所で考えた結果細かいパスの繋ぎだったりだった」この言葉が今シーズンの連敗の答えだ
昨シーズンJ1で勝ち点を稼ぎまくった前半戦、多くのチーム相手が「擬似カウンター」の餌食となった、数多くの戦術好きが「大分ってチームが凄いらしいぞ!」とTwitterで騒いだ、J2オールスターがJ屈指の戦術チームへと進化したのだ
しかし今シーズンは知念にボールを当ててサイドに流してクロスと言う攻撃しか出来ていなかった、確かにクロスで点を取れている、髙澤 知念 渡とストロングヘッダーがチームに入ってきたのでしかは無いのかもしれない、それでしっかりとヘディングから点も取れていた
しかしトリニータは誰か1人を頼るサッカーをしては行けないのだ、それが例え知念というスーパーな選手であっても
ここまで長々と書いたが本題はここから
では昨日と4連敗のチームでは何が違ったのかについてだ
違う点は簡潔にまとめて3つ
1 攻撃のスイッチの入れどころ
2 ここまで消えていた天才2人の復活
3 チャレンジャー精神
まずは1から

1つ目、ここまでのリーグ戦では先程も言った様に知念がボールを収めなければスイッチが入っていなかった、お世辞にも足下が上手いとは言えない知念に収めた上に運ぶ事を要求するのは酷だ
しかし現実として知念がボールを納めた後にはボランチに下げるかサイドに蹴るかしか選択が無かった、序盤の鳥栖や広島には通用していたが対策を敷かれた神戸戦、非常に素早く潰しにくるボランチの山口に四苦八苦、知念さんが納めた後が繋がらずに攻める場面を作れない
前半は山口の両脇にスペースがあったので田中がそこを必死に動き回るが跳ね返された
後半からはそもそも知念にすらボールが渡らなくなっていう、こうなると知念はボールを受ける為に降りてくるのだがこれが逆効果、知念が下がる事により前線のスイッチの入れどころを失ったトリニータは段々とラインが下がっていく、結果としてこの試合は引き分けたが次のガンバ戦からはその下がったラインを狙われ元々足下が上手いわけでは無い長谷川や島川がその被害にあう、足下に自信が無い選手は少しでもプレスをかけられるとドリブルよりもその場でのキープを選んでしまいがちだ、そこを狙われた結果失点が増えていく事に
ガンバ戦で2失点、名古屋戦3失点 清水戦4失点 鹿島戦4失点、驚きの4試合11失点だ、しかもこの間に取った得点は4得点 片さんも毎試合の様に試合後に髪の毛が乱れていた
ここで昨日の試合を振り返ると昨日は前線の3人であれば誰に入ってもスイッチが入っていた
伊佐に入ればコヅか三平受ける為に少しさがり気味に位置を取り、三平かコヅに入れば伊佐、怜、星が駆け上がっていく
これによりガンバはハメどころを少し失いペナルティに近づかれる場面が増えていた
戦術が浸透していない新戦力を沢山投入していたのがリーグ戦での不調の原因でもあるだろうがやはり知念だけが攻撃のタクトを握るのは限界だ、ここから復調するにも知念、渡が戦術をしっかりと理解してくれるのが重要になりそうだ(特に知念は頑張らないと川崎にすら戻れなさそう…)

次は2だ
ここまで失点が増えているのにはいくつかある、それがこの2人の天才がここで活躍した理由だ
一つ目はボランチにおいてこばゆーが重宝されていた理由、攻守において非常にバランスを保つのが上手い上に足下があるこばゆーはトリニータに今や欠かせない選手となっていた、目立たないが常に穴になりそうな位置には線を張り相手を牽制する、これにより相手の自由なプレーが抑えれていた
そしてこばゆーがいなくなりバランスを保てるボランチが前田のみになっていた、この前田も名古屋戦で怪我をし長期離脱、バランサーがいなくなる事で中盤のラインの上げ下げがうまく出来ていなかった、これにより先ほど書いた様に足下がない選手は相手のプレスの餌食となりミスを連発、それが失点に直接絡んでしまった
この問題が昨日のガンバ戦で解決
去年も重宝されていた天才・小手川がらしさを発揮する
中盤でボールを今日に持ちながら相手を数人引きつけ味方に渡す、自由になった味方は思い通りにプレーが出来ていた、さらに守備面では天才的な読みで相手のパスを次々とカットしていきガンバの攻撃陣をイラつかせた
これが去年難しい試合で小手川が使われた理由である、素晴らしい読みで相手のチャンスの芽をを事前に摘み取る
そして2人目の天才はトリサポならずJを見ている人に誰もが知る小塚だ
小塚は今シーズン開始前に浦和に引き抜きの噂があった、しかしこれを断り大分に残留してくれた
オフシーズンにはインタビューで「昨シーズンはチームと共にJ1に挑戦した中で自分の武器であるパスをしっかりと見せれた、今シーズンからは得点と言う所でも結果を出していきたい」と言っていた
その天才は今シーズン、コンディション調整に苦労していた、中々調子も上がらない中怪我もしていた(YouTubeで高松がぽろっとこぼしてた…苦笑)
しかしガンバ戦ではしっかりとボールに関わることが出来、しっかりと得点も上げれた
チームとしても選手としても嬉しい得点だ、この天才はボールに関わる事で良さを出す選手だ
タクトは指揮者が持って初めて真価を発揮する、J屈指のパサーが今季はゴールでもチームにも貢献していにたい

そして最後の3
今季はJ2年目と言う事で少しチーム全体に楽観的な雰囲気が出来てしまっていた、昨シーズン早速9位になり2桁順位には一度も落ちなかった
これによりチームもサポーターも「もしかしてACL…」とどこかで思ってしまった、C大阪戦では早速知念の惜しいシュートもありさらに期待が跳ね上がる
そして1で行った通りにその期待を少し知念1人に任せすぎてしまった、その結果が今の順位だ
昨シーズンはしっかりとチームで戦い、走り、体を張った
今シーズンもチームとして戦っている事には変わらないが少し最後の場面で足が止まる事が増えていた、勿論連戦による疲れもあるだろう
しかし昨日のメンバーは一丸となり攻撃をはじき返していた、殆どガチメンのガンバの攻撃陣をミスの場面以外封じ切った
そこにはパトリックに果敢に競り合っていく高畑、しっかりとしたコーチングでラインを統率する刀根、相手に怖気ずく事なく当たりに行った羽田の活躍あってこそだ(特に高畑ひ去年の川崎戦ボールウォッチャーになってしまい失点に絡んだ時から明らかに進化していた
スタメン組の三竿、鈴木、岩田はこの試合で尻に火がついたはずだ
トリニータの強さの根本は何クソ負けるか精神、「クソッタレが原動力」の通りJ2オールスターは再び動き始める

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