横浜

2007横浜の世界SF大会日記 1

「NIPPON2007」は2007年に横浜みなとみらいで5日間に亙り開催されたワールドコン——世界SF大会です。このとき、私は学生時代以来ン十年ぶりにSF大会に参加しました。相当に勇気が要りました。SF関係の知り合いもあまりいませんし、一緒に行く人もいない。当時の私の生活はほぼ引きこもりです。しかし、日本でワールドコンが開催されるなんて滅多にないこと。本当に清水の舞台から飛び降りるつもりでの参加でした。でも行ってよかったと思います。

このSF大会日記は帰宅後しばらくしてYahoo!ブログに書いたもの。ちょっこっと文章を直したり、全体に長過ぎるのではしょったりますが、基本的にもとのままです。長いので連載形式にして、マガジンに纏めます。あとで有料にするかもしれませんが、今のところ無料です。


それにしても……昔書いた文章を今見ると恥ずかしい……;


(ココカラ)
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2007年 8月30日。


日本で、アジアで初めて開催された世界SF大会、Nippon2007。五日間続く大会は敷き居が高かったけれど一生の思い出と思って参加しました。ついでに通訳ボランティアもしちゃいました。

私の英語は独学のブロークンで通訳が出来るというほどのレベルではないのですが、ちょっと話せるだけの人も必要、とのことだったので思い切って登録。結果的にはボランティアをやって良かったと思います。知り合いも少ないのに、ただ行って座ってパネルディスカッションを見学するだけでは得られなかった貴重な体験をさせて頂きました。お陰でたくさんの方と知り合えましたし、そしてそれ以上の体験も。

写真は参加者全員に配られる登録証。これを着けていないと会場に入れません。赤いリボンはボランティア・リボン、丸い「通」バッジは通訳バッジ。



大会初日。

この日は朝一にニュースレターの通訳(翻訳ではない)に回されました。日米スタッフの意志の疎通を図るだけ、ということだったんですが、私に新聞原稿の知識がなく、記事の内容やどういう手順でいつ発行するかなども知らずに伝えるので話がトンチンカンに。少ししたら、紙面の翻訳をするためにちゃんとした英語の出来る人が来たので私はすることがなくなりました。だって、翻訳の方は通訳も出来ますから。で、ここに二人いても仕方がないと思い、ボランティアスイート(通称「ハローワーク」)に戻って別の部署に回してもらいました。振られた仕事はサイン会の通訳でした。ここに回されたことで、のちに驚くべき体験をすることになったのです……(←おおげさ)

サイン会の通訳はお客さんの要求を海外の作家さんに伝えるだけなので(その逆もあり)、私程度の英語で充分。サイン会のお客さんの言いたい事はだいたい決まってますから。ここに書いて下さい、名前を入れて下さい、大きく、小さく、日付を、写真撮らせて下さい……という感じです。
今日のサイン会はポール・コーネルさん、クリス・ボルトンさん、ジョー・ホールドマンさん、エレン・カシュナーさん。(そしてついに来なかったグレゴリー・ベンフォードさん……)
この日は初日で、サイン会の周知が不徹底であったためサイン会に来るお客さんはまばらでした。サイン会場がナンバーのついた部屋ではなく、「フォワイエ」と呼ばれる広い廊下のようなラウンジであったことも禍したようです。部屋でないので分かりにくいのです。会場であるパシフィコ側は壁に張り紙をするなということだったようですが、このままではお呼びした先生方にも失礼だし、お客さんにも不親切なので対策を考えることに。これは翌日から生かされます。

今日のサイン会のラストはエレン・カシュナーさん。「吟遊詩人トーマス」で世界幻想文学大賞を受賞された方です。カシュナーさんのサポートについた私は大失敗に気付きました。「吟遊詩人トーマス」を持ってきていたのに、ホテルに置いてきてしまったのです! ああ~~なんたる間抜けでしょうか…………。だってここに回されるまでサイン会があるなんて気付いてなかったんですもん…………('_;)

さて、カシュナーさんは作品のイメージ通り素敵な方でした。女優のような華やぎがあり、でも眼鏡をかけると途端に厳しい作家の顔に。(しかし、この時にはまだ彼女にもう一つの顔があることを知らなかったのです)
持ち時間の終わり頃、お客さんが途切れたので私もサインを貰う事に。本を忘れてきたのでサイン帳代わりの御集印帳にです(余談ですが、御集印帳は海外の作家さんには喜ばれました。屏風のようにぱらぱらと広がるのがウケました)。
「名前は?」と言われてバッジネームを見せると……「まあ、ririってキレイな名前ね! キレイ!」と、仰る。(エレンさんは「キレイ」という日本語を真っ先に覚えた模様で連発していました・笑) 
いえ、理理はPNなんです……と白状。それからいろいろ話しているうちにずるずるとファンタジーを書いていることまで白状することになり、結局名刺をお渡ししました……えらい度胸だ、自分……(滝汗)
カシュナーさんは「トマス・ライマー」の新装版(英語)の絵葉書にもサインしてくれましたv 表紙絵は日本人の画家でKinuko Y. Craftという方の作品。非常に美麗な絵を描かれる方で、いまアメリカでは大人気なんだそうです。もちろん、ちばひさと先生による日本版の表紙もステキなので、並べてアップ。

そしてこのとき、カシュナーさんの友人のデリア・シャーマンさんに紹介されました。デリアさんもファンタジーの作家で、最近カシュナーさんとの共著を出されたそうです。デリアさんはすらりとして背が高く、14歳の文学少女がそのまま大人になったような可愛らしい雰囲気の方でした。デリアさんとはその後何度もお会いすることになります。


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(続く)