越えざるは紅い花 ノール感想

怖くてエロくて最悪で最高の男でした。(一言感想)
あまりにも完敗だった。クソマゾの本能がこの男に服従する以外の選択肢を無くしてしまった。脳が咀嚼する前に本能的に理解してしまったんですよね、自分がこの男に逆らえないことを。文鎮については一旦置いておいて、序盤からもう…抗えなかったな〜〜……
まあ顔の良い男に尊厳を踏みにじられるのが性癖だから仕方ない。ノール‪√‬の途中でFDを買いました。最高でした。


 

全体的な感想

これは私の所感ですが、この男は自ルートで最高になるタイプの男だと思います。正直ウル√で「なんで私はこの男を推してるんだ?」って1万回思いました。本当に。ウルが良い子すぎるゆえに冷酷さの際立ちがエグい。思想は一貫しているものの倫理観が終わりすぎてる。

でも、だからこそ、この男が自ルートで内心をグチャドロにされるのがめちゃくちゃ良いんですよ……
あらゆる物を天秤に掛けて判断し、場合によっては自分の命を差し出すこともある、非常に聡明で冷徹な男の心がたった1人の女によって乱されるの、最高じゃないわけなくないですか?

こうしてナァラによって心境こそ変わりますが、ノール自身の"在り方"はあまり変わりません。外側から見たノールはこれまで通り『自分の物』にのみ異常に執着し、それ以外に対しては冷徹な政務補佐のままです。この部分なくしてノールとは言えないと思うので、ルートを通しても根底の部分が変わらなかったのは嬉しかったです。


ノールの優先順位

前述の通り、ノールは国の未来のためなら自分の命を手放すことを厭いません。彼のファーストプライオリティはナスラです。しかしながら、彼は別段ナスラを愛しているわけでも自分の命を軽んじているわけでもないんですよね。
ノールにとってナスラはあくまでも"自分の才覚を発揮出来る場所"でしかありません。そしてこれに執着する理由が、過去です。

これに関してはもはやコンプレックスになっていると思います。欲しい物が全て手に入る地位でありながら、唯一自分の才覚を発揮出来る場所だけは得られなかったノールは、ようやく得られたこの場所に必要以上に執着しているように見えます。
自分の才能を証明する場所を与えられなかったからこそ、その場が与えられたのであれば自分が如何に有能であるかを証明せずにいられない。そのためなら自分の命を天秤に載せることも厭わない。
人ってそんなに簡単に命を投げ出せるものじゃなくないですか?どれだけ自分が嫌いでも、死にたいと思っていても、案外死ねないものです。それなのに、別に自分を嫌っている訳でもない、むしろ誇りを持って生きている人間が、容易に命を天秤に載せてしまうんですよ。価値観がイカれとる……

そしてこのコンプレックスは国に限った話ではなく。ノールは過剰な所有欲を持っていますが、それもここに起因していると思います。そのため『自分の物』に並々ならぬ執着をし、手を出されることを嫌う。そう考えると、このナスラですらノールにとっては『自分の物』扱いなのかもしれないですね。


ノールにとっての"約束"と"賭け"

ノールにとって"約束"は特別なものです。兄に約束を破られた過去を持つノールは、約束を破る人間を嫌悪しており自分は必ず約束を守ります。それに加え、ノールは無駄が嫌いです。ですので、彼は賭けをする相手をしっかり選んでいます。見込みがない人間は土俵にすら立たせてもらえないのです。
そう考えると、ナァラは初めからそのスタートラインに立てていたんですよね。彼自身、「価値のないものは玩具でも傍に置きません」と言っていますし。
ノールは、初夜(未遂)の日にナァラの気高き心と体を蹂躙してみたかったと言いました。つまり、彼はナァラの気の強さを見込むと共に、この強い心を折ることを賭けの目的としたのです。過去の自分同様に絶望を味わえばいい、と。
そんなことはつゆ知らず、ナァラは王子の幸せを願うわけなんですけど、それに対してノールは「貴方は王子以上に愚かで厄介だ。でも1番厄介なのは貴方の愚かしさを排除したくないと思っているこの感情かもしれません」と返すんですね。いや〜〜〜〜それもう始まってるんすよ……その感情、「恋」って名前なんすよ……(誰?)

