第17回俺達の少女Aの原稿解説的な何か

 ウマ娘のウェディングマヤノも、ブルアカのセイなるコハルちゃんも、
天井でお迎えと相成ったりっぷるです。デレマスの課金はお預けです。

 先月から2ヶ月連続での開催となったデレマスアイドルプレゼン企画
「俺達の少女A」第17回となった今回も腕によりをかけた音源ばかりで
たいへん楽しませていただきました。皆さんお疲れさまでした。

 普段は一人反省会みたいなことして振り返ったりしてますが、原稿のコンセプトとかブログやらに書いてるのをちょくちょく見るので「よーし、大正のおっさんもちょっとがんばっちゃうぞ~」と書いてみた次第。
(前回の分もやってないのに)

 実際の原稿を引用しつつ振り返ってまいります。
 以下、暇と興味のある方は御覧ください。

①:割と悩ましかった冒頭

ただ今出ておりますこの画像、これ左下の絵がないと冴島清美ちゃんだと分かる人殆どいないんじゃないでしょうか。改めて紹介します。今年の4月にシンデレラキャラバンで登場したSRカード「超 花鳥風月」冴島清美ちゃんです。

りっぷる_冴島清美

視聴者の目の前に一枚絵が表示された状態で音源が流れるのが「少女A」
のスタイルである。開始早々この画像がでんと表示された状態での第一声は
どうすべきか。ファーストインプレッションを大事にしつつ誰でも分かるところを入り口にしたい。
といわけで自分がこのカードに触れた際の第一印象をそのまま書く。
ただ喋り出しはもっと立てて読み上げるべきだと思った。反省。

②:言いたいことは早めに言うという原則に則り

左下の普段の彼女のイメージからは想像つかないバチクソ美人ですよね。
ただ、このカードは絵面以上に親愛度MAX時の台詞が印象的でして、
清美ちゃんが目指すアイドル像が端的に語られてます。
台詞の最初の方を抜粋します。
「花の美しさは一時だけのもの。季節が終われば散ってしまって、忘れられてしまいます。それがわびさび、でもあるんでしょうか。
 きっと私も、いつかは……」

今回のプレゼンで自分が言いたかったことは要約すると
「この親愛度MAX台詞、バチクソにエモいからみんな聞いて」しかない。
そこに自分なりの解釈と脚色をまぶしまくって約1100字の原稿に仕立て上げている。その極地が
「清美ちゃんが目指すアイドル像が端的に語られてます」の一文。
こんなん誰が言い出したよ。俺だよ。後から考えると随分デカイこと言ったな。まあそのくらいビッグマウスの方がインパクトあるから良いんじゃないかな。いいんだよこれから台詞を引用して解説するんだから。
適当って大事。

③バラさないでよ あいうえおさん!

「きっと私も」が指し示すものは何か。
言うまでもなく清美ちゃんはアイドルです。そしてアイドルがアイドルとしてやっていける時間は永遠ではありません。多くはものの数年で姿を消し、引退したら後には何も残らない。アイドルとは本来儚いものです。

「台詞を前後に分けるのが卑怯」とは、本放送時のあいうえおPの言葉だが実際そのとおり。ここで引用している親愛度MAX台詞のうち、
「きっと私も~」の下りは、実際には後半の段落で引用している台詞と
セットなのだ。本来の親愛度MAX時の演出はこんな順序で表示されていく。

画像2

画像2

原稿構成のためだけに「きっと私も」の一文だけ1つ目の画像の台詞とつなげて引用し読み上げたわけだ。
言いたいことを言いたいがために、台詞の切りどころを変えるという悪魔的所業の上にこのプレゼンは成り立っている。
だってこのまま読んだらその言葉の直後に答え言っちゃってるんだもん。
エモさを語りたいのに私の考察を挟む余地がなくなるんだから仕方ない。
うん、これは仕方ないことなのだ。

④:風紀委員に触れていく

ちょっと話が変わりますが、清美ちゃんはアイドルになる前から学校で風紀委員をやってました。ただあくまで自称風紀委員です。そもそも彼女の学校に風紀委員は存在しません。彼女は自前で伊達メガネと腕章を付けて勝手に風紀委員をやってます。
ですから彼女が卒業してしまったら。風紀委員も後に残らないんです。

話題を変えて別のことがらを並列させる場合、プレゼン全体がとっちらからないようにまとめ上げる必要がある。
そのために必要なのが最後の1行「後に何も残らない」というワード。
これがあるから前の段落で語った「アイドル」と、この段落の「風紀委員」のくだりが繋がる。
3分という尺で風紀委員について語れるのはこの150字くらいしかない。
この段落が意味のあるものにするためにも、このラスト1行は必ず丁寧に
読み上げる。
注目して欲しい場所はしっかり伝わるようにするのが大事。

⑤・⑥:肝となる疑問とその答え

どれだけ頑張ろうと必ず終わりが来る。卒業しますから。そして後には何も残らない。では果たして自分のやっていることに意味なんてあるのか?
そう、アイドル以前の、風紀委員の頃から彼女はこの儚い問いかけに向き合っていたはずなんです。

