【パイロット版】JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第1節 VS 川崎フロンターレ戦レビュー

2023ルヴァンカップGS Sec1
Shimizu VS Kawasaki 2023/03/08

1.序

とりあえず書いてみました。
ただし、試合内容をすべて網羅すると時間がかかるし、文章も長くなる。
読む側も分かりづらいだろうし、次の試合までに読めた方が良いでしょうし、何より書く側の自分がめんどくさい!
なので、テーマを絞ってピンポイントで深堀りしてみます。

で、テーマは…
2023シーズン、開幕より負けてないけど点が取れない清水エスパルスにおいて、この試合は3-2と両チーム合わせて5点も入ってます。
この要因は色々ありますが、試合開始早々に得点が入ったことでゲームが動きやすくなったと思います。よってそのきっかけとなる先制した場面を深堀りしてみます。

2.先制点を深堀り

さて、3年ぶり(?正確には分からん)に勝ちロコがアイスタに帰ってきて、何度でもあの幸福感に満たされたいと、試合を見返したい欲求をちょっと抑えてもらって、あの先制シーンを思い出してみましょう。

「北爪のクロスが良かった」確かに
「オ・セフンの高さ、フィジカルが優れていた」まぁ当然かな
それだけでもいいんですけど、
ただもう少し深堀りしてみましょう。

では先制した場面から少し遡りまして試合4:55(配信17:50)あたりから
北爪選手が右サイド深くをえぐってクロスを上げる瞬間です。
最近の清水の攻撃シーンではあまり見られない位置からのクロス。それもそのはず。清水はここ数年速攻を不得手としていて、あまり深い位置まで走り込んでクロスを上げられていません。それだけでも十分評価したいところです。
で、
この場面、よく見ると川崎は2人のディフェンダーが北爪に対してブロックに入っています。本来北爪をマークすべきはSB#5佐々木。そして普通ならクロッサーとゴールとの中間距離を埋めるべきCB#3大南がクロス対応にいってます。これは『数的有利』を生み出す瞬間なんです。
サッカーに詳しくなくても聞いたことがあると思いますが、今の常識として『数的有利(不利)』はものすごく重要な要素で、単純にフィールドプレイヤー10対10なので、攻撃側1人に対して守備が2人付けば、当然どこかで攻撃側1人がフリーになっている状況が生まれます。そのため1対1が重視されていて、例えば「インテンシティ」とか「ディエル」とか「フィジカル」とかよく聞く単語は、単に1対1に負けないための合言葉みたいなもんが流布されています。
つまり、北爪は川崎DFを2人引きつける(相手にとって)怖いプレイをしているってことです。そしてどこかで清水は数的優位を作れているはずなんです。
が、
実際は、ゴール中央にオ・セフンたった1人に対して、川崎は3人の選手が既に戻って対応できているんですね、残念。

それでもオ・セフン選手は得点します。「まぁ彼は背が高いからね」でもよいですが、実は北爪がサイドを駆け上がるのとほぼ同じ時間帯に、彼は良い仕事をしているので、ゴール中央に視点を変えてみましょう。
では改めて、北爪がクロスを上げる瞬間、清水の選手が何人ペナ内に入ってるかというと前述の通りオ・セフン1人だけ。後続は西澤と岸本の両翼が追いつこうとしていますが、クロスに間に合うようには見えません。
逆に川崎は北爪に2人付けてるにもかかわらず、ペナ内にすでに4人も戻っています。
つまり川崎は守備ブロック形成に成功し、清水のカウンターは無謀なチャレンジと言える状況になっています。
ただ、
オ・セフンは周囲3人に囲まれながら、誰一人競ることなくフリーでヘディングしています。なぜでしょう?
シュートに至る直前までオ・セフンはCB#31山村にしっかりとマークされています。何度も首を振り位置関係を確認している姿も映像から確認できます。それだけケアしていたのにゴール前でマークを空けてしまいます。それは北爪のクロスが上がる瞬間だからです。
ディフェンスがどうしても不利になるのは、ボールをコントロールできていないため、対峙者をケアしながらボールの行方を追わなければならなので、どうしても瞬間的に目を離さざるを得ないんです。それを見越したかのようにオ・セフンはペナ中央に入るとスピードダウンして、並走していた山村から離れていきます。よくいうところの『消える』プレイです。
そのタイミングでクロスが上がるのですが、北爪はオ・セフンの位置をしっかり見ていたからこそ、この結果につながったと思います。
川崎としたら軽率だったとしか言えませんが、要因はいくつかあります。前述のとおりクロス対応を優先した山村に対し、プレスバックしていた瀬古、松長根はオ・セフンに対応できたはず。もしかしたらペナ内ではゾーンで守るルールだったのかな。そうでなかったとしても控え中心のメンバーなので、連携不足は否めないかもしれません。

ただ、こう見ると川崎はジェジエウ車屋が故障離脱中で、ミスターDOGSOこと谷口が移籍してしまって、本当にCBがいない状態。山村の本職がどこかは分かりませんが、オ・セフンとの競り合いでほぼ勝てていない状況を見ていて、フィジカルモンスター対応のパワフルなCBが欲しくなります。逆にオ・セフンには、もっと山村につっかけろ!って思って見てました。
とはいえ川崎は、昨年開幕前にも同じような記事があったので、これはもう慢性的な川崎のアキレス腱なのかも。なんとなくヴェンゲル政権のアーセナルみたいでもどかしいです。

