2007横浜の世界SF大会日記2

大会二日目。この日は長いので三分割。


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2007年8月31日の1

この日はどうしても見たい企画が多く、申し訳ないけれどボランティアはお休みさせて貰う事に。朝一に向かったのは10時からのパネルディスカッション《異世界ファンタジーと大長編世界》。これはどうあっても外せません。

ゲストはロビン・ホブ先生、パネリストはひかわ玲子先生、深沢美潮先生、司会は篠崎砂美先生。パネルをスムースに勧めるため、ホブ先生には日本側から予めパネルでお聞きしたい質問をお送りしています。この質問は数カ月前からネットのアンケートで集められたものです。うちのブログからもお送りしているので、どう答えられるか楽しみでした。

ホブ先生登場! 時間通りです。ホブ先生は痩せぎすで背筋に物差しが入っているんじゃないかと思えるほど姿勢が良く、眼鏡の奥に光る眼光も鷹のように鋭い。そして全身から溢れる強い意志と知性を感じさせる女性でした。喩えて言うなら数学か歴史の先生というような硬派な印象です。(でも、もしホブ先生が学校で教えるならばやっぱりそれは歴史だと思いますね)ああ、フィッツに七難八苦を与えたのはこの方だったか……と何となく納得。

篠崎先生によるご挨拶と説明のあと、ホブ先生の挨拶。「ファーシーア」三部作を書くに至った経緯、なぜ今までとは違うペンネームを使うことにしたのか、など。
ペンネームを変えたのは作品の内容がそれまで書かれたものとは異質であるので、読者の混乱を招きたくなかったとのこと。また「ロビン」はアメリカでは男女どちらにも使われる名であり、作者の性別による先入観を与えない効果を期待したとのこと。
「ホブ」の方が妖精の「炉端のホブ」「ホブゴブリン」などと関係あるのかどうか知りたかったのだけれど、そちらには触れられませんでした。
「ファーシーア」世界の今後の展開についても少し触れられました。
ホブ先生のトークは淀みなく、通訳の方の日本語も無駄なくスムースで、この企画がよく準備され、練り込まれていることが判ります。

ホブ先生はいかにも真面目な方なので、ともすれば歴史の授業のように雰囲気が固くなるのですが、そいうときは深沢先生が軽いジョークで笑いをとって場を和ませてくれました。アメリカのお客さんもほぼ同時に笑ってくれるのがすごかった!

さて、パネル後半はホブ先生への質問です。
私の日記ブログから送った質問はコレ↓
http://ririshimada.blog4.fc2.com/blog-entry-1160.html

「わんこ飼っていますか?」は、他の方からの質問ですが皆知りたいところですよね。ファーシーアにおける狼や犬、馬の描写はとても素晴らしく愛情が篭もっていますから。答えはもちろん

「yes!」

わんこどころか、なんと狼犬を! 
 その狼犬はとてもとても特別な、親友のような存在なんだそうです。ああ~~羨ましい~~……まるでフィッツとナイトアイズじゃないですか……! そしてわんこの他にも猫や鳥、たくさんの動物たちと暮らしているそうです。なるほど納得!

そして意外だったのは「ファーシーア」世界のモデル。バックキープの地理的モデルは、なんと世界一巨大なヒグマがいることで知られるアラスカはコディヤック島なんだそうです。てっきり北欧のどこかだと思っていたんですが……言われてみればそうかも。荒々しい海と絶壁に囲まれ、冬は長く夏は寒く、脅威は海からやって来る……。
ホブ先生はアラスカ育ちだそうで、その厳しい気候と美しい自然とがあの妥協のない作風を育んだのではないかと思いました。

「ファーシーア」世界の黎明期の話は書くとしたらとても面白いものになるだろうけれども、今はそのご予定はないそうです。
ファンタジーを書かれる理由は、「自由」だそうです。
(そう、想像力を自由に羽ばたかせ、筆を走らせることの出来るファンタジーは素晴らしい!)
ナイトアイズはロンリーウルフのまま一生を終えたので子孫の話はナシ。
日本語版の表紙はとても美しいと思う……

そして。「ホブ先生の一番お好きな幻獣は?」
即答で、「ドラゴン!」(力、入ってました!)
そうでしょう、そうでしょう! みんな大好き、ドラゴン♪

その後、ホブ先生とパネリストのフリートークでは別の意味で吃驚する話を聞きました。日本のBL事情の話題になったとき、ホブ先生が厳しい表情で言われました。

「アメリカも同じです」

「そういうことを手紙で要求してくるファンもいます。そうでないのが不満なのです」

ひえええ~~! 直接、レターでですか!? し、しかも、フィッツとヴェリティを……むにゃむにゃしてくれ……ですと……?

……うへ~~アメリカのファンは大胆だ……

パネルのあと、ひかわ先生たちとランチをご一緒させていただき、日伊の幻想小説の掛け橋をされているマッシモ・スマレさんからも面白い話を伺いました。マッシモさんは日本語が堪能なばかりでなく、日本のサブカル・オタク文化にに大変詳しく、ご自身もディープなオタクであられます……凄い人です。

 そうこうするうちネットで知り合ったお友達と彼女の友人であるアメリカのカップルがメイドカフェにいるというメールが来たので駆けて行って落合いました。彼女とは遥かなる昔、同じSF大会に出席していたという不思議な縁。ネットがなければそんなこともお互いに知らないままだったと思うと感無量です。そして彼女のアメリカの友人は大変なビブリオマニアで、自宅には1万冊の蔵書があり、今回のワールドコンにはサインを貰うための本を40キロ分(!)持ってきたとのこと。アメリカのオタクはスケールが違う~~しかし職業は法律家だというので二度驚き。

そうそう、メイドカフェのメイドさんたちは本物の出張メイドさんだそうで、みんな可愛かったです。「可愛い」というのは日本独自の価値観で、いまやこの言葉も世界語になりつつあるんですよね。他の語で置き換えるのが難しいから。時間がなくてジェンダー関係のパネルには行けなかったけれど、そういう話もあったんでしょうか。
しかし可愛かった……v どうして人はミニスカメイドさんを見て可愛いと思うのか、誰かその辺を解明してくれないかなあ……カワイイの仕組み。

長くなるのでこの辺で分割。続きはまたあとで。

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(31日の2に続く)