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ヨガマインドを深めるということ

 ヨガティーチャートレーニング200時間を12月中旬に終えました。永遠に続くと思われた、でも振り返ってみたらあっという間の3ヶ月半でした。結局一度も途中経過を記事にすることもなく、終わったらゆっくり休む暇もなく、夫の家族の不幸があり、その後すぐに年末の慌ただしさに追われ、息をつく暇もなく年が明けました。2022年を振り返ると、やはりこの怒涛の3ヶ月半が私に一番大きな変化をもたらしたと言えるでしょう。
 2020年春に始まったコロナによるロックダウンで我が家は家庭崩壊寸前になりました。大袈裟ではなく本当です。イギリスではロックダウン規制は相当厳しいものだったので、精神的におかしくなった人は結構いたと言われています。私の家族の一員もそうでした。ロックダウンの1ヶ月前とは別人のようになってしまい、最初の1年間は本当に苦しい日々でした。3年経った今も、多少マシになったものの、今だに後を引きずっています。それもあって何かに没頭したかったというのが、ヨガティーチャートレーニングを受けようと決心した主な理由です。こんなことを書くと悲壮感が漂ってしまったかもしれませんが、慣れてしまった今ではそんなに辛いこともなく、私は私でそれなりに楽しめています。
 ヨガティーチャートレーニングは、私はヨガのポーズを極めたいという目的があったのですが、前回の記事にも書いた通り、実はもっと奥の深い内容で、ヨガとは人生そのもので、ポーズ(アーサナ)はヨガの単なる一環であり、人それぞれに身体も異なるため、ポーズ自体を極める必要はない、という姿勢だったので、最初は本当にがっかりしました。でも、精神的なヨガ哲学を学んでいくうちに、心が洗われていくような感じがして、ある授業では涙が止まらなかったことがありました。伝染するのか、その時はクラスの半分以上が泣き出したということもありました。今となっては笑ってしまう良い思い出です。
 クラスメートは色々なタイプの人達がいて、最初は絶対に友達にはなれないだろうと思った人達とも、コースが半分過ぎた頃には不思議な連帯感が湧き、全員が古くからの友達、もしくは兄弟姉妹のようで、本当に仲良くなりました。
 コース最後の授業には、テストも終わり嬉しい反面、コースが終わるのが寂しくて、また皆んなで抱き合って泣いて、青春の一コマのようでした(笑)。終わった後にみんなでパブに向かい乾杯をして、この歳になってこんな経験ができるなんて思ってもみませんでした。私自身は、ヨガの先生になろうとは考えていないのですが、この経験はこれから先ずっと私の宝物になることでしょう。
 さて、ここ経験で気がついた、いかにもイギリス人的なこと。
 一つめは、皆、休憩時間の度に、お茶(コーヒー)が必要であるということ。まず、授業が始まる前にもお茶。皆、お茶を片手にクラスに来ます。その後、午前中に休憩一回、その時にも必ずコーヒーを買いにカフェへ。その後お昼休み、また午後に休憩一回がありますが、その時にも必ずお茶です。私はそんなに飲んだらお腹がガボガボになると思ってしまうのですが。そして、カフェに行って混んでいると結構待たされることもあるので、仕方がないといえば仕方がないのですが、平気で、10分以上遅れて来ます。先生も何も言いません。
 二つめは、実技でない勉強であってもヨガマットの上でだらっと座ったり寝転んだりして授業を受けます(笑)。本当に自由です。これは、イギリスの小学校、特に低学年ではそうなのですが、子供達は机につくことなく、床のカーペットに座って先生の授業を受けます。
 三つめは、きちんとしてそうで、いい加減で、でもきちんとしているってことでしょうか(笑)。柔軟性があるというのかな、その時その時でフレキシブル、まあなんとかなるよね、という姿勢。講師の先生方は4、5人いたのですが、皆それぞれ個性があって、コース内容から少しずれてしまっても、まあ、いいよね、という感じの人もいたり、ホールケーキを買ってきて、みんなで食べながら授業しましょう、という先生もいたり、気が張っていた私達を、ときにホッとさせてくれました。
 そして、クラスメート達。全員が支え合い助け合うという感じで、他人を出し抜いて、という姿勢の人は一人もいませんでした。これぞヨガマインドなんだと思います。ヨガに興味があって、精神的なことももう少し理解したいと思ったら、バガヴァットギーターとヨーガスートラの解説本を読んでみることをお勧めします。翻訳本は難しいので、それをもう少し分かりやすく説明した本を読んでみるといいでしょう。私は永井由香さんの解説本がとても分かりやすくで好きです。
 私は、この2年間、怒りの感情がとても大きかったのですが、ヨーガ哲学を学ぶことで、怒りを赦しに変えることができるということを学びました。頭でわかっていてもなかなか実行できないのが現状ですが、引き続き、ヨガ的精神を深めていって、怒りというネガティブな感情が消えていってくれるといいなと思っています。