雑記:終戦の日に思うこと。

八月は日本人にとって大きな意味のある季節だと思う。原爆の投下があり、終戦した。私は戦後生まれだけれど、そのくらいの知識と認識はあるし、学校でも習った。私くらいの年齢だと、祖父母がまだ戦争を体験している年齢で、直接話を聞けたこともあった。もう両親ともの祖父母はみんな他界してしまったけれど、生前聞いた話は覚えている。

この季節の日本は痛ましい。でも、それは日本に限ったことではないと思う。この季節になると必ず思い出すことをここに書きたいと思う。

中学生のときだった。社会科の先生が一本のビデオを持ってきて、みんなで視聴覚室へ行った。いつもは少しふざけたり、男子生徒と下ネタを言って笑うような先生だった。でもその日の先生は真面目に「ショッキングで、怖い場面もある。気分が悪くなったら最後まで見なくていい。無理をしないで部屋を出るように」といってビデオを再生した。
それは、第二次世界大戦中に日本軍が諸外国(おもにアジアの)に対して行った非道な行為を、事実に基づいて映画化したビデオだった。先生が授業の前に言ったとおり、それはとてもショッキングで、今でも鮮明に思い出せるほどグロテスクな内容であった。「人道的な戦争」なんてありえないから、全ての行為が非人道的なのだけれど、それでもそこには目を覆いたくなるような恐ろしい行為が記されていた。
先生が「最後まで見なくてもいい」と言ったのは、多感な時期だからこそ見せたいと思ってくれたことと、無理をして負担になりすぎてはいけないことの両方を汲んでくれたのだと思う。でも、誰も部屋を出ずに、普段授業を真面目に聞かないクラスメイトたちでさえ、真剣に最後まで映画を見た。
そのあと、映画についてみんなで話し合ったのか、先生が何を言ったのかは覚えていない。でも、映画の中で諸外国の一般人が日本人に何と呼ばれていたか、どんな方法で殺されたのか、どんな扱いを受けたのか、私は忘れない。

今となってみると、私はあの日にあのビデオを見て良かったと思っている。戦争は良くない。そんな当たり前のことを、自分の国に原爆が投下されたから、という一つだけを見て解釈しないで済むようになった。戦争に、加害も被害もない。もちろん、日本の被害は恐ろしいものだ。それはそれで事実。当時の日本の軍人個人を批判するつもりで書いているわけでもない。どうしようもない時代だったのだと思う。でも、加害をしていた国が被害にあうこともあれば、被害を受けた国がほかの国に恐ろしい加害をしていることもあるのだ。そのことを、あの年齢で知れたことは、少しかもしれないけれど私の視野を広げたと思う。私は日本で生まれて日本で育った日本人だけれど、全ての歴史から目をそらしてはいけないと思った。

今でも、こんな時代になっても、世界から戦争がなくなっていないことに恐ろしさを感じる。一般の人がまきこまれ、赤ん坊からお年寄りまで、たくさんの人が死んでいく。今の自分に何ができるのかわからないけれど、どの国にとっても、加害国に見える国にとっても被害国に見える国にとっても、全ての人々にとって戦争は良くないと口に出すことはできる。

普段、平凡な日常に紛れて当たり前になりそうになる平和への願いを、今日は心から祈ろうと思う。


#戦争反対

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