遊戯王デュエルモンスターズ-1

遊戯王新ルールの歴史: 魔の9期

部屋と遊戯王と私

遊戯王というカードゲームは、20年を超える長い時間を通して、様々な変化を経験してきました。その中には良い変化も、悪い変化もあり、困難な時期があったことも否定できません。
そして近年、遊戯王はその歴史の中で一番大きな変化を経験しました。

遊戯王OCGは、2020年4月から、新マスタールールが施行されます。このルール変更は、決闘者の間で様々な議論を現在呼んでいるのですが、他の人からみたら何のことか分からないことでしょう。

そこでこれからの記事では、私が人生の3分の2以上の時間をかけてきた遊戯王というカードゲームが直面した近年の大問題を、簡単な歴史とともに振り返り、これからを考察するものです。(この記事で元々これからも考察しようと思ったけど、すごく長くなってしまったので次回以降に)

この記事ではまず、そもそもの遊戯王の特殊性、そしてそれが招いた負の歴史を紹介します。
しかし、この記事では本当に一部しか紹介できていません。本当はもっともっと色々な要因が絡み合っていたのですが、長さの都合上省かせていただいて、「私が思った一番の原因」と、「マスタールール4・5に繋がる部分」だけを抽出して書いております。ご了承ください。

遊戯王を全く知らない方向けに、理解して頂けるように努力しますのでお付き合いいただければ幸いです。

遊戯王って?

遊戯王OCGは、コナミから発売されているカードゲームであり、今年で21周年を迎える人気のカードゲームです。この記事の読者の方々にも、遊戯王をやったことがある、あるいは今現在やっているという方も多いかと思います。
実際年間売り上げとしても、2017年ごろまで(ここ重要)は例年1位を保っており、名実ともにTCG業界をけん引するトップカードゲームとしての「遊戯王」だったわけです。

遊戯王ってどういうゲーム?

遊戯王は、モンスター・魔法・罠カードの3種類を使った40枚程度のデッキと、特定の召喚条件を満たせば使える15枚のエクストラデッキのモンスターを駆使して、相手のライフポイントをゼロにした方が勝ち、というカードゲームです。それぞれのカードを、あくまで簡単にですが説明させていただこうと思います。

モンスターカード

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モンスターカードは、星マークで表されるレベル、特殊能力、攻撃力、防御力を持つカードで、このカードたちを使って、相手のライフポイントを減らしていくことになります。
この、モンスターを出すことを総じて「召喚」といい、主に「通常召喚」「特殊召喚」の2つがあります。(これらの説明は後でします。これが重要です)

エクストラモンスターカード(融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスター)

コメント 2020-02-17 015337

上記に載せた40枚程度のデッキに入るモンスターカードだけではなく、15枚まで使えるエクストラデッキというところに入れるモンスターたちがいます。主に融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスターの4種類です。
これらのカードは、それぞれ自分たちの召喚条件を持っており、(☆4のモンスター2体の上に重ねて特殊召喚する、等)強力な効果を持つモンスターが多いのが特徴です。

魔法・罠カード

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魔法カードは、手札から発動して自分に有利な効果だったり、相手の妨害をしたり、モンスターのサポートなどをするカードです。

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罠カードは、主に魔法と同じように自分に有利な効果だったり、相手の妨害をしたり、モンスターのサポートなどをするカードです。魔法カードと違うところは、使うためには一旦場に置いて、時間を置かないといけないという点です。(俺はカードを1枚セットしてターンエンド!とかいうセリフはここから来てます)

遊戯王の特殊性?

ここで、実はもう遊戯王が他のカードゲームに比べて特殊とされる部分があるのです。それは、

カードを使う時に、明確な「コスト」がない。ということです。

え?どういうこと?と思うと思います。
ここで別の、これまた大人気カードゲームであるデュエルマスターズを例にとって見てみましょう。

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上の画像を見ていただけると分かるように、デュエルマスターズのカードには「マナコスト」というものがあります。
これは、1ターンに1度手札からカードを「マナゾーン」というところに置くことでチャージできる「マナ」を使うという事を意味します。
強力な効果や攻撃力を持つカードは、それに伴ってより大きなマナコストを必要とします。

つまり、デュエルマスターズにおいては、数ターンかけてマナを貯めないとカードがプレイできないのです。

上記の画像のカードをプレイするだけでも、何か特殊な手段を使わなければ4ターンは最低かかるというわけです。このような、ターンを掛けてエネルギーを貯めてそれ使う、というシステムは、多くのカードゲームで備わっています。

では、遊戯王においてはどうでしょうか?

遊戯王ではまず、「マナコスト」に相当するようなカード使用コストはありません。

コメント 2020-02-16 230127

モンスターの「召喚」においては、
一定のレベル以下のモンスターは1ターンに1度通常召喚でき、
特殊召喚は、カードに記された条件を満たしていればレベルに関係なく1ターンに何度でも特殊召喚できます

魔法・罠カードも同様で、カードに記されたコストと条件さえ満たせば、
何度でも使用可能です。

つまり、遊戯王は他のカードゲームに比べて、1ターンでやれることの自由度が圧倒的に高く、ゲームの初めの段階で出来ることが圧倒的に多いのです。


この遊戯王の特殊性、つまり自由度が高く、初めのターンで使用できるカードの範囲が広い性質と、新召喚法、カードパワーのインフレーションが相まって、後に「魔の9期」と呼ばれる事態を引き起こします。

遊戯王の「黒歴史」?

