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川崎ヘイト街宣へのカウンター - 2021年2月13日(土)/神奈川県川崎市

2021年2月13日(土)、神奈川県川崎市川崎区(JR川崎駅東口)で行なわれたヘイトスピーチ街宣に対するカウンター(反対行動)の記録

 差別主義者・桜井誠氏が率いる「日本第一党」の元党員が立ち上げた差別扇動団体「日の丸街宣倶楽部」が、日の丸や旭日旗を掲げヘイトスピーチ街宣を行った。2回目の緊急事態宣言が発出されている最中だったが、差別を許さない人々が集まり反差別のアクションを行った。
 川崎市では罰則付き差別禁止条例が昨年7月に施行されたのだが、差別扇動街宣が繰り返し行われてしまっている。条例の運用を含め、川崎市は意味のある差別対策を実行すべきだろう。


【動画】

2021.2.13川崎ヘイト街宣へのカウンター(5分10秒)

 ヘイトスピーチ街宣への反対行動は、直接対峙するだけでなく、映像にあるように周辺でアナウンスをしたりチラシを配ったりすることも同時に行われている。
 今回も全体がわかるように、なるべく色々な場所を映すように心掛け、街宣場所とは反対側の無駄に封鎖されているエリアも撮影した。現場には2時間以上いたが、観やすくコンパクトに編集にしてある。
 ちなみに、意識して撮ったわけではなかったが、映像の1分31秒〜、初めてこの位置で俯瞰撮影をしたら白色横幕の中にはスペースがあることが分かった。私服の警察官が何か指示を出しているような様子が見えたので、警察の現場指揮所になっていたようだ。

 【写真】

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 今回もレイシストの差別街宣を無効化するカウンター側の大音量スピーカーが目立っていた。いつものK-POP(単なる嫌がらせ+撮った映像を著作権侵害で使えなくさせる作戦)に加えて、今回は「お経」がそのラインナップに加わっていた。街宣を行なっているレイシストもお経が流れていると話しにくそうにしていたように見えたが、私としてもお経を聞くとその場にいてなんとなく落ち着かない気持ちを感じた。
 そんな大音量攻撃のオペレーターはスマホを片手に椅子に座っていて、このふてぶてしさも含めて非常に素晴らしい。できることなら、差別主義者なんて奴らに対しては力をなるべく使わず抑え込むのが理想だ。


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 毎度のことでもう驚くこともなくなってしまったが、街宣を終えたレイシストは駅のホームまで警察に見送ってもらい帰路につく。今回はその様子を警察の動きを中身に超ハイアングルから捉えた。


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 街宣が行われていた川崎駅東口駅前広場からJRの改札口までの通り道を確保するため、大量の機動隊員を使って駅の中央通路周辺での通行人排除が行われる。人を排除し、道を封鎖し、レイシストの進む道の用意が説明もなく当然の如く行われる。

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 警察の用意した道を悠々と歩き、警察官の後ろからカウンターを威嚇し強がって見せるレイシストの姿があった。ヘイトスピーチを繰り返し行う人々をVIPのような待遇で警護している警察にも現況の責任があることは明らかだ。今こそ警察は良心のみに従い、差別に反対する市民の側に立つべきだ。



KAWASAKI AGAINST RACISM !!!



【警察装備品コラム008:警察装備ウォッチ-1】

 この「警察装備品コラム」と称したおまけコーナーももう8回目になってしまった。今回は1つのテーマとして取り扱うには細かすぎるようなことを複数まとめて取り上げることにした。2月13日の現場で撮った警察官の装備品について警察装備研究家として好き勝手に書いていく。(写真5枚:約3900文字)

 写真1枚目、まずは活動服を着用しているこの警察官の情報を読み取っていこう。

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 左胸に着装している「かまぼこ型」の階級章を見てみると、全体が銀色で左右に金色バーが1本ずつあるので階級は巡査だと分かる。階級章上部にある識別章の番号標が裏返され「神奈川県警察」表示にされているが、これは警備系の警察官に多く見られるスタイルだ。この写真では少し見づらいが、左腕に緑色の腕章を着装しているので機動隊員と判別できる。

