ライスの日記 ライス、帰宅難民になりかける
オハヨゴザイマース
真夜中、光に誘われて舞い込んで来た蛾とガチバトルしていた漢、ライスです。
いやいやでけぇ!マジでけぇ!
掌くらいの化け物サイズ!
なんだろ、ふと見たら地面にいたんだよね
青白くて羽の上部に赤い線が入ってて一見綺麗で『ん?なんじゃこら?』って近寄ったら突然ビビヒ…って動き出したのよ
ライス『どぅ…どぅわぁぁああ!!』
そのまま辺りを飛び回る!その時初めてこいつが蛾であると理解したよ!
けどデカイから体が重いのかある程度たったら急降下してくる
不規則に落ちてくるから顔の側をヒュン!と過ぎてまた『どぅわぁあああ!!』
ライス『もう許さんですぞぉー!ワタクシ堪忍袋の緒が切れましたぞぉー!』
近くの水道に走りホースを繋げて水全開
ライス『おらぁー!喰らうですぞぉー!』
蛾の上方を的に散水開始!
先程までの動きを見るに恐らくコイツは自らの体重をもて余している
つまり上からの過重に弱いと見た!!
案の定、水を避けるスピードも無く濡れた羽では自重を浮かせられず蛾は墜落してきた
ライス『フフフ…(ΦωΦ)お覚悟ですぞぉ~』
とは言え相手はかなりデカイ
もう引くほどデカイ
私のイチモ…いえ、何でも無いです…
とにかく近づくのはちょっと躊躇われた
なので、近くにあった機械用のシリコンスプレーを手に取り
ライス『ほーれ!シリコンですぞぉ~』
と、全身シリコンまみれにして放り出した
運が良ければ生きてるだろう
それはさておき今日はいつもと違う道で家に帰った
理由は特に無い。私は時折こうしてふと帰り道を変える癖があるだけだ
時間は午前6時
冬の間は真っ暗な時間だが夏も近付く今ではもう全てがハッキリ見えるほど明るい
さて、前にも書いたと思うけど私の家は県庁から近い車通りの多い道沿いにある
けど、渋滞は8時くらいから。この時間はまだ空いている
悠々と自分の家の方面へ車を走らせる
…と
目の前に突然警官が道をふさぐ!?
え?俺、何かした!?
速度はゆっくり走ってた。多分50kmくらい。ちなみに制限速度は50km、大丈夫
シートベルトは着けている
スマホは助手席に置いてある
ライトを点けないといけないような明るさではない
整備不良も無いはずだ
車を停めて窓を開ける
ライス『え?私なにか違反してます?』
警官が答える
警官『いえいえ、今この先で大きい事故があったんで通行止めなんですよ。すみませんけど迂回して貰えませんか』
あら、そうなのね
ちなみにその場所から私の家まで車で1分かからない
けど揉めて有りもしない罪状を貰っても困るし通行止めにしてるくらいだからすぐ側で事故が起きたんだろうなと迂回に応じる事にした
1分で着く道を5分かけて迂回して家の位置から少し過ぎた交差点に出てきた
何故って?
