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【感想】アニメ『ペリーヌ物語』〜世界名作劇場の王道にして至高のシンデレラストーリー〜

こんにちは、唐梨です。今日はアニメ『ペリーヌ物語』の感想について書かせていただきます!

※一部ネタバレありのため、気になる方はバック推奨します!
※ あるいは以下にて無料公開中なので、ぜひご覧頂きたい(公開期間は不明)。



『ペリーヌ物語』とは?

1978年に放送された、世界名作劇場の第4作目。原作はエクトール・アンリ・マロの『家なき娘』。1978年文化庁こども向けテレビ用優秀映画作品賞も受賞している。

毎週日曜放送、かつたまたま1978年は元日も大晦日も日曜であったため、話数が全53話とかなり多いのが特徴。そしてそれゆえ、ストーリーや登場人物が丁寧に作り込まれており、全編通しで見ると、大河ドラマさながらにとても見応えがある



なぜこんなにも面白いのか?

タイトルにも書いたが、ストーリーが王道にして至高!両親からの愛情たっぷりに育った主人公、にもかかわらずみなしごになってしまう主人公、祖国へ帰る過酷な旅、意地悪なヒール役、そんな中でも出会う親切な人たち、そして最後の大団円...。

勧善懲悪な場面だったり道徳的なセリフもあるのだが、それに予定調和的な堅苦しさを全く感じさせない。むしろ先のストーリーを知っている2回目以降の視聴でも十分面白いので「分かっていても惹き込まれる王道の中毒性」「心が洗われてピュアな気持ちになれる、キャラクター造形」の要素が大きいのだと思う。



逆に懸念点と、その払拭

時代が1970年代なことと、全53話もあるたっぷりした話数から、かなりゆったり丁寧な作品づくりになっている。そう、目先の1話だけでなく、53話全体でのクオリティに重きを置いている構成なのだ。現代に比べて「この1話で次も視聴してもらえるか決まる」要素が少なかったからこそできたのかもしれない。

また、どの口がモノを言うのかと恐縮だが、はっきり言って絵柄はかなり古い。だが、絵柄だけで視聴を諦めるのは本当にもったいない機会損失だから止めてほしいと心から言いたい。絵柄は見ていくうちに慣れるし、というか、絵柄が古いだけで、動作や目線などは細かな登場人物の気持ちが表現されている

なんにせよ、とにかく令和の感覚で見ようとすると、テンポ感や絵柄に違和感を感じてしまいやすいので、あくまで「40年以上も昔の作品であること」「むしろ40年以上の時を経ても残っているのだから、クオリティが高い裏返しであること」を念頭に置いて視聴して頂きたい。

その証拠に、YouTube無料公開中の最終回のコメント欄の数たるや、まさかの1000件超え!!!それも、2021年に公開されてこの数字である。視聴回数も25万回を超えており、そこらのYouTuberや最新流行のアニメよりよっぽど大ヒットであろう。時代を超えて愛される傑作なことがよく分かる数字である。



登場人物語り

ここでは、いかに登場人物たちが魅力的かを語っていく。


ペリーヌ

この物語の主人公。シンデレラ以上にシンデレラなんじゃないかと思うくらいのシンデレラストーリーを歩んでいく。そのぶん困難の大きさも最上級だが、持ち前の美しさと賢さとタフさと優れた人格で乗り切っていく。特に終盤の怒涛の展開は見ていて痛快なほど。

座学だけのお勉強ができるというより「地頭がいい」「頭の回転が速い」「利発」「聡明」「実践と行動に基づく経験値の高さ」といった類の賢さ

声がまた清らかで澄んでおり、今は亡き声優、鶴ひろみさんの演技が光る。ペリーヌの声だけでもイヤホンでずっと聞いていたいくらいマイナスイオンたっぷりに感じられるし、目が見えないゆえに文字通りペリーヌの音声のみ聞いていたビルフランがペリーヌを重宝していくのもむべなるかなと思える、天使の声音。正直これがデビュー作とは思えない。

誰もが羨む高い能力の持ち主ながら、それを全く嫌味に感じさせず、むしろ虜にしてしまう爽やかな無自覚天使。


マリ

ペリーヌの母。美人。かつ賢い。名言「人に愛されるには、まず自分が人を愛さなくては」は、大人になった今こそ刺さる。

マリのこの言葉があったからこそ、ペリーヌはビルフランのマリに対する誤解を解き、名誉を回復することができたのだと思う。まさに情けは人のためならず。特に第10話はマリという人間が濃縮された回なので、ここだけでもぜひご視聴頂きたい。


バロン

ペリーヌの飼っている犬。というより友達に近い間柄。シリアス展開も多めなストーリーにおいて、気楽に肩の力を抜いて見ることができる、憎めない愛すべきマスコットキャラクターポジション。でもここぞという時ははずさない、やる時はやる犬。


ロザリー

ペリーヌがマロクールに来てからの友達。人間離れした人格者や、逆に精神年齢が幼すぎる大人が出てくるストーリーにおいて、最も年相応で人間味があって等身大で感情移入しやすいキャラクターだと思う。

ロザリーの何がすごいって、ペリーヌの立場が変わっても、ペリーヌに対する態度を全く変えないところ肩書きに惑わされず、ただの「ペリーヌ・パンダボアヌ」個人としてペリーヌの幸せを願えるのは、何気にロザリーのものすごく優れたところだと私は思う。


ファブリ

たぶんこの物語で一番おいしいポジション。主人公を理解し支える王道の名脇役。仕事がデキて人望もある、爽やか好青年。38話『すてきなワンピース』でのペリーヌとの掛け合いはニヤつき不可避なので、ぜひご覧頂きたい


ビルフラン

ペリーヌの祖父。いかめしく厳格ながら、一代でパンダボアヌ工場を築き上げた実力者。だんだんペリーヌに心を開いていき、最後に孫だと分かってからは、ただの孫を溺愛する甘々おじいちゃんと化しているところも見どころ。ある意味、この物語で一番変化があった人



無料公開中

以上が『ペリーヌ物語』の魅力である。冒頭にも書いた通り、今なら無料公開中なので、まだの方にはぜひご覧頂きたい(公開期間は不明)。それくらい世界名作劇場の中でも名作である。

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