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#BlackLivesMatterは Momentではなく、Movementだ。

2020年5月25日、世界史に刻まれる画期的なムーブメントに繋がった事件。アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性George Floydさんが9分46秒間、白人警察に膝で首を押さえ付けられ、死亡した。

同事件を契機に #BlackLivesMatter 運動が再燃し、日本でも連日メディアで取り上げられ、全米はじめ世界規模に波及したことは2022年現在になってもいまだ記憶に新しい。

2020年のBLM運動の最中、日本でも関心が高まっていた際、アメリカ南部に留学した経験から運動に対する率直な思いをSNSで発信をしはじめた。そして度々周囲から聞かれることがあった。

「今回のGeorge Floydさんの事件について、どう感じた?」

この問いに対し、私は一貫して「正直何も驚かなかった。」と答えていた。なぜなら、BLMはハッシュタグのトレンドでも何もない、Blackの人々が抱える日常、そして奴隷制の遺産として現代にまで引き継がれている歴史そのものだから。

留学中、毎月全米どこかしらの州で警察暴力をはじめ、黒人差別的言動を繰り返す州議員のニュースなども耳にしていた。たった9ヶ月間、ジョージア州に交換留学生として生活していただけなのに、George Floydさんの事件に対して「またか」と冷めた目でみてしまったのだ。

だからこそ #BlackLivesMatterは決して一過性の Moment(瞬間)ではなく、今も続くMovement(運動)であることを忘れないでおきたい。

2020年以降、BLM運動に関連する事件や出来事をまとめながら、いかにこれらが奴隷制時代から続く歴史的事象であり、一過性のものではないかを考えていきたい。

犠牲者はGeorge Floydさんだけではなかった


先日、白人のRottenhouseが無罪判決がでた。

Transの男性、2020年で20-30人が殺されている。
Black Man Matterになっているのではないか?という疑義も呈されている。

「人種」が犯罪を認定するための中心的役割

「黒人をはじめ、褐色肌をもつなどの有色人種が警察暴力を受けるのは彼らが犯罪者だからではないの?」その疑問を解明するためには「監獄・産業複合体」(Prison Industrial Complex : 「産獄複合体」ともいう) について知る必要がある。

「産獄複合体」とは「合衆国の監獄制度が拡張するにともなって、企業の監獄建設への参加、商品やサービスの提供、囚人労働の利用が拡大した」この現象を軍産複合体に準え、名付けられた。監獄建設とその運営が、建設業から食品、保険医療設備にいたる巨額の資本をひきつけるようになったのだ。

奴隷制廃止後、奴隷州が自由となった黒人に奴隷制時代と同じ扱いをするため「奴隷法」を修正し、新しい「黒人取締法 (Black Codes)」を成立させた。

1861年に南北戦争が勃発。1863年の奴隷解放宣言を経て、1865年には憲法修正第13条が発効され、奴隷は事実上解放された。しかし、この条項にはある"抜け穴"があった。

修正第13条[奴隷制の禁止[1865 年成立]
第1項 奴隷制および本人の意に反する苦役は、適正な手続を経て有罪とされた当事者に対する刑罰の場合を除き、合衆国内またはその管轄に服するいかなる地においても、存在してはならない。
第2項 連邦議会は、適切な立法により、この修正条項を実施する権限を有する。(America Center Japanより抜粋)

「黒人取締法」はこの"抜け穴"をうまく利用し、生涯重労働から解放されたばかりの人々は、刑事罰として合法的に労働を強いられる可能性に晒された。特に、奴隷労働力や財産を失った保守的な南部諸州では黒人に対する不当な逮捕が相次ぎ、囚人として黒人を労働に従事させる形で実質上奴隷制の継続がはかられた。(囚人の労働はかつての奴隷制プランテーションで行われることも、しばしばあった。)

これはのちに「囚人貸出制度 (Convict Leasing)」として制度化され、特にミシシッピ州、ルイジアナ州、サウスカロライナ州ではその制度は激しさを増したため、多くの人々が「奴隷制の再生」だと呼んだ。

アラバマ州では、40万人の奴隷とされた人々が解放される以前、州監獄の囚人の99%は白人であったが、「黒人取締法」の導入後にその圧倒的多数は黒人に取って代わっていった。南部の囚人の黒人人口が増加する中、次第に犯罪を犯すものは「黒人」であるという思い込みが増していくのは必然であった。

そして遠い昔の話であるはずの奴隷制、そして奴隷制廃止後の社会制度、それに付随する形で人々に刷り込まれた人種的偏見は、現在全米各地で盛んに行われる「レイシャル・プロファイリング (Racial Profiling)」の歴史的結果であることは明らかだ。それが、黒人や有色人種への不均等な警察暴力へと繋がっている。そしてその暴力は人々の「生命、日常 (Lives)」をいとも簡単に奪ってしまう。

George Floydさんはそんな歴史的背景から行われてきた「レイシャル・プロファイリング」の犠牲となり、命を落とした。警察は彼の首に9分46秒間、膝を押さえつけた。しかし、彼らの首には400年以上も膝が押さえつけ続けてきた。そして、決してその膝がどかされることはなかった。

#BlackLivesMatterは 、そんな奴隷制時代から歴史的に根付いた「構造的人種主義 (Systemic Racism)」の解体をもとめる、膝をどかすための運動なのだ。決してそれは一過性のMomentではない。構造を解体するまで止むことないMovement(運動)である。






「黒い司法」という映画はとてもおすすめ。





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