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忘れていた気持ち

この間、友人と楽しくおしゃべりしていたとき。

旦那の愚痴からだんだん出会いの頃の話になって、結婚前の恋人同士だった頃を思い出した。

ーーー

彼は8歳年上。
付き合っていた頃は手をつなぐとか腕を組むとか人前でベタベタするのが嫌いな人。
前に付き合ってた人がまったく逆でベタベタする人だったから、最初は寂しかった。

二人ともだいぶ大人になってからの出会いだったから、いわゆるキャピキャピした若さの恋愛ではなかった。

二人で飲んだ帰り、地下鉄の駅で別れてお互い反対側のホームに立っていた。

私は向こう側にいる彼に手を振りたい。

彼は柱の陰に隠れる。

恥ずかしかったのだろうか。寂しかった。

また別の日は飲んだ帰りに彼の家に誘ってくれるかと思ったら、私がついてくるだろうと思ったのか、さっさと前を歩いて帰ろうとする。
普通、そっちから誘うでしょ?と思ってまた寂しかった。
さすがに腹が立って帰ろうとしたら、彼がイヤイヤ手を差し出した。
内心ニヤッと笑った。勝った。

今思えば彼から手を繋いできたのはこのときだけ。

もっと一緒にいたいのにサッパリした人だったから、いつも寂しかった。

ーーー

こんなことを思い出して、友人に言った。

「結婚して一緒の家に帰るのが嬉しくてしかたない。」

久しぶりに思い出したこの気持ち。

職場が一緒だったから一緒に帰れるときは一緒に帰った。反対側のホームで別れ別れになっていたのに、同じ方向の電車に乗る。

嬉しい。

20年ぶりに初心を思い出させてくれた友人たちに感謝。

いつまで一緒にいられるかわからない年齢になってきた。
今を大事に生きよう。



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