中途半端な所で出ようとしてそこがまだ封鎖区域内やったらめんどいやん
わざと大きく迂回して家を目指す
すると、またしても警官が立ちはだかった…
ライス『え?ここも通行止めですか!?』
さっきの場所からこの場所までそこそこ距離はある
警官『すみませーん、ちょっと大きい事故だったので…』
ここで困った事になった…
最初に迂回を頼まれたポイントA
そして今迂回を頼まれたポイントB
私の家はこの両地点の間にあるのだ
そしてこの道を通らないと『絶対に』家に帰れない
いや、本当のところは完全に不可能ではない…
道はあるにはある
だがそれは一方通行の道になり、私が帰るにはその『一方通行を逆走する』という高速道路を爆走するプリウスのおじいちゃんのような力業と蛮勇を発揮しなくてはいけないのだ
いや…もしかしたら…
一応ダメ元で聞いてみた
ライス『あのー…すみません…私の家がこの封鎖地区の中にあるんですけど…帰るために一方通行を逆走しちゃダメですかねぇ…?』
答えはすぐに帰って来た
警官『いやー、それはダメでしょ…』
ライス『ですよねー…』
まぁ予想通りだ…
続いてプランBに移行する
ライス『じゃあ…すみませんが…誰か他の警官さんを呼んで誘導して貰っての逆走じゃダメですかねぇ…』
答えは早かった
警官『いやー、無理ですねぇー…』
ですよねー
ライス『では私はどうやって家に帰ればよろしいでしょうか?帰るなと申されますか?』
警官が困った顔をしている
困らせるつもりはないのだが私も困っているのだよ
ふと警官が思い付く
警官『家はどこですか?』
ライス『あそこです』
もう指差せるほど近くにあるのだ
警官『あー…ど真ん中ですねー…』
そう、私の家から見える位置でパトカーが数台停まっていて現場検証が行われている
警官『ちょっと待っててくださいね!』
無線機で何か話している
しばらくして
警官『今誘導が来ますんでそれにしたがってください!』
そう言うと警官は私の後ろに出来た行列に向かって『こっちは通行止めでーす!迂回してくださーい!!』と、声をかけに行ってしまった
前から別な警官が現れる
警官『お待たせしましたー!誘導しまーす!どうぞー!』
衆人の注目を浴びながら警官の誘導を受けてゆっ…くりと車を進める
通行止めの道を行く
警官を先導に『歩道を走る』
モーゼのように割れる野次馬
なんとも奇妙な気持ちだった
家にたどり着いた私は『結局あの事故はなんだったんだ?』と気になったからすぐに現場に向かってみた
どうやら人身事故らしい
現場にはまだ被害者の物は散乱し現場は保持されていた
帽子、サンダル、近くのコンビニ帰りだろうかドリンクの缶が落ちていて少し離れた所に買い物袋も落ちていた
道路のアスファルトにはブレーキ痕
ブレーキ痕からひしゃげた自転車までは結構距離がある
車の前部はボコッと凹んでいる
周りの人の会話から心肺蘇生を試みた情報もあったがこの状況から見るに多分助からないだろう
ちょうど横断歩道の横で加害者が警察の取り調べを受けていた
『ドンという音が鳴って慌ててブレーキを踏んだ』
と言っているのだがそのブレーキを踏んだ場所は横断歩道を過ぎた位置
そしてさっきそこからブレーキ痕までの距離とブレーキ痕の長さ、現場の残留物まで距離と自転車のひしゃげ具合から見て結構な速度で走っていたのだろう
封鎖されている現場の処理状況から恐らく事故から一時間ちょっとくらい
いつも夜勤の私だからわかる。ちょうど薄明かるくなっている時間だ
多分無灯火だったんだろう
私は基本的に日暮れ~夜明けに活動するからわかるんだけど空が明るくなったからといって影に入れば車は見えなくなる。そしてあなたが思っているより早く日は落ちている
夜明け前や夕暮れ時は所謂『魔が差す時間帯』
『もうちょっといいかな?』なんて思わず太陽が見えなくなったらせめて前照灯だけでも点けましょう。早めの点灯はあなたとあなたの家族の人生を助けてくれます
車の運転は時折こういった悲しい事件を引き起こす
だが、一方的に車が悪いとも思えない
逆も考えられる
現場の横断歩道には押しボタン式の信号があるのだ
けど未明の車通りの少ない時間にわざわざ押す人は少ないんじゃないか?
多分押さなかったんだろう
信号が切り替わるほんの数分が待てなくて人生をショートカットしてしまったかも知れないと思うと少し悲しくなる
『急がば回れ』
昔の人は的を得た事を言ったもんだ
余談だが、この事故で一番のとばっちりを受けたのは私ではなくきっとムーンウォークでも行けるくらい近くにあるコンビニだろう
通勤ラッシュで渋滞が起こるほどの道が完全に封鎖されてしまったのだ
そう思ってちょっと寄ってみたら『コロッケ揚げたてでーす!いかがでしょうかぁー!』と元気な声を張り上げながらショーケースにたっぷりコロッケを詰め込んでいた
店内には私ひとり…
唐揚げやフランクフルトなどもパンパン、いつものように完売すると思っているのだろうか…?もしかして知らないのか…??
とりあえず何か悪い気がしたので揚げたてのコロッケを一つ買い、ハムハムしながら家にかえったのだった…
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