誰かの鰹節

死んだ。
身を削って、誰かの熱い気持ちで舞った鰹節は

粉々になった。誰も僕に
「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつだったんだな」

なんて言ってくれない。

隙間を撫でる冷たい風が息を潜める頃には
きっとみんな 忘れてしまう

あの人がいなくなったことも。錆びた凶器のことも。

だから僕は 僕だけは忘れちゃいけない。
鰹節が僕中の1つになった事も。僕が身を削ったものが誰かの熱い気持ちで踊る事も。

敬具 プリチー

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