株価, 経済、金利

今日のテーマについて話す前にちょっと多分皆さんが興味があると思う今日(2020/3/6)の株価の動きを話しますと、マーケットは大きく下げたオープンしましたが、最後の15分ぐらいにだいぶ戻し、終値はSP500で前日の終値から1.71%の下落です。最後の土壇場で戻したのは空売りの買戻しが多かったからだと思います。最後の30分ぐらいは重要な時間で私はじっくり見ることが多いですが、NASDAQが200日移動平均値まで落ちてきて、そこから反発しました。DOWとSP500はすでに200日移動平均値を下に破っているので、NASDAQがここを守れるかが短期では一つの注目点になるでしょう。すごいスピードで落ちてきたので、ここが休憩点かもしれません。

今日はチャート分析ではなく、少しだけ私が注意しているファンダメンタルスの指標について話しましょう。株価を分析するのにファンダメンタルスとして多分私が一番注意して見ているのは金利と経済活動でしょう。より具体的には、金利は2年、10者の国債(Treasury)が主で、経済活動はGDP、インフレ(CPI, 消費者物価指数)),雇用状況です。

以前過去(50年だったかな)超長期の株価の動きを年足で統計的に分析(回帰分析)をしたものを見たことがありますが、そこではGDPと金利で株価の動きが相当説明できると書いてありました。GDPが長期の流れ、金利はGDPから出てくる長期な上昇トレンドのまわりの変動を説明することになります。ここにファンダメンタルスで株価を分析する根拠があるのですが。アメリカと日本を比べた時、長期の潜在経済成長率が前者で1%かそれ以下、後者は2%かそれ以上であるので、これで両国の過去2、30年の株価の動きの違いをだいぶ説明できるでしょう。ただこのアプローチを実際の株価の予想に使う場合欠点があります。それは今度はGDPと金利を予測しなければならないということです。また個別の会社の株価を予測するのには向いていないでしょう。GDPや金利の予測は色々な機関が行っているので、それらを使うのもいいでしょう。私の結論は、長期の株価、特にSP500などのマーケット全体、の動きをつかむのには株価と主要な経済指標との関係を頭に入れておくべきで、中期、短期での個別の株の売買にはテクニカル・アナリシスを使えばいいというものです。

さて、ここに述べた金利は株価分析にいろいろと使えるので、話しましょう。前に少し話しましたが、金利と経済の動きの組み合わせを考えるのが面白いです。一般的な理論では、経済活動には金利が低いほうがいいのですが、経済活動が活発になると資金への需要が増え、またインフレを招きやすく、金利は上がるか高止まりする傾向にあると言われています。逆に不況になると金利は下がるのです。しかし実際には必ずしも両者がこのような関係にはなっていない時期がいくらでもあるのです。四つの組み合わせがあります。①好況で金利が低い。②好況で金利が高い。③不況で金利が低い。④不況で金利が高い。このような組み合わせが出てくる一つの原因は実際のインフレ率です。そこでインフレ率も注目すべきでしょう。フェッドはバブルを常に非常に恐れています。それぞれの組み合わせの下で、株価はどうなるか検討してみましょう。

①好況で金利が低い。コロナ暴落が始まる前まで約10年続いた期間がこの株にとって非常に好ましい状態で、前に言ったようにGiirdilockなのです。あたかも投資家にとって、両手(経済と金利)に花で、花道をルンルン気分で歩いていくようなものです。このような時多くの株価は上昇チャネルを形成します。

②好況で金利が高い。この状況は経済が過熱しているか、フェッドが金利をどうしようと考えているかによって違ってきます。金利がそれほど高くなく、上昇率もほどほどであれば①の状況に近いでしょう。2018年の第3四半期にフェッドが金利を上げていくという発表をしたときは株価は大きく下落しました。インフレが低いのに金利を上げるのはおかしいと批判され、フェッドがよりハト派的になったと思われた時、株価はまた上昇を始めました。

③不況で金利が低い。この場合の金利低下は不況なので起こっているので株価にとって良くありません。リーマンと今回の暴落時にも金利は下がり経済への不安感が広がりました。ただ、下がった後回復を狙っている時期でもあるでしょう。

④不況で金利が高い。これはンスタグフレーションと言ってインフレ率が高く経済も不況の時起こります。1970年代石油ショックがあった時、スタグフレーションは問題になりましたが、今世紀に入って世界的なデフレ傾向になり、この状況は最近では心配する人はあまりいません。株価には悪いです。1970年代長期にわたってアメリカの株価は停滞しました。

ここで説明したかったのは株価の大きな動きを読むのに経済の見通し、フェッドの動きを注目する必要があるということです。短中期では株価はフェッドの動きに非常に敏感で、Fed Watcherと言ってフェッドの動きをいつも見ている専門家が大勢いるのです(あまり面白い仕事だとは思えませんが。)。彼らの言っていることは新聞などに出ますが、理解するのは難しい時が多いです。それよりも債権のチャート、それに伴うインディケーターを見たほうがいいかもしれません。





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