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「ちあき」と「なおみ」

J-POPじゃなくて歌謡曲。和モノもいいけど歌謡曲。ということで最近何の気分か、改めて歌謡曲を聴くのだが、この中にニューミュージック・演歌・アイドル等々何でも入ってしまうことを前提にタイムスリップグリコ森永事件。その時効を前提に最近ブチ当たってしまったのが、ちあきなおみ。ジャンル不問、まさに歌謡曲の人であろう。そして終いには歌謡曲を超えてしまった人。つまりは歌の人、歌う人。すいません勘弁して下さい、簡単に紹介させていただきますという感じで歌手。ぶり返しでややこしくさせてもらえば歌手の中の歌手。そんな有名といえば有名だが、どんな人が熱心に聴いてるのか見当がつかない。しかしそれは自分の想像力が乏しいだけで、既に『これくしょん〜ねぇあんた〜』という6枚組BOX他、幾多の全集やオリジナルアルバムの復刻(紙ジャケも有)もいくつかリリースされている。その中にVIRTUAL CONCERTという理解し難いベスト企画盤もある。Amazonのカスタマーレビューも熱い。着実にファンは存在し続けていることを感慨も新たにしっかりと認識する。しかし翌日には、ちあきなおみって誰が聴いてるんでしょうね?と「人間の証明」の如く他人に尋ねてみたくなる。逆に昭和歌謡の方々はロックアーティスト等と違ってオリジナルアルバムがキッチリと順番に復刻されたりしてないものだから、自分のような初心者にはどれから聴いてよいのやら、わからない程に迷う程に全集やベスト盤で溢れている。『ねぇあんた』だけ聴けば網羅かと思っていたのが甘かった今日この頃。『ねぇあんた』(というLIVEのための曲がある)は6枚組じゃなくて10枚組位にしてくれないと網羅出来ないよ、ちなみに6枚組でも10枚組でもレンタル料金は1枚分の値段なんだよ、そもそも日本だけのレンタルシステムってどうなのよ、いやいや廃盤になってるCDも置いてあるよ、今すぐ聴けるよ〜♪ 兎も角「ねぇあんた」と呼びかけられ、そして「おいで、おいで〜」(「夜へ急ぐ人」より)と片腕をつかまれ、スッカリ罠にハマっているわけだ。... わけです。さてここから、ちあきなおみの歴史に紐解きたいわけですが、このコラム、人に歴史あり的な毎回誰か一人にスポットを当てた波瀾万丈的な番組、いやコラムになっても困るので、勝手気侭に無邪気なままでゆらめきつつ、アンニュイに頬杖つきながらBARの片隅でひとり酔わせてほしいのです。と、こんな事をツラツラ書きツラねても字数が埋まる気配がないので諦めますと、1947年東京生まれ。で、この先ずっと現在まで続くわけですが、それをやっていくと『ねぇあんた』のライナーを丸写しというようなことになるので、あんまり気が進まないながら、芸歴は4歳のタップダンスから。日劇、米軍キャンプやジャズ喫茶、ロカビリーも歌い、『チャタヌガ・チュー・チュー』が得意だった。弘田三枝子伊東ゆかりなど周りのデビューを横目にオーディションは落選、前座やキャバレー、つまりはドサ回りを続け、69年ついに22歳でレコードデビュー。キャッチフレーズは「魅惑のハスキーボイン」「苗字がなくて名前が二つ」の二つ。サーキット72年『喝采』でレコード大賞受賞。歌い続けて20年、ネタからベタな「喝采」を浴びる。以後紅白(NHK紅白歌合戦の略)において重要な位置づけとして存在し続け、75年には紅組司会の佐良直美 (現・アニマルファンスィアーズクラブ主宰)が「大物・ちあきなおみさん、さだめ川... 」と紹介、76年は同じく佐良直美が「紅組にこの人あり」と紹介。しかし、ちあきなおみはその地位に甘んじることはなかった。うまいうまいと賞賛され、演歌をもっと歌え(元々『矢切の渡し』は細川たかしではなくちあきなおみの歌)などの要望を砕き、「人の心をナイフのようにグサリと突き刺す」歌手になるべく「日本の女の狂乱を感じてもらいたい」と語った問題作「夜へ急ぐ人」を発表。77年、同じく佐良直美が突き放すように(推測)「ちあきなおみの世界へどうぞ」と紹介。狂乱驚愕唖然パフォーマンスで歌われ、白組司会者は「なんとも気持ちの悪い歌ですね」とコメント。歌謡界から逸脱した78年、ミッキー吉野編曲・ゴダイゴ演奏のアルバム『あまぐも』を発表した後、結婚を機に休業。81年に復帰以降はシャンソン、ジャズ、ファドなどのアルバムを発表(CMにも使われた『星影の小径』は絶品)。88年、歌謡界に復活、11年ぶりに紅白出場。紅組司会者は残念ながら佐良直美ではなくアッコにおまかせ!。そして92年、魔の911に夫が逝去のため一切の芸能活動を停止。現在に至る。ちなみに、ちあきなおみを知らない方はコロッケ(食べ物ではありません)が物真似する人といえばわかるかもしれませんが、そもそもコロッケのちあきなおみのモノマネはピーター(日本人)がやっていたモノマネのマネであります。

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初出:JET SETのフリーペーパー「GATE」(2005年)


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