学生自治

2024/4/8

地方自治は民主主義の学校である。私が生活している学生寮の自治も例外ではない。実際にこの寮は議会に相当する寮生総会や、行政に相当する寮委員会が存在する。100名を超える寮生が生活している以上、民主的な方法で自治を行うべきである。しかし、寮という閉鎖的な環境の特性上、既存の体制に関して意見をあげることは地方自治、あるいは国家といった極めてスケールの大きい体制と同等もしくはそれ以上のハードルが存在する。

事の発端は本日行われた寮委員会であった。議題に上がったのは「夜間に食堂でポーカー等をしてもよいか」といったもので、「大声で騒ぐ声が迷惑である」という反対意見があがった。寮長ないし寮運営側の方針としてはコロナ禍で無くなってしまった寮生の交流を活発にしたいというものであったため、寮委員会でもこれらの議題に関する具体的な規則はつくられなかった。私自身、結果にはなんの不満はない。問題はこの決定をするに至った副寮長の言葉である。副寮長は「夜間の騒音に対して不満を述べるのは少数意見であり、そんなことにいちいち耳を傾けていたら何もできない」と発言した。この発言が直接的に寮委員会での結果を決定づけたものではない。

しかし私はここに民主制の危機を見た。

議題が多くの者にとってあまり重要でなかったがあまりに寮委員会に参加した者すべてがこの発言に対して何も声を上げなかった。

残念ながら私もその一人であった。

このようにして無意識に存在する少数意見への軽蔑は自治というシステムの癌になりうる。形骸化する前に取り除かなくてはいけない。それも民主的な方法で。民主主義の良し悪しは動作環境に強く依存するということを身を以て実感させられた。市民、ないしは寮生が常に議会や運営を監視し批判的な目を向けなくてはいけない。個人はどんなに小さなことでも違和感を持ち、その意思表示をするシステムがなくてはいけない。これらが成立してはじめて目指すべき民主主義が生まれると思っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?