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精一杯のあとに思うこと

仕事のイベントが終了した。
わたしは個人事業主だ。
ひとりでピアノ教室を運営している。
そんなひとりぼっちの事業のイベントに、ありがたくも30名近くの子どもたちが参加してくれる。つまり約30世帯だ。親は子どもの倍居る。

年に数回。
こういった発表のイベントをやるたびに思う。
「この会は、わたしは。評価されているのだろうか」と。

必死に工夫してどの家庭も平等に。
時間は効率化して不平不満がでないように。
全員が気持ちよく帰れるように。
とにかくとにかく心を配る。

しかし終わったところでよかったことは誰も褒めてはくれない。ましてや5年もやっていると、できていることは当たり前。
更に更にとハードルは年々高くなっていく。

工夫を重ねまくって頭の中を具現化した今回のイベント。一応は誰も怪我せず健康に全員が集いあえて大成功だったと思う。
反面、自分のキャパを若干超えた。

自分が動きすぎて。
本番中でも母親でいなければならなくて。
自分も20曲ちかく演奏をして。
ふと集中力が途切れる瞬間に遭遇してしまった。



今までなんとかなっていたのは若さだったのか、周りに助けられていたからなのか。細かいことはわからない。
でも7曲くらい出ずっぱりでステージに立ちながら子どもたちのことも手伝っていると意識が朦朧としてくるらしい。心の中で次はなんだっけ!と思考回路がジェットコースターのようにびゅんびゅんと行ったり来たりしているので、演奏中に心からごめんね。と思うミスをわたしがしてしまった。2回ほど。それが悔しくて情けなくて。
終わってからものすごく大きな虚無感に襲われた。
自分の力のなさに。余裕の無さに。悲しくなった。


椅子の移動に手こずったり。マイクを使用した際のアルコール消毒を忘れてしまったり、iPadの不具合が数回あったり、予定と違うことになってしまったり。なかなか難しい現場だった。ひとりじゃやりきれなかった。それを明確に言語化して代わりになってもらえる誰かに頼ることが今後の課題だ。


とはいえ、できたこともたくさんあるのだ。
まずそもそもこのイベント。
年間のイベントを効率化するために組んだもの。

こちらの不備はあったにせよ馴染みの音楽をたくさん聴き、音楽にあわせて身体を動かしたり、楽しく感じてもらえるような工夫をあちこちにこらした。
初の試みをしっかり行えたことは大きいし、子どもたちも今までより友達同士で笑顔を見せ合う場面がたくさん見れた。それってすごく大切な目的をひとつ成し遂げられた。それはひとつ事実なのだから自信をもとう。

もうひとりの自分から自分へ
精一杯の労いだ。



わたしが気に入っているラジオ番組「biburiosica」でちょうど今の自分にピタッと当てはまる話をしていたことを思い出した。

山口周さんと長濱ねるちゃんの穏やかな声が心地よいのに、毎週なかなか難しいテーマについて深く考えを巡らせる。そんなギャップでのバランスが良い、すてきなトーク番組だ。

先日聴いた回は「公告」がテーマだった。

そのなかで…

現代のわたしたちが一日にふれる情報の量は
江戸時代の一ヶ月分に値する。
平安時代に例えると一生分だ。

みたいなお話があった。(とってもうろ覚え)
更に。

「価値を表明すれば賛成する者も出てくれば、否定する者もでてくる」
(要約)

という日本の生きづらさにとても共感した。
否定されることを恐れて段々と意見を言わなくなる人は多い。
「わたしは波風立てないフラットな人間ですよ〜」なんて顔して生きている。そんなわけだから…

例えば映画をつくったひとがいたとしても
自分がいいと思っても、ちょっと違うなと思っても
発信しなければ制作者はどんどん孤独になる。
なにも言われないことでひとりぼっちになるんだ
山口周さん(こちらもうろ覚え)

こういうことが起こるのだ。
現代の人はたくさんの情報に慣れすぎて、今目の前にあるものが存在していることへの疑問はほとんど抱かない。


円滑にイベントが進むことも当たり前のことであったのかもしれない。良いとも悪いとも評価しないし、そもそもなんなら関心もない。


もちろん感謝は伝えてくださる方もいるし、文句が言いたいわけではない。
ただただ、感性の乏しさ。そして表現力の小ささにわたしだけがつまずいて、悩んでいるだけだ。


他人を変えたいなんておこがましいことは全く思っていない。
でもそういうことならば、より一層。こちらも他人から評価されようとはしないし、やっぱり今までと同じように目の前の子どもたちの喜ぶ姿を第一に。
真摯に仕事をコツコツしていこうと心に決めた。

わたしは思う。本当に良かったものは良かったと人間言いたくなるはずだ。

つまりとにかく悔しいから
まずは自分自身が感性を磨き、表現者として立っていられるように。好きなものは好きと胸をはって発信しようと思った。

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