ベルセルク グリフィスが姫を襲った解説

ベルセルクの3〜13巻までの通称黄金時代編はとっても面白いですよね?漫画をかなり読んできた自分も最高傑作は?と聞かれたらベルセルク黄金時代編をあげます。銀と金や寄生獣やドラゴンボール、ハンタのキメラアント編等名作は多々思い浮かびますが完成度と面白さが圧倒的に突き抜けているのがベルセルク黄金時代編だと私は考えます。

さて、本題に入りましょう。グリフィスがシャルロット姫を襲ったことについてです。読んだことのある皆さんは少し疑問に思いませんでしたか?ガッツが脱退することに関し、ショックを受けているとはいえそこまで落ちぶれるか?と
グリフィスと言えば誰もが人目を置き憧れる聡明で勇猛果敢で戦が強い完璧超人というイメージですよね?平民出から貴族に出世するあたりかなりのカリスマ性があります。それにシャルロット姫は初対面の時からグリフィスを意識しており、グリフィス自身もその事に気づくというか利用する気満々と言った感じでした。また過去にグリフィスは団員の少年兵が死んだ事にショックを受け、更なる団の拡大を求め富豪に身体を売ったこともあります。自身の尊厳を切り売りしてまで成し遂げたかった国の獲得、幼少期の頃から一貫して夢を追い続けてきた男が何故自ら放棄するような行動を取ったのか、疑問に思いますよね。そう、放棄したというのが大事なんです。

まず前提としてグリフィスはガッツの事が大好きです。幼少期の頃から追い続け身体を売ってまで成就させようとした夢、それを唯一忘れさせてくれたのがガッツでした。そのガッツが自分の手元から消えてしまう、それは同時に夢が無くなることでもあるのです。この時点でグリフィスは夢<ガッツになってる訳ですね。そのためガッツが消えてしまった事で夢を明確に放棄することになったのです。グリフィスにとってはガッツの方が大事であったのに夢を優先してしまったためガッツを失ってしまった、一番大事なものを手に入れたい強欲なグリフィスは自身の選択ミスを自責し、加虐心が芽生えたのです。そしてガッツの気を引く為にも自分がなにか大きなことを起こす衝動に駆られたのです。あの時点でのグリフィスができる大きなことと言ったらミッドランド王国を手に入れることくらいしかありません。ですがそれはガッツなどの団員には容易に予想できる未来でしかありません。その為グリフィスが起こさないような身勝手な行動を取るしかガッツの気を引く事は出来なかったのでしょう。

また夢の選択はグリフィスにとってはとても大きいものです。グリフィスはシャルロット姫を襲い誰もが予想した通り処刑されました。ですがグリフィスの思惑通りガッツの気を引くことには成功し、またグリフィスの手元に帰ってきた……ように見えますがそうでは無かったのです。なんとグリフィス自身ガッツ以上の付き合いで信頼していたキャスカとガッツに恋愛感情が芽生えていました。ここでグリフィスはキャスカに対してもガッツ同様の感情を抱いてることに気づくのです。ガッツのために、国を獲得するという夢を諦めた結果キャスカとガッツを同時に失って絶望を感じたグリフィスは覇王の卵によって無理やり元来の夢であった国を得る力を手に入れます。

蝕の後のグリフィスの行動原理
グリフィスは蝕にてガッツに見せつけるかのようにキャスカを陵辱しました。これに対しネットではガッツニーガッツニーとよく言われていますがそれは間違いです。キャスカにも(もっと言うと鷹の団自体にも)ガッツ同様の感情を抱いているのでそれを明確に突き放す事によって元来の夢であった国獲得をより優先しようとしてるのです。ゴッドハンドとして受肉し、ガッツとキャスカに定期的にちょっかいをかけるグリフィスですが、ガッツやキャスカを突き放してまで手に入れた夢は本当に良かったのだろうか、ガッツやキャスカを放棄して良かったのだろうかという疑問を行動や言動で無理に正当化しているのです。

まとめると、グリフィスの行動原理は全て''夢''なのです。ガッツやキャスカと対等にただ生きるという凡庸な夢、平民出のなりで国を得るという壮大な夢、先に追いかけていた方を優先した結果に納得がいかないから無理やり正当化させようとしてるのが今のグリフィスなのです。結局グリフィスが自分の落ち度を認めれば終わる話だとは思います。(まあコルカスとかは永久に地獄を彷徨うことには変わりないけど)

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