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長靴晴れたら

家にいる時間が増えたので、さぼっていた部屋の片付けをしています。子供のランドセルが2つ、捨てられなくて置いてあったのですが、来年度ようやく海外で必要な地域へ送ることにしました。

次女のランドセルには、いい音色で鳴る鈴がまだついていました。持ち上げただけでガチャリンガチャリンよく鳴ります。玄関を開けてただいまを聞く前から、鈴の音で帰ってきたのがわかったっけ。走って鈴の紐がぐるぐる回ったせいか、取り外すのに意外と苦労しました。

私の小学生時代は何をランドセルにつけていただろう。母も、何かしらの音を弾ませて帰宅してくる私を待ってくれていたのかな。ふと、小学生の頃の出来事を思い出しました。

雨の日は、雨の降り具合によって、いつもの運動靴で登校するか、長靴で行くか迷うところですが、たいていは運動靴で行きました。その頃は、長靴を履いて学校なんて格好悪いと思っていたのです。帰りに雨がやんでいたら、もっと目立つように思えたのも嫌でした。

しかし、朝から結構な大雨の日、母がどうしても長靴で行きなさいと。頭では納得しながらも嫌々長靴で登校しました。しかし、昼前には嘘のように晴れてしまいました。給食後、少し外で遊ぶ時間があって、みんな校庭へ出て行きます。私は長靴だから走れないなぁ。と昇降口の下駄箱を見ると、長靴が運動靴に変わっているではないですか。靴の中を覗くと縦長の細いメモの切れ端が入っておりボールペンで「マホウツカイ」と書いてありました。

後にも先にも「マホウツカイ」が来たのはこれっきりでしたが、その日帰宅してマホウツカイにお礼を言った記憶がありません。

今度電話で「あの時の事覚えてる?」と聞いて遠い日からのありがとうを届けようかな。





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