公開質問における、回答への反論に対する返答


ご質問

【「公開質間に対する回答」についての反論】
note「公開質問に対する回答」を拝見しました。私の公開質問に回答していただき誠にありがとうございます。それに対する反論をこの場を借りて申し上げます。

私の反論の核心部分は極めてシンプルです。貴会は、5月16日の総会においてA氏の行動の評価と処分を行う際に、貴会の理念と民法には全く触れておりません。総会での決定の根拠は会則のみです。

責会はnote「公開質間に対する回答」において、A氏の処分の根拠に貴会の理念と民法を加えていましたが、これを法的に考えるならば、処分を決定した後の根拠の変更および追加であり、いわゆる「禁じ手」とあたると言えます。なぜならそれは、「ジャンケンの後だし」と同じだからです。

つまり、A氏は、貴会が問題視している行動を実行した時点では存在すらしていなかった会則のみによって処分されたことになります。
よって、A氏に対する会則による処分は法の不遡及原則を無視したものと結論付けることができます。

ここであえて補足的に申し上げるなら、仮に会則と民法を結び付けて論じたとしても、法の不遡及原則を無視したとの批判をかわすことはできません。
なぜなら、民法の議論においても法の不遡及原則は有力な根拠となりえるからです。

日本国憲法第39条は刑事分野の法の不遡及原則を特に強調しているにすぎず、民法施行法第1条は「民法施行前二生シタル事項ニ付テ八本法二別
段ノ定アル場合ヲ除ク外民法ノ規定ヲ適用セス」
と定め、判例も民事分野における法の不遡及原則には何度も触れています。

なお、現代日本の民法にも間接的に影響を与えたとされる、いわゆる「ナポレオン法典(フランス民法典)」は法の不遡及原則を明文化しており、同原則が長い歴史を持つ有力な根拠であることに疑いの余地はありません。


以下、回答

以下、質問の返答に対するわが会からの最終返答と致します。
本回答は、会内において民主的合意のもとに、以下の文書を質問の回答することが確定いたしました。

当会は、質問者の主張と同様に、当会の行為にも事後法の禁止原則は当然に妥当することを前提にする。しかし、かかる前提のもとにおいても、質問者の主張は以下の理由により理由がない。
質問者の主張はすなわち、会則制定以前には、会員の義務を定めた規程が存在しておらず、刑罰法規に相当するようなA氏の処分を正当化する実体法上の根拠を欠くのであるから、A氏の行為は、会則制定以前は適法であったのであって、そうであるにもかかわらず事後に制定された会則上の義務規定を根拠に処罰することは事後法の禁止原則に違反するというものである。
しかしながら、当会の団体としての性質等を総合的に考察すると、同会は民法上の組合の性質を有するといえ、そのような理解を前提とすると、明文の会則制定前であっても、各会員は組合契約上の義務を相互に負うというべきである。そして、当会発足当時から、当会の理念として、「他者の尊厳を侵害する行為は処分の対象」になることを掲げていることから、会員は会則制定以前から、契約上の義務として、尊厳を侵害しないよう注意する義務を負っていたことは明らかである。そうすると、会則制定以前であっても、他者の尊厳を侵害する行為は、当該契約上の注意義務違反に当たる行為であるといえる。

そして、会則の種々の会員義務規定は、これら契約上の義務を敷衍したものであって、新たに義務を創設し、これを会員に課すものではない。
以上より、A氏の行為はそもそも会則制定以前より注意義務に違反する違法な行為であったであるという点で、質問者の主張は、実行行為が行為当時適法であったことという事後法の禁止原則の適用の前提を欠くものであり、理由がない。

以上


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