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文劇6「戯作者ノ奏鳴曲」を、自分なりに少しずつ噛み砕きたいという話

戯作(ゲサク)…ふざけて文章を作ること。またはそのような作品。
奏鳴曲(ソナタ)…室内楽曲の形式の一つ。多くは複数楽章で構成される。意味合いとして、イタリア語のソナータ「鳴り響く」と言う由来のソナーレ「演奏されるもの」に由来する。
タイトルを思いっきり間違えていたので修正しました。突っ込みをくれたフォロワーありがとうございます。私へ、きちんと見てください。

きちんと文劇6という作品を見たからこそ、Twitterで出てくる感想によく聞く「地獄」というのがどのようなものだったのか分かるようになりました。
そしてやっと日数を置いたことで、少しだけでも内容の言語化出来たらいいなと思いnoteに綴ることにしました。
前回の感情文と同じく、きちんと推敲せずに書き綴っていくのでまとまっていないかもしれませんが、ご了承ください。
また、ネタバレに対する配慮はしておりませんので、配信を見ていない及び観劇をされていない方には優しくない記事になると思いますが、宜しくお願い致します。

冒頭でタイトルの意味を調べたものを記載しましたが、もうこの段階で内容に関してネタバレ全開だったんだなと思いました。
誰が戯作者でソナタを演奏しているか、ただそれだけが明かされていないだけで、公式からは丁寧に「今回はこんな内容だからよろしくね!」と、分かりやすい道標をご用意してました。
ただまぁ、それが無頼派に向けてに見えるように隠していただけなんですが。そのせいで人の心がない!って言われていたので、それはほんとにそう…としか言えない。
文劇のタイトルの付け方が毎回秀逸すぎて、そのセンスを分けて欲しいと思うくらいです。どのシリーズも音楽の演奏方式をうまく取り入れて話を作られているので、教養の深さを知る…!

無頼派の中で戯作者とは誰か。これは檀くん以外の無頼派のみんなを指してそうだなとなりました。つまり、登場していない太宰、オダサク、安吾の三人。ゲーム内や史実でもよく言われていた三羽烏の3人ですね。
檀くんは無頼派の中でも真面目で、検挙を免れることなく出兵した、ある種の馬鹿正直なところがあったので、他のメンバーからしてみたら浮いて見えていたかもしれない。
それを全面に出すことで、無頼としての檀くんと無頼じゃない檀くんが表現出来たなと。劇中の中にある台詞を彼に言わせるのは、割とひどいな!と思ったんですが、それをそう感じるということは、すでに運営三羽烏おじさんの手のひらの中だったんだろうなと思うと悔しい限りです。

最初の戦闘する潜書先が蟹工船だったのはなんでだろう〜?と思ってたんだけど、潜ったメンツが心平を除くとプロレタリア文学に関係してたんですよね。
戦旗で書いていた徳永直、ナップで活躍していた中野重治、プロレタリア文学に影響を受けていた檀一雄。草野心平がここにいたのは多分、道照らす案内人だったのかな?記者もされていたとのことだったし、何も知らない場所を探し案内するには向いていたのかな。この辺は私はよく分かってないので申し訳ない。
蟹工船での戦いについては、触れると情緒が乱れてしまうのでどうしよう…と文字を書くかすごく悩んでいます。というか、蟹工船に関してはほぼすなおくん定点カメラでいたのできちんと全体を観れていなかったし、何よりキャパオーバーしてずっと泣きながら見ていたので記憶が若干飛んでいる。限界過ぎんか?
思い出すのはすなおくんが労働者に対して戦いたくないっていう気持ちを持ちながら、小林多喜二の文学を消してはならないという気持ちで、振いたくもない武器を握って戦い奮起しているのを見て、心の中で「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛すなおくん…!!!!!!!!」ってずっとなってました。そういう感情をきちんと演じてくださった俳優さんに感謝しかありません…。私の思い描いていたゲーム内のすなおくんが本当にいた……。きちんと俳優さんのお名前を書くべきなのですが、もしも万が一検索してこの私の感情が出まくっているのが見つかったら、「「「死」」」というのが頭に過ぎるので無理です。とてもいい俳優さんなのに、本当に申し訳ありません。そんな反応だから限界すぎるってTwitterのフォロワーに思われるんだよ…。
まだすなおくんの話になるんですが、最後の冷たい海に落ちた時に、ゆっくりと沈んでいくのは、転生した彼が多喜二の文学の中で溺れて死んでいくのはどんな気持ちだったのだろうかと、今更ながらすごい怖いことを考えてしまった…。彼の文学を守るために、ゲームでも史実でも戦い抜いた徳永直という作家は、もしも守りたかった彼の文学で溺れてしまうのは本望なのだろうか?
その答えは私には分からない。ただ、助けられて泣いてる重治を見て、文学に溺れ死んではいけない強い存在であると、運営から言われたような気がしました。
実際、現在での作家としての徳永直は「忘れられかけている作家」の1人です。数年前に太陽のない街が文庫本として復刻した時は驚きました。
いまだに全集が出ることもなく、故郷である熊本文化出版会館が発行した選集2冊のみ。作家として活躍していたのにあまりにも残されているものが少ないのが現状なのに、ゲームに実装して、舞台にも出るなんて…。
実際ゲームで実装する時にも初期ヒントが特定不能なレベルだったので、「誰…!?」ってざわつかれてました。

