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英語に強くなる話 2:日本語との違い

昨日「英語に強くなる話」シリーズを始めたら株についての話よりずっと見てくれる人が多いので、ちょっとびっくりしています。これは多くの日本人が英語をうまくなりたがっていることを反映しているのでしょう。またそれだけ英語に苦しんでいる人がいるということではないかな。そう思うと、モー、このシリーズ続けてガンガン書きます。

昨日は私の名前を呼ぶのに言葉によってだいぶ違うということを書いたのですが、ここのところをもう少し深堀しましょう。もちろん日本語と英語ではいろいろな点でずいぶん違うのですが私が会話で重要だと思う点を話しましょう。英語を話すとき頭にしっかり入れておくべきことは昨日も書きましたが、アクセントが全然違うということです。一つ一つの言葉もそうですが、もっと重要なことは文章全体でのアクセントです。

簡単な例として、”I want to go to New York tomorrow."を採ってみましょう。聞き取れない場合、「もっとゆっくり」(Please tell me again more slowly.)と話し相手は言った場合を想定しましょう。この場合日本人は「アイ ワントゥー トゥー............]というようにフラットにゆっくり話すでしょう。相手がアメリカ人の場合これでは「ニューヨーク」まで話した時、文章の最初の部分を忘れ、誰が行きたいのかわからなくなってしまい、かえってわからなくなるでしょう。アメリカ人がゆっくり話す場合はアクセントをつける部分を強調して言うでしょう。すなわち"want"の最初の音節、"New", "tomorrow"の最初の音節でしょう。普通の会話の場合、極端に言うとこれらのアクセントが入ったところだけ言えばいいということなのです。

なぜこんなある意味でいい加減な話し方でいいのかは人間の脳が相当ちゃんとやってくれるからです。人は会話をしているとき、決して全部をちゃんと聞いていなくて、前後関係から、脳が勝手に補っているのです。すなわちこの会話の場合例えば相手は「この人どっかに行きたがっていたな。」という前知識があってそれがニューヨークで明日だということがわかれば、もう何を言いたいのかわかってしまうのです。試しにアメリカ人にこのアクセントをつけるべきところだけちゃんと口にして、あとはもにょもにょと言っても多分相手はあなたの言いたいことがわかるでしょう。前の文では「もにょもにょ Wa もにょもにょ New もにょもにょ tom もにょもにょ」でいいのです。

英語で話す前に何を自分は一番伝えたいのか、相手は何を知りたがっているかに注意して話すと会話はとてもスムーズにいきます。すなわち会話の最初に自分と相手との脳の波長を同期しておくことが大切です。マー、英語の会話だけの話ではないですが。これは私が大学などでの授業でもまず私が何をなぜ教えたいのか、そもそも、この科目、例えば、国際経済学、は何なのか、なぜ大切で面白いかを学生に話すのです。またこの科目そして私の授業の全体像を話します。すると学生の頭の中で、私のその日の話がどういう文脈、Context,の中にあるかわかるので、頭にずっと入りやすくなります。ある日突然「比較優位」などの話を授業でしても、学生は混乱するだけです。

フラットかアクセントかは同じラテン系の言葉のフランス語とスペイン語にも言えます。フランス語はアクセント重視、スペイン語は比較的フラットなのです。単語をとってみますと大体同じようなものが多く、文法も非常に似ていますが、聞くと全然違います。よく多くの日本人がスペイン語はほかの言葉に比べて学びやすく、フランス語はダメというのも、日本語がフラットだからでしょう。

ついでにスペイン語とポルトガル語の違いは面白いです。85から90%ぐらい同じ言葉なのですがスペイン語を話す人はポルトガル語の話が分からないのですが、ポルトガル語を話す人はスペイン語がわかるのです。これは専門家も含めて「どうして、どうして」と言っていたので、私も考えて、わかったのです!スペイン語はフラットですが、ポルトガル語はイタリア語よりひどく波を打つのです。広い意味ではアクセントなのですが。英語のアクセント重視とスペイン語のフラットが混ざったような厄介なものなのです。スペイン語とフランス語が混ざったような言葉という人もいます。ポルトガル語を話す人はスペイン語を聞いてもフラットなので、例えば書いた形を頭で想像できるのでわかってしまうのです。ところがアクセント的な波をつけたポルトガル語はスペイン語を話す人には文章にできず、混乱を招くのです。

英語もこの言葉の特徴は何なのか、ほかの言葉、特に日本語とどこが大きく違うのかを最初に話した方がいいと思うのですが、この様な話は聞いたことがありません。マー、残念ながらほとんどの日本の外国人教師も含め英語教師はここのところを自分たちが理解していない、その前に考えたこともないのでしょうがないのですが。




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