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英語に強くなる話 8:書く

さて今回は英語で「書く」ことについて話しましょう。前にも少し触れたと思いますが、「読む」、「聞く」、「話す」、「書く」の中で、この「書く」が一番難しいでしょう。「書く」はここで書く私にとっても難しい事柄です。しかし、これがないと四つのコンポーネントがそろわないのであえて書きます。大体私の知る限り、日本で英語の書き方を教えるところ、教えられる人がいるのかもわかりません。しかし、英語の書き方を多少勉強することで、英語の構造、話の筋の立て方などがわかってきます。英語への理解が深まるでしょう。外国人相手に英語で少し長いメールを書く時や、ビジネスでパワーポイントなどを使ってプレゼンするときなどに役立つはずです。もちろん、英米に留学なり、勤務する人には書くことは不可欠です。また、英語の話し方がシャープになり、的を得たものになるでしょう。

私が、ある程度英語が書けるようになったのは、二人のとってもいい先生がいたからです。一人は私のかみさんで、もう一人は世銀の上司です。私のかみさんは高校、大学と学校新聞の編集を担当していて、若いころは書くのが好きだったのです。また、日本以外のアジアで英語を教えていました。私が国連と世銀で書いたものをずいぶん訂正されました。(オレが国際機関でそれなりにやれたのはかみさんのおかげもあるかな。そういえば、もうすぐ彼女の誕生日だ。店はほとんど閉まっているからアマゾンででも何か買うか。)

世銀の上司は世銀に来る前、オーストラリアの経済学術雑誌の編集をやっていて、長年私もラッキーなことにほとんど個人教授というような形で英語の書き方を数年間叩き込まれました。私のペーパーは赤いインクのボールペンで真っ赤になって、数回ほとんど徹夜で書き直したのを覚えています。数年たってやっと彼から「だいぶうまくなったよ。」と言われた時は本当にうれしかったです。

この訓練で、よい英語文の構成、文章がわかってきました。自分で書くと頭に入りやすく、覚えていて、別の書き物で使えます。またいい表現などは話すときにも使えるのです。

この様な経験をした後は、私のアメリカ人やイギリス人でいい大学院の博士号を取ったような部下の英語なども直せるようになりました。この場合の「直し」は主にペーパーの構成、文章、パラグラフの順序です。下に書きますが特にペーパーの「イントロ」部分をずいぶん直しました。

日本でも仕事で一度外部の「専門家」の業者に私が忙しかったので私が日本語で書いたものを英語に翻訳すことを頼んだのですが、全然ダメでした。その「専門家」に、確かアメリカの大学を出た若い人でしたが、英語の書き方の講義をする羽目になりました。2回ほど書き直させたのですが、結局ダメで私がやることになってしまいました。

まず何を書くにしても、少し長いものであれば、きちんとした構成が必要です。私は日本語で書かれたものも英語で書かれたものをずいぶん読みましたが、(何しろ年を取っているので。)それらの構成は、日本語と英語ではずいぶん違います。はっきり言って、日本語の多くのものは何を言いたいのかわからないものが多いです。書いている方もエッセー的にだらだらと書き、書くことに目的があって、別に何かを伝えたいと思っていない場合が多いような気がします。日本の大学で教えている人やビジネスマンが書いた論文らしきものもずいぶん読みましたが、長く、細かい主題から外れたことを書き、要は一生懸命調べた、勉強したという証でしかなく、メッセージが何もない場合が多いのです。アメリカの大学やビジネスでこのようなスタイルで英語を書かない方がいいでしょう。

プレゼンでも、少し長いメールでも、基本的な構成は、①イントロ,②テーマをサポートする例、展開、議論、③結び となるでしょう。

多分イントロが一番大事だと思います。まず、はっきりと目的はなんで、なぜ重要なのかを背景の説明もして、書かなければなりません。そして、簡単に結論を書いた方がいいでしょう。次に、ものの長さにもよりますが、以下に議論をどのように展開していくのか、すなわち道しるべを(Roadmap)書きます。すなわち、「話す」「話すの続き」で話すときのコツを話しましたが、「書く」も同じで、このイントロで読む方の頭の準備をさせるのです。私などはこの「イントロ」に頭と時間の半分近くを使うでしょう。すでに書くネタがある場合、ここがちゃんとすれば、あとはそれに沿って書けばいいだけです。

日本文化がが勿論影響しているのですが、日本語で書かれたものの順序は、状況、展開があって、やっと最後に結論を持っていきます。いや、下手すると結論などないのです。一つの問題は日本の中学、高校、大学では、あまり日本語を書く授業がないのです。大きな日本教育の欠陥だと思います。ですからそもそも日本語で少し長いものを多くの人は書けないのです。

多くの日本人が書いたものの一つの特徴は、簡単にペーパーの趣旨とまとめを書いた「イントロ」がほとんどないことです。話すときも同様で、結論がなかなか出てこないのです。私も昔は、よく世銀の会議などで「あなたの言いたいことは何。まずそれから言ってよ。」と言われたものです。ある意味では、情報が氾濫して、皆が忙しい今日、聞いている方、読んでいる方は早く結論が知りたいのです。結論が詰まらなかったら、もう聞かない、読まないというマー、世知辛い世の中になったということかな。

この基本的な書き方はパラグラフ(Paragraph、段落)にも使います。各パラで何を言いたいのか最初の方の文章(最初の二つ、三つ)が示さなければなりません。忙しい人はパラの最初の文章だけを読むという早読み法を使いますから。一つのパラにはそこで言いたいことに関連したこと以外は書かないでください。読者が混乱します。少し細かいことになりますが、同じパラでは同じ言葉が二度以上でないように注意するというのが原則です。困ったときは類似語、反意語辞典、Thesaurusがあります。アメリカの大学生はほとんどみんな持っているんじゃないかな。

また、長い文章は避けた方がいいです。読みずらく、長いので読んでいるうちに何が言いたいのかわからなくなります。パンチがないのです。人の書いたものでも自分の書いたものでも、長い文章をいかに短くするかの練習を薦めます。

話すときもそうですが、相手の、この場合読む人の知りたがっていること、状況、興味、などを考慮して書く方が何であれずっと効果的です。私は、これをするのに、ペーパーのテーマにそれほど興味のない他人になって自分の書いたものを読んでみるのです。すると、ここはだらだら長すぎる、ここは何を言っているのかわからない、ここは読む方は興味を持たない、ここはテーマに関係ない、などが見えてくることが多々あります。その時は勇気をもってバッサリ切り捨てるのがいいでしょう。

単語や文章を覚えるのに書くことは非常に効果的です。「文のパターン」に入るようないい文章は口ずさむだけでなく、書いてもいいでしょう。

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