もし、周りに遊戯王をやっている、あるいは最近までやっていたという方がいらっしゃったら、こう聞いてみてください。

「遊戯王の第9期って、ヤバかったの?」

恐らくほとんどの方がこう答えるでしょう。

「遊戯王やめるくらいにはひどかったよ」

と。
実際、「魔の9期」と呼ばれる時期には、多くの引退者が出ました。

遊戯王は、基本的に2~3年を1期のシーズンとして数えます。今(2020年)は、2017年から始まった10期の終わりで、つまり先ほどから度々出ている遊戯王9期というのは、2014年~2017年の事を指します。

さっきからヤバかったヤバかった言ってるけど、何が起こったの?
そう思っていると思いますので、説明します。

2014年から始まった遊戯王第9期から、新召喚システムである「ペンデュラム召喚」というものが実装されました。

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これは、超超超簡単に説明すると、「ペンデュラムモンスター」という種類のモンスターカードを使えば、
一定範囲のレベル(☆の数)を持つモンスターを、手札か、表側のエクストラデッキら好きなだけ特殊召喚できるよ
というものでした。
やり方もとても簡単で、左右のペンデュラムゾーンと呼ばれるゾーンに、手札からペンデュラムモンスターを置く、というだけだったのです。
また、ペンデュラムモンスターは、破壊されるとエクストラデッキに表側表示で加わる、という特性がありました。先ほど書いたように、ペンデュラム召喚は、表側表示のエクストラデッキからも特殊召喚が可能だったので、
例え破壊しても次のターンには戻ってくるという、かなり強力なシステムだったのです。
このペンデュラム召喚によって、今までに比べてモンスターが1ターンで大量に展開出来るようになります。

そしてこれが、先ほどのモンスターカードの種類の紹介で説明した、強力な効果を持つエクストラモンスターカードたちの召喚をとても容易にしました。基本的にこれらのモンスターの召喚条件は、一定のレベルなどの条件を満たしたモンスター2体から3体を墓地へ送る、というものだったからです。(特にシンクロ・エクシーズモンスター。この2つは融合と比べて出しやすく、しかも人気だったので強力なカードも多かった)

そしてさらに、また別の問題が生じていました。
この時期から明白にカードパワーがおかしくなり始めたのです。

そのおかしさは、発売したカードが禁止や制限になるスピードに顕著に表れています。

全てのカードゲームにおいて、あるいは競技やゲーム全般においてかもしれませんが、「強すぎるもの」や「流行り過ぎたもの」は、規制されるものです。
ゲームバランスを保つための措置として、あるものを大会で使用できなくするということは、多くの場所で目にすると思います。(水泳のレーザービームとか)

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遊戯王の現在(2020年2月時点)での最速禁止記録のカードは、9期で登場した上の《Em ヒグルミ》というカードです。その記録はなんと発売から167日。半年も持たずに禁止になってしまいました。また、現在でも最速禁止記録のトップ10のうち、多くは9期出身のカードたちです。

さらに、遊戯王は元々、その特殊性で説明したように、1枚のカードを使う際に他のカードゲームと違って展開するためにターンをかける必要がないため、先行1ターン目から行動することが可能なゲームでした。

この遊戯王の元々の特性、さらに新召喚システムと、ヤバすぎるカードのインフレパワーによって、
遊戯王の大会環境はとんでもないことになりました。

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当時大会で横行していたのは、先行を取ったプレイヤーが、ペンデュラム召喚から大量のモンスターを展開し、それを使って強力なエクストラモンスターたちを特殊召喚、ターンが渡ってきたら相手の発動したカードを無効にするモンスターを大量に召喚され、何も出来ずにゲーム終了といったような、
「40枚の紙束を用いた壮大なじゃんけん」でした。

他にも様々な要因がありましたが、(詳しくはEM竜剣士 100%、ノーデンワンキル等で検索してください!)主にこの状況に飽き飽きしたプレイヤーたちが、続々とゲームをやめるようになっていき、遊戯王の9期は
大量の禁止カードと、引退者を出した「魔の9期」と呼ばれるようになったのです。

魔の時代の…終焉?

そしてそんな環境の中、ついに2017年、遊戯王OCG9期は幕を閉じ、新たに遊戯王OCG10期に突入しました。

「やった!9期が終わって、これでコナミさんがまた新しい何かルールを追加して、ゲームバランスが元に戻るに違いない!!」

・・・なんていう風には、誰も思っていませんでした。
ここで、2015年、9期が終盤に差し掛かろうとしていた当時の遊戯王情報掲示板、「スターライト速報」の決闘者の反応の一部をご覧ください。

コメント 2020-02-17 011359

こんな風に、決闘者の間では、コナミに対してかなりネガティブな意見が広がっていました。コナミに対しての決闘者の疑念は、この時期に始まったものではありませんでしたが、この時期に、その疑念が強化された印象がありました。

そして、時は2017年。遊戯王10期がスタートし、遊戯王は新しいルール、「マスタールール4」を発表しました。
しかし、このマスタールール4こそが、史上最悪の最多引退者を出すことになってしまうのです…

                          To be continued…

とりあえずの総括

遊戯王というゲームは、カードを使う際にターンをかけて準備をする必要がないという点において特異なゲームです。この特徴は、先行での大量展開・制圧というのを容易にしてしまうものでした。さらに、ペンデュラム召喚の登場、及びカードパワーの上昇により、「魔の9期」と呼ばれる時代が生み出されてしまいました。
そして、この事態に対応するべく、遊戯王は「マスタールール4」を発表しますが……

今回はこの、9期のまとめでとりあえず終了します。もちろん私の今回の説明は全然足りていません。(足りていないのに4000字くらいになってるんだから、本域で書いたらちょっとヤバい)
皆さんの意見、感想などを書いて頂ければ、私としても勉強になります。

次の記事では、マスタールール4と10期について、そして現在の状況について書こうと思います。

駄文、稚拙な文章だったと思いますが、御覧頂きありがとうございました。

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