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英語に強くなる話 6:話すの続き

前回ちょっとどうして日本人が英語に強くなれないかみたいなことを書いたので、今回はそれらのハードルをどうやったら乗り越えられるかを話しましょう。しかし、前回で述べたようなハードルが多くの日本人にはあるということはときたま認識することも大切でしょう。

さて、私が昔英語について、小さなパーティでショックを受け、今でも鮮明に覚えているある事件について話しましょう。他でもない、私の中学時代の家庭教師(Aさんとしましょう。)がジュネーブ近郊にある私の家に遊びに来た時のことです。私の友達のアメリカ人夫婦がジュネーブのレマン湖のそばにマンションを借りていて、年に一回行われる花火大会の花火がそこからよく見えるので毎年小さなパーティを開くのです。私は友達の許可を得て、Aさんも一緒に行くことになったのです。正直言って少し心配でした。Aさんは宗教歴史の学者で、ドイツ語、ヘブライ語は非常にうまいのですが、英語はマー、マーでした。パーティでしょんぼりするのではと思ったのです。

まーいいかーと思い行きました。そこで私に言わせれば、ほとんど奇跡のようなことが起こったのです。みんなに紹介して、ワインを少し飲んで、私は知っていた友達などと軽い会話をしていたのですが、気が付いたら、5,6人の外国人が群れをなしてある人と一生懸命話しているのです。ナ、ナ、ナントAさんがパーティの主役になっていたのです。ショックのためあまり覚えていないのですが、ドイツの話、イスラエルでの発掘の話、モーバンバンやっているのです。そこにはユーモアも交え、みんなが時々どっと笑うのです。なんだ―これはと本当に思いました。

それからあとこの事件はいろいろなことを考えさせてくれました。Aさんは絶世の美女とは無縁なのになぜ初めて行ったパーティの花形になったか。私の分析では以下の要素がうまく絡んでいたと思います。①絶対的にすごい人間的魅力。②知的なユーモアのセンス。③広く、深いいろいろな分野の知識。④魅力的な人を誘い込むような無邪気な笑顔。⑤これらの素晴らしい特徴を絶対誇って見せない,すなわち決してえばらない。

英語が強くなるためにはAさんのようにならなければダメとは言っていませんが、(努力はしてきましたが、いろいろな面で私も全然及ばないのですから。)ここに多くの英語がうまくなる要素があるのではと思うのです。ここではその一つ、いろいろなことについての知識について話しましょう。

多くの日本人が英語での会話のグループに入っても、ただニヤニヤしかできなく、気持ち悪がられるという話(Inscrutable Japanese、得体のしれない、不可解な日本人)は聞きます。これは何を話していいかわからないし、大体日本人同士でも、会社の仲間やそれ以外の仲良しグループ以外の人とは話したことがないケースが多いのです。で、多くのあまり知らない人とも話す経験を積まなければならないのですが、ジャー、最初はどうするか。バーチャルリアリティ(Virtual Reality, VR)のようなことをするのです。つまりあるグループと話すことになっていたら、何を話すか、自分で演技をするのです。独りごとになるので、どっか他人がいないところで。グループである会話のテーマが終わったときに自分のテーマを提案し、その話の大きな流れを作るのです。そしてVRで誰かがこう言ったらこう言うという風に練習するのです。

これをうまくやるにはあるテーマについての知識が必要です。少し勉強するのです。ここでもユーモアを入れることを忘れないでください。テーマは自分が興味を持っているものでいいと思いますが、音楽、小説、最近の出来事、最近読んだ面白い新聞、雑誌記事、前にグループが話したことなどが候補でしょう。ちょっと話したら終わりとしないように、どう会話を展開させるかを考え、用意しておいた方がうまくいきます。

練習するときは必ず声を出してください。声を出すとそれを自分の脳は関知して、より確かなものになります。又、のども戦闘準備態勢にしておくのです。

自分が興味があり、知識があることだとだいぶ話せるのです。この件で私が青山学院大学で一時限だけ講演したことを思い出します。その授業は英語で行われ、学生の半分以上は帰国子女だったと思います。国際援助について話し終わって質疑応答になったのですが、幾人かの学生(ほとんど女性、彼女たちは一所懸命よ。)が、多分帰国子女なので上手な英語で、質問しました。そのあと、一人の女学生が質問したのですが、明らかに、彼女は帰国子女ではなく、あまりうまくない英語でした。私は感激して、(だって周りはすごく英語がうまいやつらばっかりなのにたどたどしい英語で質問するにはすっごく勇気がいるんじゃないかなー。)モー彼女を少しでも勇気づけようと、一生懸命答えちゃったのを覚えています。また少し話がずれましたが、言いたいことは自分が興味のあることは英語があまりうまくなくても話したくなるということです。

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