そして、ノール‪√‬にておそらく鍵であるこの言葉に繋がります。

『信じるから、騙される』

これに関してはもうオタクが口出しをするようなことではないかな。本編で語られたものが全てだと思います。


ノールの自尊心

「奴隷は人ではない」

私はノールのこの台詞がめちゃくちゃ好きです。
この言葉を元奴隷のノールが言うの、めちゃくちゃ趣深くないですか?(趣…?)
彼の自尊心の高さはこれまでの努力に基づいています。過去の愚かな自分を含め、全てを受け入れ、自身の中で消化しているこそこのスタンスでいられる。非常に気高い精神を持った男だと思います。だから私は彼の自尊心の高さが好きです。
彼は確かに、奴隷を育てて駒として扱っています。自分の手先、暗部のことを人間扱いしていません。しかしこれは彼自身も同様なんですよ。自分自身のことすら駒だと認識している。そして、誰よりも努力をしている。
じゃあもうそんなん……文句言えないじゃないですか。ここまで思想がはっきりしていて、なおかつ突き詰められてしまったら。間違ってると思っても、そんじょそこらの人じゃ口出しできない。現に、ナァラと結ばれた後も彼の生き方はそこまで変わっていませんからね。優先順位はいろいろ変動しましたが。

で、それを踏まえた上でのウル‪√‬なんですよ。ノールの生き方を変えられるのはたった1人、ウルだけなんですよ……かっこよすぎる…………(泣)


無自覚の嫉妬、からの自覚

ここからはノールの恋愛についてのお話になります。ノールの無自覚の嫉妬、めちゃくちゃ凄いんですよね。いくつか抜粋するんですけど、言葉自体の攻撃力が高すぎるのでこちらから言うことが何も無い。ヤバ。

「そんなにトーヤ様がいいのなら乗り換えればいかがですか」

「貴方のことなんてどうでもいい。興味もない。むしろ嫌いです」

「貴方に興味などありませんが、私は自分のものを取られるのが大嫌いなんです」

で、キスマークを付けたり純潔を確認したりするんですよ。言葉と行動が一致していない男、大好き〜〜!!!
無駄を嫌う男が、興味もない人間に監視をつけるわけないんですよね。このとんでもなく賢く冷静な男が、それが分からなくなるほどに心を乱されているのが本当に本当に本当に良いんですよ。良いんですよ…………

それはそうとてここのやり取り本当に最高だったのでスレンVSノールのダブルセッションCD(古のディアヴォ特典CD)がめちゃくちゃ欲しくなりました。どうにかならんか?(ならんよ)

そして、ナァラはノールの期待に背いて賭けに勝利しちゃうんですよね。その時のノールの独り言がこれ。

「煩わしいくらいに信じる心を目前にかざしてきて面倒な女。腹ただしくて気になって目で追ってしまう」

「貴方は本当に夫の期待に応えない妻だ」

しかしこの時、彼は同時に清々しさも感じています。
私は、ノールが恋愛感情を自覚した瞬間はナァラとの賭けに敗北した時だと思っています。そもそも、自尊心が高い人間が敗北を心地良いって思うわけないんですよ。負けるのが大嫌いなノールが、ナァラとの賭けに負けたことを心地良いと思った。まさに"惚れた方が負け"ということです。私は、この賭け自体が恋愛のメタファーだったのかなと思っています。

そしてこの男、自覚してからもまた凄いんですよね。

「貴方など殺してしまえばよかった そうすればこんなにも心が乱されることは無かった」

「貴方が目も当てられないほどの醜女であればよかった そうすれば貴方を愛でて、貴方に欲情するのは私だけだったのに…」

この自分勝手な傲慢さと醜く重い独占欲、好きなんだよな〜〜〜(五体投地)


堕とし方

そしてノールは自身がナァラのことを好きだと言わないまま性的な接触を繰り返すんですけど、最後まではしないんですよ。
で、焦れているナァラに言う言葉が

「…私の心が、欲しくなった?」

ウワ〜〜〜〜〜!!!!!!!(死)
なん?おま お前 どの面下げて ハア〜〜〜〜
絶対に自分から「欲しい」と言わせる男、ノール。好きな女の身体にあんなに触れておいて最後までしないの、鋼の理性???我慢比べすぎる。
しかもこの前に「あれの始まりなど、錯覚が全てのようなものです。その錯覚に、引っ張られてしまえばいい…」と言ってますからね。もはや刷り込み。寸止めを繰り返し、快楽で訳の分からなくなった状態にしてでも言わせるその執念がすごい。言わせてしまえばこっちのもんですからね。怖いよ〜〜〜〜!好きだ〜〜〜〜!(感情のバグ?)

