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大好きなあの人は、もうこの世にいない


「大切な人が、いつまでも自分の目の前にいてくれるとは限らないんだ」


こう思わされる出来事に、4年前に出会いました。
思い出すと悲しいし、今でも胸が苦しくなるけれど
この出来事を通して、自分の中の価値観がガラッと変わったので。
今日はその話を書こうと思います。


ある女性との出会い

24歳くらいの人生迷子だった時期。
元々興味があったというのもあって、心理学を猛勉強しました。

勉強の一環として、プロのカウンセラーさんが実際にカウンセリングをやっている現場を見る機会がありました。そのときの相談者さんは、50代くらいの女性。どんなことで悩んでいるんだろう?と考えを巡らせながら、わたしは、カウンセリングの邪魔にならないように教室の片隅に静かに座っていました。

「母親が許せないんです。恨んでます。」

その人は確かにそう言いました。
「小さい頃から、お母さんが愛してくれなかった!」って。
最初は凄く怒っていて怖い顔していたけど、だんだん悲しそうな顔をして、大粒の涙を流してた。
小さい頃からこれまで何十年もずっと、ずっと。
お母さんのことが、嫌いだって。


でも、話を聞いてるカウンセラーもさすがプロ。
その女性の話をどんどん紐解いていくんです。


「それ、実はお母さんこんな想いがあったんじゃない?」
「ちゃんと、お母さんの気持ち確かめたことある?」
「お母さん不器用だね。それは、お母さんなりの愛情だったんだね。」

相談者さんの顔つきが、だんだん変わっていく。
柔らかくなっていく。
子供みたく、泣きじゃくってる。

「わたし、本当はお母さんのこと大好きだったんですね・・・。だから、お母さんにも同じように愛して欲しくて仕方なかった。やっとわかりました。」

そう言ってその女性は、泣きながらにこって笑った。
これまで背負っていた何かから全て解放されたかのようでした。


その一連の話を聞いて、
「よかったーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
って、私は内心ガッツポーズでした。何十年ぶりに「お母さん大好き!」って本心に気づけたとか最高じゃん、って。
「嫌い!!恨んでる!!」よりよっぽどいいよ。素直が一番だよって思いました。

でもその後に、女性から一言。


「実は、母は1ヶ月前に亡くなったんです。」


え?


一瞬、時が止まりました。


「母はもう亡くなったのに、ずっと心のわだかまりがあったんです。だから今日、ここに来ました。今日これからお墓参りに行こうと思います。でも自分の本当の気持ちに気がつけてよかったです。」

って笑って言いながら、その女性は教室をあとにしました。


忘れられない帰り道

帰り道。今でも忘れられない。

完全に余計なお世話ってことはわかってる。他人の話。
だけど、どうしても。感情移入してしまいました。


せっかく「大好き」って気持ちに何十年越しに気がついたのに、それを伝える相手はもういないんだ。
子供時代に自分の本心に気がついてたら、こんなに何十年も悩まなくて済んだのかな?
あと1ヶ月早かったら、お母さんと仲直りできたのかな?
「もうスッキリしました!!」って笑って言ってたけど。
それって、本当かな?本当は後悔、、、してるんじゃないのかな?


頭の中がそういう思いでいっぱいになって、モヤモヤして駅までひとりでトボトボ歩きました。なんかわからないけど、ずっと泣きそうでした。色々な感情に飲み込まれそうでした。


ここまで『無力感』を感じたのは、きっとこの日が生まれて初めてだったかもしれません。
それまでの人生は、自分が頑張れば、他人に助けてもらえれば、お金や時間を費やせばなんとかなってきた。本当にどうにもならないことって、あまり経験してこなかったんです。

でも、時間だけは巻き戻しできない。
何やっても、誰がどう頑張っても、大金を払っても。
過去にはもう戻れない。

1ヶ月だけ、巻き戻ししたかったな本当に。
お母さんに、ちゃんと伝えてほしかった。

この日を境に、自分の中の価値観がガラッと変わっちゃいました。



それまでの私は

家族も毎日連絡とるのが当たり前。
友達も、彼氏も。一緒にいてくれるのが当たり前。
「今日気持ちを伝えられなくても、いつか言えばいいや。」
って心のどこかで思ってたんです。
好き避けのプロだったし。人に気持ちを伝えるのが苦手な不器用な人間でした。


でもこれをきっかけに

目の前に大切な人がいてくれるうちに。
ちゃんと伝えられるときに。
頑張って、自分の気持ちを素直に伝えておこう。

って思うようになりました。


恥ずかしいから伝えないとか
自分が負けた気がするから言わないとか
自分のプライドが、とか。死ぬ程どうでもいいなと。
なんかもう、そういうのいいや、って心底思いました。


長くなっちゃいましたが!


「自分の気持ちを素直に相手に伝えよう」って今思えるのは
確実にこの日の出来事がきっかけだったので、noteに綴ってみました。
今日書いたのは、完全に私の主観であの日のわたしが感じたことです。
実際あの女性の笑顔は本当だったのかもしれないし、お母さんへの気持ちに気づけて本当に今は毎日楽しく過ごしてるのかなって今は思ってます☺︎



大切な人と喧嘩して、謝れなかったり。
好きな人がいるのに、告白できなかったり。
恥ずかしくて、日頃の感謝の気持ちをあの人へ伝えられなかったり。

そういう過去の自分みたいな人たちへ届いたらなって思って書きました。

恥ずかしい〜
勇気出ない〜
とか言っていられる内はいいですほんと。

その人が、自分の目の前にいてくれる内に。
伝えたいことは、ちゃんと言葉にして伝えておきましょ。

自戒の念も込めて。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました!!
読んでくれた方の心に、少しでも何か届きますように。


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