 この神奈川県警察機動隊巡査の装備品で私が注目したのは、耐刃用防護衣の肩ループに取り付けられた私物の緑色クリップだ。実は私も持っているのだが、Stream Trailの「Hung Up」という製品で、グローブやキャップなど身の回りの物を一時的にぶら下げておける便利なアウトドアグッズだ。これをグローブホルダーとして使っている警察官をたまに見かけることがあるのだが、このような目立つ色を見かけたのは初めてだった。もしかしたら、緑色の腕章に合わせて緑色を選んだのかもしれない。
 肩のカラビナから垂れているチェーンは「警笛用鎖」で、右胸のポケットに納められている警笛(ホイッスル)と繋がっている。制式装備品とは取付部分の形状が異なっていて、回転ナスカンが付けられている。


 写真2枚目、私服警察官が着ているミリタリージャケットについて考察をしてみる。

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 私服警察官が着ているミリタリージャケットと言ったら、刑事ドラマの影響で「MA-1フライトジャケット」だったり「M-51パーカー(モッズコート)」が思い浮かぶ。MA-1を着ている警察官は見たことはあるが、M-51は見たことがない。どちらも1950年代の軍服で、誕生から半世紀以上も経っているので、もう軍服というよりミリタリーファッションという認識に近いように思う。
 最近は写真のようなT.A.D.(Triple Aught Design) GEARのソフトシェルジャケットタイプやそのコピー派生型のミリタリージャケット(タクティカルジャケット)を着ている警察官が増えてきているような印象だ。実は私も持っているのだが、非常に機能的で着心地も良く、ポケットが多くて使い勝手が良い。また、両脇の下にベンチレーションのジッパーが付いていて、開け閉めで温度調節ができるので動く仕事にはありがたい。
 ちなみにこの写真のジャケットは、大元のTAD GEARのジャケットに影響を受けたCONDOR OUTDOORやHELIKON-TEXなどのタクティカルブランドが出しているジャケットのコピー品で、比較的お求めやすい価格帯の商品だと思う。働く人のウェアだ。


 写真3枚目、「警察装備品コラム006」で取り上げた私服に略帽スタイルの警察官が神奈川県警察にもいて驚いた。

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 略帽(りゃくぼう)とは、装飾や意匠が簡略化された制帽のことで、警察では災害救助、警戒、警備等に従事する警察官が着用する作業服とセットで着用する作業帽をそう呼称している。帽子側面に巻かれている白い帯が階級標識になっていて、白い太線と細線が1本ずつは警部補を意味している。
 この独特のちょこんとした形状は、昭和初期に採用された日本軍の戦闘帽型の略帽とほぼ同じまま令和の今も現役で使用されている。上の写真のように略帽を私服に合わせて着用している警察官もいるが、これは主に関西以西で見られるスタイルで関東ではまず見ない。10年近くデモの撮影をしてきた私でも警備の現場で目撃したのは今回で2例目(2人目)だ。
 以前も書いたが、2018年に出動服と略帽は新デザインが発表され旧型からの切り替えが始まった。残念なことに新型の帽子は普通のキャップ型の帽子で、これまでの独特の形状や白い帯の階級表示がなくなってしまった。昨年の夏頃から警視庁機動隊でも新型出動服の着用が見られるようになり、略帽終了の秒読みが始まっていることを強く感じた。

 少々話は逸れるが、1875年(明治8年)に日本陸軍の制帽は、礼装用の「正帽」をフランス式のケピおよびハンガリー式のシャコーに、軍装軍務用の「略帽」をドイツ式のシルムミュッツェに定められた。この時に略帽として採用されたドイツの帽子が日本における制帽(官帽型帽子)の元祖で、今でも警察をはじめ多くの制服用帽子として広く使われている。
 では肝心の警察官の服制に今の形の制帽が登場したのはいつなのか、そんな疑問が浮かんだので国立公文書館デジタルアーカイブで調べてみた。
 1890年(明治23年)に公布された勅令「警察官及消防官服制」に今の形の制帽が「常帽」として定められていたのを見つけられた。この時に制定された制帽はベースの色が濃紺で、腹まわり(おでこ部分)が白になっていて中央に金色のバッチが付けられていた。ツバは革製で表が黒で裏が萌黄色とある。幅1cm程の革製あごひもも付いていて、現在の警察官の制帽の原型と言える。