さて、北爪オ・セフンの好プレーを深堀りしましたが、もう少し遡ってみましょう。
そのさらに5秒前(試合4:50付近、配信17:45)です。
北爪が右サイドを駆け上がるきっかけを作ったのは岸本選手によるタメがあったからこそ成り立っています。
流れは、中盤でのルーズボールを白崎がチャナティップと競り合いに勝ち、低い位置まで落ちていた神谷にパス。神谷は反転して、ワイドに開いていた岸本を見つけると、素早くスペースにパスし、岸本の単独速攻の準備が整います。
まだ試合序盤ということもあり、定石通り岸本は味方の上がりを待つために一旦タメて、北爪が大きく岸本の外側を回り込むのを待ちます。
いつもの彼ならそのままスピードに乗って、インナーラップしてゴールへ向かっていたかもしれません。そうさせなかったのは試合序盤だったからなのか、対戦相手が川崎だったからなのかは分かりませんが、そこをぐっと堪えます。
実はこの動きがものすごく重要で、この一連の動きはド定番中の定番の動きであるが故、次に何が起こるのかを岸本北爪だけでなく、見ている観客はもちろん、対峙する川崎のDFも次の展開が分かりきっているのに得点につながった状況だからです。

イメージ(あくまでイメージ)

整理しますと、この瞬間岸本はいくつかの選択ができます。

  1. シュート

  2. ドリブル(カットイン)

  3. アーリクロス

  4. 北爪へパス

のいずれか。
基本的に守備側としたらゴールに近づかれることを恐れるので、まずはディレイ(delay攻撃を遅らせる)ことを優先します。
映像を見返すと、川崎はこの瞬間シュートコースを塞ぐことには成功しています。またカットインするにもスペースは狭く、清水視点では無謀なチャレンジになります。アーリークロスもあり得たようにも思えますが、中にはオ・セフン一枚なので可能性は薄いし、たぶん山村が跳ね返せる状況。なので川崎にとってはある程度封じ込めができていたはず。理想的には岸本に対して1人アタックしてボールを奪いきるか、バックパスさせるまでタイトにディフェンスするべきだったかもです。

ペナ角(言わなくても分かるか)

一方、清水としては、岸本が中に切り込むようなちょこちょことボールをつっかけてカットインするような姿勢から、北爪がオーバーラップする時間を稼いでスルーパスします。一般的にペナ角と言われる位置は攻撃側からするものすごく優位な立ち位置であり、ディフェンスからすればボールを奪い切れないまでも最悪ペナルティーエリアには入れさせないために、縦方向はある程度許容する傾向があります。
よって両チームある程度予想していたサイド深くまで侵入する展開になるんですが、ここで岸本のちょこちょこドリブルが効いてきます。
岸本の狙いはより広く北爪の走り込むスペースを確保すること。そのために内側に切り込んでいくぞ!と思わせるのですが、実際そんなスペースはありません。ただ守備側としたら、「最悪突破されたら…」もしくは「引っ掛けてファウルを取られたら…」と、可能性が無いと分かっていてもゴール方向へのコースを空ける訳にはいきません。しかも岸本へのマークが少し遅れていたこともあって、瞬間的に川崎の佐々木、大南、名願の3人を引きつける格好になります。もうおわかりですね、前述の『数的優位』がここでも発生しています。
ここで後手を踏んだ川崎DFは焦りもあって北爪にも2人ブロックする結果となります。

3.結論

とまぁ、あっさり決まった先制点ですが、いろいろあったんだって妄想できたら、見る視点も変わってくるし、サッカーがより面白くなると思います。
なにより普段控えにも入っていない岸本北爪オ・セフンこの3選手の活躍が誇らしいんですよ。
岸本はその直後の追加点のきっかけとなるプレスや、後半になってもDFを背負っては簡単にはボールロストしない姿を見てて「覚醒したんじゃ…!?」って思わせたし、北爪は終始ハードワークを重ねてて、後半から投入された曲者マルシーニョにも対応して一定の評価をしたいし(ちょっと手癖が気になったけど)、オ・セフンは神谷と合わせて前線からのチェイスがあったおかげで、ある程度中盤をコントロール出来ていた(さすがに後半途中でスタミナ切れしてたけど)
勝ったので話題は尽きないのけど、際立つのは岸本!出色の出来だと言えるでしょう。間違いなくこの試合のMVPです。

4.予告

ほんとは高橋とか宮本のことも深堀りしたかったけど別の機会に
あと、次の大分戦のスタメンは気になりますね。
好調だった岸本北爪オ・セフンが使われるのか?それとも休養十分なサンタナカルリ北川で行くのか?ディサロは外れないだろう。CBは皇帝と誰が組むのか?乾がクローザー的な位置になったようにも思えるし、この波に乗ってリーグ戦に望みたい。
たぶん吉田はお休みだろうな

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