「早く堕ちてしまいなさい。そうすれば、ぐずぐずに溶けるほど可愛がってあげますよ…」

↑甘い!最高!好き!監禁してくれ!(BADでたくさんされます)

で、結ばれてからは『私の姫♡』になるんですよ。どこからどう見ても最高甘々旦那だと思うじゃないですか。でもこの男、一筋縄ではいかないんですよね……だってノールだから。
『私の姫♡』と甘やかしておきながら、お仕置きもしっかり行う。いや……最高か???こんなんオタクくん大好き欲張りセットじゃん!!!!ハンバーグ頼んだらステーキまでついてきた。良いんですか!?!?!?ありがとう…………


一生の賭け

ノール‪√‬、最後のスチルもストーリーの終わり方もめちゃくちゃ良かった。最後に賭けをして終わるの、話のまとめ方があまりにも美しすぎてウワ〜〜〜!!(泣)て叫びました。最高。オタクはこういうのが大好き。
賭けで始まり、死ぬまで賭けを続ける関係。しかもこの賭けはそもそも賭けとして成立していません。この賭けの内容でノールが負けるわけないですし、ナァラも勝ちたいと思ってないですし。でも、それで良いんですよね。この2人にとっては"賭けをする"ということ自体に意味があるから。あの無駄を嫌うノールがこれをしているのが心底最高なんですよね………………
この男、そしてこのストーリーにこんなに綺麗な締めが与えられていいのか????と思ってしまうんですけど、この男は最高だからいいんですよ❗️(同時に最悪でもありますが)

あとこの男、他の男のルートでも凄かった。

 「起きなさい。いつまでよその男の背中にもたれている気ですか?」

-熱を出しておぶられている妻に対して

「私がお貸ししている妻は元気にしていますか」

-ナァラと恋仲となった相手に対して

死ぬほど興奮しました。ありがとう、セフ‪√‬………………

ここまでが無印(愛しき日々は胸に集いて)の感想です。FDは後日談的な感じだったのでそんなに書くことは無いんですけど、2点ほど。


Normal End

これに関しては、この結末が "Normal End" と位置付けられているところに意味があると思いました。
わざとナァラを立てないようにさせたノールと、それを知った上でノールを愛し続けるナァラ。無印のBADとは異なり、ノールはナァラの思考を縛らなかったし、ナァラはノールの歪んだ愛を受け入れました。
この、『偉い人ってやっぱり玉座から動けないものなのね』という毒のない皮肉がとても良い。身体的に縛り付けられたのはナァラだけど精神的に縛り付けられたのはノールだし、勝者はこの状況を生み出したノールではなくそれを受け入れたナァラなんですよね。そして、全てを理解した上で籠の鳥になることを受け入れたナァラは「可愛い姫」から「愛しい女王」になる。ここのテキストめちゃくちゃ好きです。
これがBAD ENDにならなかったのは、2人が1歩ずつ互いに歩み寄れた結果だと思います。


「貴方になら、殺されてもいいと思っているから」

ノールの恋愛における価値観、マジで心底共感できる……という話です。
人を好きになる際に必須な事項が「その人に殺されてもいいと思えるか」で恋愛をしている人間なので、わかる〜〜〜〜!となりました。
『好きな人 = 何をされても赦せる相手』の式が脳内にあるんですよね。たとえ騙されても、殺されても。

でも言葉にしないだけでみんなそうなんじゃないですか?寝てる時って1番無防備で、何されても抵抗できないですよね。相手が自分を殺すことが可能な状況で無防備な姿を晒すということは、つまりその人になら殺されてもいいってことじゃないですか????(飛躍した思考)
激重メンヘラ女が出てきそうなのでここでやめます。
や〜〜ノールという男、良かったな!(話題そらし)



まとめ

越えざるは紅い花、本当に本当に良かった。感想はノールだけになりましたが、どのルートもめちゃくちゃ楽しかったです。良い男ばっかりだった。ノールは……まあ……良い男とは言えないけど、私は大好きです。最高で最悪な男、ありがとう。

そして越えざるは紅い花、2023年移植!!!ありがとうおめでとう!!!!!プレイ途中にこの発表がされてマジでめちゃくちゃ嬉しかったです。Vita版じゃないと攻略できない男がいることは知っていたんですけど、私自身Vitaを持っていないので歯噛みしていたところでした。そして今回発表された〜対の月〜では、Vita版に新規要素を追加とのことで。ノールを推す者としては攻略キャラ視点のエピ追加が特に嬉しいです。来年が心底楽しみです。生きるぞ〜!
ここまでお読み頂きありがとうございました!

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