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Fyrirgefning

横断歩道を渡る。

『林檎が好きな果実か分からない。けれど味わってみたいんだ。』

心に隠された声を聴いた。


少しの沈黙のあと、その林檎は謂(い)った。
「好物になってから……手にとって。」、と。


その林檎は泣いていた。心で泣いていた。カッコウも鳴いていた。


彼の瞳には果物。灰色と桃色がマーブルになってに円を描いた。

気まぐれな衝動じゃない、一時逃れの愛着に似た安らぎを求めていた訳でもない、ただ、あの時の気持ちを取り戻したいだけなのだと、その林檎は分かっていた。

ヘビの誘惑に負けて禁断の果実を二人で頬張ったから。


この世界には、完璧な人間なんて存在しないのよ。。。きっと。

ある日ワタシは、"嫉妬“に駆られ、加害者になった。Aは酷く傷ついた。

ある日Aは、行き場のない"怒り"に駆られ、加害者になった。Bは酷く傷ついた。

ある日Bは、強く見せることが自分を護る術だと"権力"を振りかざして、加害者になった。Cは酷く傷ついた。

ある日Cは、摺り込まれた固着観念に囚われ"曖昧さ”を受け入れられず、加害者になった。ワタシは酷く傷ついた。


ワタシハ、カガイシャデ、ヒガイシャ。

あなたはワタシを赦してくれてた。だから、今度はワタシがあなたを赦す番よ。

『ワタシハ、アナタヲ、ユルシマス。』


鳴いて(泣いて)ばかりのカッコウは、自由の空へと解き放たれた。


愛に満ちた優しいメロディラインがリフレインしてる。

そして、世界は、優しい光で満たされ包まれた。


この度は、サポート戴き誠にありがとうございます。 ご厚意は全て素晴らきnoteにて還元・循環させて戴きたく存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。