清美ちゃんが本当に向き合ってたかは定かじゃないが、そうじゃないと説明がつかないでしょ、という感覚で話を持って(盛って)いく。
解釈を語るプレゼンである以上、自説に自信を持って語っていきましょう。

重要なのは「自分のしていることに意味はあるのか」という問い。風紀委員やアイドルに限らず、終わりが訪れる事柄全てに通底する問いかけである。
割と重めの命題だが、それだけに後の回答でのカタルシスが強くなる。

そして今回のSRで彼女は「アイドル冴島清美」として、この問いに答えることになります。先ほどのセリフの続きを見ていきましょう。
「だからこそ誰かの記憶の中に刻まれるものになりたい。そう強く望むようになりました」

風紀委員ではなくアイドルとしてこの疑問に答える、というくだりで冒頭
の台詞に無理なく戻ってくる。今回プレゼンしたいのはアイドルとしての
冴島清美なのだから。そして回答となる台詞を引っ張り出す。
この下りと流れを思いついたのが、今回の原稿構成の決め手だったと思う。よく思いついたな、すげえな3週間前の俺。

⑦:売ろうとしている壺への導線張り

たとえ終わりがきても、誰かの記憶に残る存在であればいい。アイドルとしての自分の輝きは一瞬のものかもしれない。それでも、その輝きが誰かの心に残るなら、それでいいんだと。
魔法が解けてお城から姿を消しても、王子様がシンデレラのことを忘れなかったように。

前段落最後の台詞の補足。今回のプレゼンで私の個人的解釈が一番乗っかっているのはここだろう。壺を売るための導線でもある。

アイマスとは関係ない話だが、今年の3月にVtuberのギバラこと御伽原江良が、所属していた「にじさんじ」のVtuberを卒業したことが話題になった。彼女が引退したとき、ファン達の以下のようなコメントが目に入った。

「転生はしないのか。時期をおいて復帰したりは?」
「なぜ卒業したんだろう。これから彼女は何をしていくのか」

シンデレラたる彼女はいないのに、思い出という名の「ガラスの靴」
だけ持たされたファン達は、彼女のその後が気になって仕方ないのだ。
そういう意味で御伽原江良は、最後の最後までシンデレラをやりきったと
いえる。

記憶に残り未来永劫愛される。これこそシンデレラを冠するアイドルの理想像ではないか。この魔法だけは永遠に解けないのだから。

……なんていう最近のポエティックな事柄が今回のプレゼン、というか清美ちゃんの親愛度MAX台詞からも読み取れたことが、原稿構成に影響を及ぼしたのは間違いないだろう。

アイマス差し置いて熱中してたVtuberネタが少女Aの原稿に活かされる。
何が参考になるかわからんもんである。
あ、最近のお気に入りVtuberは西園チグサちゃんと夢咲ミアちゃんです。
それから大空スバルちゃんと紫咲シオンちゃんと因幡はねるちゃんと早瀬走ちゃんと(ry

⑧:本日の壺

自分がいなくなったとしても、ファンの心の中で生き続ける。これがアイドル冴島清美の望みなんです。後に何も残らないどころか、花鳥風月の如く時を越えて愛される。儚さを超えたまさに「超アイドル」ですね。

「超☆アイドルの超ってなんだよ」ってのは、清美ちゃんを語る上でよく出てくる話(?)だろうが、今回は上手いこと話題に合いそうなこのフレーズも利用させていただいた。使えるものは何でも使いましょう。
ちょっと考えれば分かるが「アイドル冴島清美の望み」なんて話、公式では語られた痕跡すらない。
今回引用した親愛度MAX台詞には続きがあり「プロデューサーの心にも自分が残って欲しい」というところに帰着するのだ。

画像3

つまり一連の台詞は本来、プロデューサーに向かって語られているものだ。
しかし古くからアイマスにおいてプロデューサーは、アイドルにとっての
1人目のファンという位置づけでもある。
ならば一連の事柄は「アイドルとしてファンの心に残りたい」という彼女の望みとして拡大解釈しても問題ないはず……という判断のもとで今回のプレゼンは組み上げられた。

繰り返すが「アイドル冴島清美の望み」について公式で語られた形跡など
ありはしない。
そう、誰も言ってないのだから、俺が言ったことが正義である。デタラメと切って捨てられないよう、きちんと根拠を提示できていればいいのだ。
今回のプレゼンは全てがこの自説を押し通すために作られている。

⑨:きれいに締めましょう

アイドルとはどうあるべきか。今回のSRカードで清美ちゃんは彼女なりの答えを我々に示してくれました。彼女がこれからどう我々の心に残っていくのか。これからの活躍が超楽しみなアイドルだと思います。

最終的にプレゼンとしていい感じにまとめます。終わりよければ全て良し。

……というわけで、今回の原稿を振り返ってみましたが、だいたいが
「自己解釈の押しつけ」であることがわかります。こりゃあ詐欺だぜ()
清美ちゃんからレッドカードもらいそうなレベル。

正直カード1枚、台詞1つのパンチ力はどんなもんだろう、と不安でもあったのですが、無事採用いただけたのは何よりです。みなさんの参考になればコレ幸い(ならないか)。

改めまして、今回は皆さん本当にお疲れさまでした。プレゼンをご視聴頂いた方々、本当にありがとうございます。



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