皇帝陛下とお毒味役の異世界漫遊グルメ旅9話
皇帝陛下とお毒味役の異世界漫遊グルメ旅9話更新されました！
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サブタイ「牛ステーキとしみしみビファーナ」
ビファーナはB級グルメ感たっぷりのポルトガルのサンドイッチです。ビールに合いそう！ だけど作中ではスパークリングの白ワイン。缶ビールがない世界なので……
9話メニュー
パンと半熟卵のとろとろスープ
ジャックビーンズとベーコンの白ワイン炒め
辛子ソース添え牛ステーキ
地物エール
2時間前のしんなりフリット
揚げたてカリカリフリット
トマトソースしみしみビファーナ
微発泡白ワイン
以下はメニュー1行目のパンと半熟卵のとろとろスープのシーン抜粋です。固くなったパンのリサイクル料理で、ちょっとお茶漬けみたいです。
”「ネラさん。朝食がまだなんですが、何か簡単に出来るものはありますか？」
「賄いで良ければすぐ出せますよ」
そう言って出されたのは、カリッと焼かれたパンが沈んだボリュームのあるスープだった。ニンニクとコリアンダーが強く香り、スープ皿の真ん中で柔らかく茹だった落とし卵がゆらゆら揺れている。
いい匂いだ。香り高いコリアンダーが寝起きの食欲を呼び覚ましてくれる。
スープを一匙口に含む。毒物の感知なし。味付けは極めてシンプル。ニンニクとコリアンダーの生葉をすりつぶしたもの、オリーブオイル、まろやかな海塩のみ。それだけなのに、口中に豊かな味わいが広がる。こんがりと二度焼きしたパンの小麦の風味がスープに奥行きを出しているのだ。パンは気泡が大きく、スプーンで押さえるとたっぷり吸ったスープがじゅぶじゅぶ染み出す。卵は完璧な半熟具合だ。つるりとした白身に包まれた黄身を崩し、スープを含んだパンと絡める。とろとろとじゅぶじゅぶが溶け合って空っぽの胃に染みていく。
「起き抜けの胃袋に最高の朝食ですよ」
許可が降りたことを察したペリがスプーンをとって食べ始めた。
「美味いな！ 毎朝これでもいい」
ショウは幸せそうな笑みを浮かべてスプーンを口に運んでいる。
「美味しいです！ 卵がとろとろで……」
「ああ、これだ。前にエブロスに来たとき一度食って旨いと思ったんだが、店で出すところは少ないからなあ」”