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行商かと思いきや

何年も前のことです。昼間自宅の玄関のチャイムが鳴り、インターホンで対応すると、観葉植物の鉢植えは要りませんか?と。

腰の曲がったおばあさんが1人、観葉植物を何鉢か載せた台車を押して立っていました。

ああ、玄関先に出てしまうと私はもう断れない人です。ひと鉢2000円と言われ、えっと驚いたけど手に取って選んでしまったのです。ドラセナという小さな鉢植え。お金が細かいのがなくて5千円札を出しました。

「奥さん、5千円あるんならもう1鉢買ってよ。可哀想な婆さんだと思ってもう1鉢買っておくれよ。」

さすがにこれは断りました。なんで5千円も使わなきゃいけないのか…

やはりチャイムには簡単に出てはいけない。顔をみてしまったら最後、買わされる。

そう心に決めた日でした。 

それからどれくらい経ったかのある日。また玄関のチャイムが鳴り

「ニクのオオサワです。ちょっとお願いします」

と言うではありませんか。肉屋まで売りに来たか!ここはインターホンのみで断らないと。

「いえ!頼むものはありません!」と顔を見ていないので強気で断りました。すると

「近所の二区の大澤です。区費の集金です。」

…は?

うちの地区は、町内会が富士見(仮名)一区、二区と分かれていて、役員さんが区費の集金をしに来たのでした。いや二区の発音が、完璧に肉だったので肉屋だと勘違い。ここら辺の地域独特のイントネーションにやられて、役員さんに失礼をはたらいてしまったという笑い話でした。

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