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英語に強くなる話 7:きれいに話す

会話の重要性は驚くほど国によって違います。アメリカでは日本よりはるかにしゃべることを重要と考えています。私の知る限り日本が一番寡黙な社会です。同質社会だからでしょう。これが日本人が語学が苦手な理由かな。日本ではむっつりしたサムライみたいのが、「黙って俺について来い。」などというと、人が付いてくるのでしょうが、アメリカではあまり人はついてこないと思います。日本の時代劇に出てくる主人公の格好いいサムライはあまりペラペラしゃべってはいけないのです。よくしゃべるのは漫才師か太鼓持ちです。これは大切な約束事です。一方、多文化、多人種の国アメリカでは黙っていてはほかの人は何だかわからないので、無視されたくなければ自己主張しなければなりません。また、話す場合できればきちんときれいな英語で話してください。こうすると、人は、教養がある、教育程度が高い、信頼できる、(給料もだいぶいいんじゃないかなー。)と思ってくれます。と、なんかいいとこだらけなので、どうせ話すならきれいに話すことを練習した方がいいでしょう。

これに対し、いや、どんな形でもいいから話した方がいいという意見があるでしょう。はい、黙っているよりずっといいです。ただ勉強し、練習する段階では、きれいな方がいいと思います。

あまり砕けた言葉、スラング、流行りの話し方などはやめた方がいいです。これはアメリカに来てしばらくたった日本人留学生がよくやります。マー、アメリカに来てしばらくして少し英語がうまくなってくると、アメリカ的にもっとなろうとしてやるのです。例えば”gonna", "wanna"などです。"gonna"は  "going to"  、 "wanna"   は"want to"を略したもので、アメリカ人もよく使うのですが、気を付けて聞いていると教養、教育が高い人は特にビジネスではほとんど使いません。正直言ってそれほど英語がうまくない日本人がこれらを使うと、みえ、みえなのです。ここのところは我慢して、"will", "plan to", "want to"なり"would like to"などを使うのがお勧めです。

スラングや汚い言葉を英語でfour letter wordsと言います。これらの言葉は例えば"shit"や"damn"など4文字が多いからです。(Joan Baez の"Love is just a four letter word." を思い出しました。いい曲ですよ。)これも同じような理由で辞めたほうがいいです。

流行りの話し方は例えばだいぶ前になりますが、いわゆるCalifornia Student Talkというやつで文章の最後をちょっと上げるのがあります。これはかわいい女子学生がやるとまーいいのですが、ほかの人には向いていません。あまりやると耳障りになります。怖いことに多分癖になってしまって今でもこれをやっている人がいるのです。そのほか、黒人的なアクセントを入れて話す、スラング、four letter wordsをふんだんに入れて話す。お勧めできません。

日本でよく見かける少なくとも私が非常に嫌う”英語の話し方”はテレビのドキュメンタリー、ニュース、やバライエティ―などの番組によく出てきます。これは日本で外国人に英語で話しかけられ、めちゃくちゃに照れながらしどろもどろの英語らしい言葉を発する動画です。これは驚いたことに私はテレビで何回も見ましたが、日本人が外国人に話しかけられたときの、スタンダード(Norm)な反応となっているようなのです。私はここに日本人の英語、外国人に対するかなり深いなにかがあるように感じ、考察してみました。

まずこんな恥ずかしい格好の悪いところをなぜテレビで撮るのか。なぜインタビューしている人は助けないのか。ここのところは簡単で動画を撮っている人もろくに英語ができず、またこの恥ずかしいシーンは予定してたというか、モーやらせに近いのではないかと思います。だってこれがスタンダードなのですから。逆にここできちんとした英語で答えたら、大変なことになるのです。先ずこの番組のプロデューサーが予定していたシナリオが完全に崩れるのです。予定では、スタジオにいるみんなで「英語はみんなダメだよねー。この間も私にも同じようことがあって、困っちゃった。」「そう、そう、私も。」とみんなで慰めあって、仲間意識を強めることになっていたのです。また、テレビを見ている人は英語で話しかけられた人が、しどろもどろになっているのを見て、安心するのです。「こいつ、英語ずいぶんひどいな。オレよりも下手だな。まーそんなもんだろー。」と。ところがきちんとした英語なんかが出てきたら、劣等感に襲われ、頭痛がし、気分を害し、チャネルを変えてしまうでしょう。そうなると、この番組のプロデューサーの責任問題に発展します。「なぜ、あんな英語ができるやつを出したのか。事前にちゃんと調べなかったのか。」人事問題にまで展開するのです。

次になぜ外国人に話しかけられた人は何も悪いことをしたわけでもないのにそんなにしどろもどろするのか。(ヤラセでない場合。)この国際化時代に英語ができない自分が悪いと思ってしまうのか。でもこれはあまりにも悲惨的な日本の英語教育によるもので、その人の責任ではないと思うのですが。(多くの日本人の中学、高校の英語教師もこういう場合、おたおたするでしょう。)

私の考えすぎかもしれませんが、このような状況は、外国人、特に白人に対する劣等感の表れではないでしょうか。このシーンは昔の下級武士がより位の高い武士にへつらう場面を彷彿させます。戦後はまだ終わっていないのです。何回も何回もテレビでその時のことが流されるので(特に8月)、多くの日本人の中には終戦直後、飛行機からコーンパイプをくわえて出てきた背が高く、毅然として、サングラスをかけ、なにしろ格好いいマッカーサーがアメリカ人だというイメージがあるのでは。日本人は白人に比べ背が低く、いつもおどおどしていて、格好の悪いもので、ランク的に白人より下という考えが多少あるのでは。英語を話されたときの、恥ずかしいシーンも相手が例えば東南アジア人だとだいぶ違ったものになるような気がします。

このブログを読んだ人は、このような場面を想定して、前に書いた「文のパターン」の中に" I am sorry.  I couldn't understand what you just said. Could you repeat it for me?"、それでもわからなかった場合に備え、" I am sorry but I don't think I really understand what you said.  My English is not good enough."を入れて練習してください。そして実際そのようなことになったらニヤニヤしないで、ニッコリと微笑み、毅然とこれらの文章を言うのをお勧めします。慣れないうちはゆっくりとあたふたしないで、アクセントをしっかりと入れて話してください。

今回の記事はちょっと議論を呼ぶようなもの(Controversial) なので、コメント大歓迎です。私は議論、おしゃべりが大好きで、そこからまたいろいろなことを考えますので。

 


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