 さらに話は逸れるが、この明治23年の服制改定について、内務大臣の西郷従道が内閣総理大臣の山縣有朋へ宛てた勅令の草稿に説明文が添えられていて、読んでみると興味深いというかちょっと笑える。以下がその部分で、原文は読みにくいため、カナ文字や旧字体は直し適宜句読点を入れている。

秘甲第四九号 明治23年6月9日 内務大臣伯爵西郷従道
警視総監以下正帽正服は明治十四年十二月第百六号公達を以て制定し、警部長以下正帽正服は十七年一月第十二号公達を以て改定せられ候処、帽の製式たる実用に適せず、動もすれば脱落の恐ありて、急劇の場合に於てはしばしば困却を究むること少なからず。其他、服制に於けるも追々時世の進歩に従い、其制式の不完全なる其装飾の粗率なる等、体裁宜しきを得ざるものありて、職務上の威厳にも関する場合あり。故にこの際これを改正し適当のものに為なさんと欲す。
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M0000000000001724740

[現代語訳]
警視総監以下の正帽・正服は明治14年12月第106号達で制定し、警部長以下の正帽・正服は明治17年1月第12号達で改定されましたところ、今の帽子は実用に適しておらず、動けば脱落する恐れがあり、激しく動いた場合は度々困り果てることが少なくありません。
そして服制においても、時代が進んできて制服が不完全な装飾で飾りけがない等で体裁がよろしくなく、職務上の威厳に関係する場合があります。
ですので、この際これを改正し適切な物にしたいです。

 要するに、「警察官の制服を明治14年・17年に制定してもらったんですけど、ちょっと実用するにはアレでして、帽子は動いただけで脱げちゃうし服は時代遅れでダサくて威厳がなくチェンジして欲しい!」ということを申述べている。
 当初の制服は、礼装(式典用制服)と常装(通常の勤務制服)が一緒で、華やかな装いだったので動きづらかったのだろうと容易に想像ができる。明治23年になり、ようやく常装(略装)が定められてあごひも付きで動いても脱げない制帽が導入された。
 略帽は昭和初期から、制帽に至っては明治中期から使われいてるということがお分かり頂けただろうか。今回は略帽についてだけ書くつもりが警察の帽子の歴史にまで広がってしまった。


 写真4枚目、街宣場所への入口に立っていた複数の警察官の装備品の違いで所属を見分けてみる。

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 この警察官らも所属ごとに服装の斉一を図っているので、5人を2グループに分けることができる。答えから言うと、案内板を持っている中央の2名が川崎警察署の警備課で、左右の3名が管区機動隊だ。今回の場合は手に物を持っているのでなんとなくでも分かってしまうが、注目すべきはシルエットだ。
 管区機動隊は半長靴を履いていてズボンの裾をブーツにインしている。対して中央の2人は、見えにくいがベストを着装していない。そして、裾がストンと落ちている。このパンツシルエットは警察署員に多い。ちなみに中央左の警察官は青い腕章をしているので警備課に置かれている直轄警察隊員で、中央右の警察官は警備課員だ。細かい情報は腕章やバッチ等を読み取る必要があるが、「服装の違いは所属の違い」なのである。


 写真5枚目、最後はこの俯瞰写真から女性機動隊員を探してもらいたい。下の写真は押すと拡大されるので頑張って探してほしい。

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 この写真を見た時まず目についたのが、女性警察官が右肩に着装している白色の「警笛つりひも」だった。写真の中に女性機動隊員は3人いるが、そのうち2人は肩の白いひもが見える形で中央あたりに映り込んでいる。
 神奈川県警察では「女性警察官の服装の特例」として以下のような規程がある。今回は部隊行動をする場合に当たる。

神奈川県警察官服制規程
第28条 女性警察官は、次の各号のいずれかに該当する場合は、警笛つりひもを着装するものとする。
(1) 街頭活動をする場合
(2) 部隊行動をする場合
(3) その他所属長が必要と認めた場合

 ひもの形状はレニヤード(飾り緒)で、これはパレード衣装や参謀将校の軍服の肩から垂らしている金モールの一種だ。部隊の運用上、男女を分ける必要があり女性警察官には目印として着装させているということだろう。
 女性警察官以外にも、車の走る道路上で自身存在を目立たせる必要がある交通機動隊員等も白色の「警笛つりひも」を使用している。わりとレアなアイテムである。

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