早見沙織「junction」レビュー

みなさん、こんばんは。
今回の早見沙織リリース月間は、最高でした。
倫です。

今回は、早見沙織さん(以後敬称略)の「JUNCTION」についてのレビューを書きました。

早見沙織「junction」

今回のアルバムは個人的に前作を超える予感とある悪い予感が両方していた。

前作を超える予感していた。
メロウネスに攻めながらもエモバラードで仕上げた「琥珀糖」、竹内まりやProd.曲よりもFUNKNESSに踊り、CLUBに行く人間たちへのアンセムとなりそうなPOPS「メトロナイト」を作り上げた時に完全に前作超えは約束されたものだった。

しかし、11月初頭にでたAnderson .Paakの「Oxnard」がある不安を産んだ。彼のアルバムはライブアレンジを重視したインディー臭のあるアルバムだった。その音作り感が上記に挙げた2曲と本質的な部分が似てると思い、PVに上がった「Let Me hear」を聞いた時にその不安が増幅させられたのだ。

そして発売日に聞いた時の感想は、両方の予感が見事に当たってしまったのだ。

だが、その予感が当たった時点で一点での希望は見つけられていた。
Anderson .Paakの「Oxnard」はある視点を見つければマクロ的にも多角的にも好きになる名盤だということだった。
その「ある視点」とは、「魂の救済と赦し」そして「愛するということ」だ。

TRACK面から見る「JUNCTION」

今回のアルバムのジャンルの引用元がジャズやFUNK、ゴスペル、HIPHOPやR&B、シューゲイザーなどを使ってるのも納得がいく。
HIPHOP視点から話していくと早見沙織がやるバラード系POPSの完成版であるSTUTSの「Fantasia」を超えたシューゲイザーソングの「祝福」、Chance the rapperなどのSAVE MONEYサウンドを引用し、Zion T的なギターサウンドのR&Bに仕上げた「little forest」、本人もインタビューでゴスペルを引用したと答えていた「jewelry」、エゴラッピンのオマージュソングである「夏目と寂寥」など引用元が沢山あるアルバムだと思ったのと同時に聞いてると直ぐに分かるアルバムだと思った。

その理由を考えると「音楽をビートで聴くか、メロディーで聴くか」という問題に繋がってくる。fnmnlのkid fresinoのレビューで書いていたが、

“『ài qíng』にはKID FRESINOの楽曲の分析力、しかもそれは流行っている楽曲のコードを解析するというようなマーケティングの視点”

ということが書いていたが、個人的にメロディーで聞いてるトラックメーカーはコードから引用するしているタイプが多いと思うし、ビートから聴いてるトラックメーカーは本質的な曲の良さを別の骨組みで入れることが出来るタイプが多いと思った。

早見沙織はどちらというとAnderson .Paakと同じ「メロディー」から聴くトラックメーカーだと思う。

その才能が出てるのは「Blur Noir」である。Anderson .Paak的な気持ちいいコード進行を完璧に狙ってる楽曲であり、R&B的な気持ち良さもありこのアルバムのベストトラックであると思ったからこそ、このトラック群達がブラックミュージックやFUNKやSOUL、ゴスペルという「救済と赦し」という骨格を作ってると思った。

そして、歌詞から見ても「魂の救済と赦し」と「愛するということ」がある事が明白だ。

歌詞から見る「JUNCTION」

「君」に対して恋がれたLet Me hearでのラインでは、

“神様の電話番号(ばんごう) 誰か教えてよ
聞きたいことばかりよ “One way”方式の選択肢の連続 どちらを選べば君に辿りつける?”
by Let Me Hear

神に対して恋か何か分からない自分の気持ちへの救済を求めていたが、最後の曲である「温かな赦し」では一転、

“うずくまったからだ すこしだけ抱きしめ
やるせなかった日々を恥じらうのはやめにしよう いいよ いいよ 呟いてみる”
by 温かな赦し

と神に対してというよりも自分が自分への救済をしようとしている。
どうしてそうなったのかと考えると、「別れ」という「愛する」という意味で一番重要な要素が何曲も入ってることがわかる。

もうあなた あなた あなた 一番乗り ごめんね
どちらの道へ向かいましょうか
もう時は無情 過ぎ去るのが 早いね
今晩はお別れよ じゃあねさようなら
by 夏目と寂寥

世界の終わりに君を見る
どこにもいかないでいて
なんにも言わずにおし黙る
唇 忘れていく すべてを 忘れていく
by 白い部屋

いまに明日が来るよ
全てはじまる 眩い碌でなしの渦
さらば されば 希望だけが残る旅路
by 祝福

いつか見たフィルムに擬えた
幻想(ゆめ)がもう、終わる
by Bleu Noir

バイバイ もうバイバイ
行かなくちゃ 心の向く方へ
バイバイ もうバイバイ
始まりを私が作っていくわ
バイバイ もうバイバイ
行かなくちゃ 心が動きだす
バイバイ もうバイバイ
始まりが 私を待っているわ
by Bye Bye

と引用した中でも別れをテーマにしてる歌詞が沢山あるが、日常や大切な人や友達、仲間との別れがあるが、それでも新たな人生が待ってるからこそ、自分という「個」を持つという、自分への「魂の救済と赦し」と自分を「愛するということ」が大事だと意義付けをした作品を嫌いになれるはずがない!!!

色々と書いたけど混沌とした2018年を締める作品として、「魂の救済と赦し」と「愛するということ」というテーマへと真摯に付き合い答えを出した歌詞と踊れるトラックを揃えてきた早見沙織の「junction」オススメです!!!

如何でしょうか。「JUNCTION」は色々と言いたいことを詰めれたけど、まだまだ調べが足りないし、語り足りないなと実感しながらも次の作品も楽しみにしてます。
押忍。

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