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英語に強くなる話12:アクセントの話

ちょっとくどくなるかもしれませんが、日本人が英語を話すのに多分一番重要なことはアクセントに気を使うことです。テープ、テレビ、ラジオなどできれいな英語を聞いたら、文章、単語のどこにアクセントをつけて話しているか注意を払って、自分もまねて話すとき、思いっきりアクセントをつけて練習してください。少しやると、前とはずいぶん違うことに気が付くはずです。そー、なんかアメリカ人になったようになるかも。(そんなのやだー、私は断じて大和男児、なでしこという人もいるかもしれませんが。)以下アクセントに関してのちょっと面白い話をします。

昔まだ私のおふくろが生きていたころ、夕食の準備を手伝っていたかみさんにおふくろが日本語で「あなた、ソーセージ好き?」とフラットに効いたのですが、かみさん全然わかりません。おふくろは「ソーセージ、ソーセージ」と2,3回言ったのですが、かみさん困ってしまい、「Taka、ちょっと来て。」となり、私の登場です。そして説明したら、「なんだ。ソーセージか。」とかみさん思いっきり「ソー」にアクセントをつけていい、一件落着。おふくろが生きていた時はこんなことがしょっちゅう。今ではいい思い出です。ここでもソーには思いっきりアクセントをつけ、あとはもにょ、もにょでいいのです。ほかの日本語化された英語も同じように。

前の記事で英語は単語の最初の音節にアクセントがかかるといいましたが、長い単語は違います。International は"na", Constitutionは"tu"で真ん中あたりにアクセントが入ります。フランス語はみんな最後の音節ですが。

私の印象では、英米人はときたま自分の教養を自慢するのに、ちょこちょこ、フランス語やラテン語の単語を文章に混ぜます。Bona fide, haute culture, de jure, de factoなどです。英語が少しうまくなったら、こういう単語を会話に取り入れれば、アメリカ人もびっくり!になって面白いのでは。

ただ気を付けなければならないのは、フランス語の場合アクセントは単語の終わりの音節に来るということです。これは結婚前、私と今のかみさんが交わした会話を思い出させます。Pathetiqueはもともとフランス語(もともとはラテン語だと思いますが。)で、「悲愴」という意味です。この言葉は英語にもなってしまったのですが、変形して、patheticで「哀れな」「痛ましい」という意味で使われます。かみさんとの会話でチャイコフスキーの交響曲6番のことを私が話そうとして、英語流に最初の音節にアクセントを入れたのです。そしたらかみさんの笑うこと、笑うこと。すなわち私が言ったことは、「交響曲6番は全然ダメ。」というような意味なのです。かみさんは私が言いたかったのはアクセントをフランス語流に最後の音節に入れたやつだとわかったのですが、彼女自身もアクセントの入れ方で意味が全然違ってきてしまうことに気が付かなかったのです。なんか大昔ののろけ話、すいません。

次の話は、ちょっと出来すぎていて、うそのお様な話なのですが、状況を詳しく聞くと本当にあったようなのです。これはアメリカをキャンピングカーで旅行した若いフランス人のカップルから聞きました。あるところでキャンピングカーを止めて寝ようと思い、そこは水道、ガスなどの設備があるところで、ベッドのシートをそこの管理人から借りようと思い、「シートを貸してくれ。」(I would like to have a sheet for my bed.) といったそうです。ここで大問題が起こるのです。フランス人語では大体音を伸ばさないのです。すると、恐ろしいことに"sheet"が”shit"(くそ)になってしまうのです。アメリカ人の管理人からすると、なんか英語ができない外国人が「くそ、くそ。くそをくれ。」と叫んでいるのです。

同じような話はスペイン語でもあります。私がコロンビアへ出張で行ったとき飛行機内できれいなスチュワーデスが(どうでもいいけど、女の人が出てくると必ずと言っていいほど「きれいな」とか「魅力的な」などの形容詞がつくな。)昼飯の時、「チキンとビルとどっち?」と訊かれ、私は「ビル」がなにかわからないのです。やっとわかったことは彼女が言いたかったのは"veal"(子牛)だったのです。スペイン語もフランス語同様ことばをのばさない。さらにスペイン語では”b"と"v"の区別がない。すると”veal"は"bill"に変形するのです。

私がこのような話で非常に頭に来るのは「ボージョレ―ヌーボー」です。「ヌーボー」は勿論フランス語の"nouveau"なのですが、何回も言っているようにフランス語ではアクセントが最後の音節に来ますから「ヌボー」でなければいけません。どこからこんな初歩的な間違いが来たかと考えました。多分何年も前どっかのフランス語ができないワイン輸入業者が”nouveau"の最初の部分は”ou"と母音が丁寧に二つあるから、ここは伸ばすのだろうと思ったのが始まりでは。しかしここで"u"は使えないのです。"nu"はフランス語では「ニュ」になってしまいます。「う」と発音するのに”ou"を使うので決して伸ばすためではないのです。「ヌーボー」などといってもフランス人はわからないでしょう。どうしてこんな初歩的な間違いを日本のテレビも新聞も使っているのかわかりません。ほかにもたくさんありますが、今日はこの辺で。


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