これだけで徳永直って分かるわけがない。
この時代の新キャラのチラ見せは、発行した書籍のデザインをモチーフにした本の表紙を見せていたので、この青い背表紙しか見えないのは、チラ見せクイズの中でも屈指の難易度でした。

すなおくんのことばかり書きそうになるので、ちょっと進みます。といっても、蟹工船でキャパオーバーした脳みそがその次の展開をあまり覚えているわけがありませんでした。
無頼として欠けている者、太宰くんの話を檀くんがするのが面白くないオダサク。自分にとって憧れで好きな存在の知らない一面を聞かされるのが嫌というのは面白くないという気持ちは、面倒なオタクによくある感情だよね分かる〜とは思ってたよ。そういうところ誰にでもある感情ではあるよね。表に出すかどうかはあると思うけども。
前回の観劇感想でも言ったんですが、中心核となる人達が不在の図書館。プロ組のように戦い待つなんてことが出来ない無頼派の一部。堕落や戦わないことでしか待てないのは、オダサクにとって覚悟というものが決まっていなかったから。太宰という中心人物が不在なだけで、
こんなにぼろぼろになるなんて普通は思わないでしょう。でもゲーム内では太宰くんは虹背景ということもあり、お呼びしにくかった記憶があるので、実際かなり待たされたよ(弊図書館事情)
ぬるま湯というか、時が止まってしまったような図書館の中で待ち続けるのは、きっとオダサクの中では地獄だったのかな。
そんな中、太宰のことを書いた「不良少年とキリスト」が侵蝕されてしまう。ここでソナタでいう楽章変更になる流れでしたね。まさかの安吾の本が侵蝕で、自分の仲間が傷つくことは許されない。仲間のために立ち上がるのは無頼派らしいと思いました。
ただその潜書の結果が芳しくはなかった状況ですが…。
きちんと思い出したいんですが、いかんせん私が情緒いっぱいいっぱいで思い出せない…。潜書先の景色が、亡くなった太宰に向けての話だったからか、物悲しくも感じました。冒頭は歯痛の話をしているという知識を入れてしまったので(まだ未読)、次からそこを気にせずに見れるか分からなくなりました。こうやって人は呪いが感染していくんだよ…。

ボロボロの状態で戻ってきた中、みんなが疲弊している時にやってきた北原白秋。文劇3の世界線から来た白秋さんは、ある意味みんなより落ち着いて先導してくれる方のような立ち位置。さすが今作の中で1番の年上文豪だけあります。
ただ、徐々に不穏になっていく。今度は織田作之助の「青春の逆説」が侵蝕される。
当たり前だけど、最初にあらすじで聞いていた中では入っていなかった潜書先なのでびっくりしました。そんなの書いてなかったよ!?いやまぁ、あらすじを読み返す体力はなかったんですが……(毎日の情報更新に怯えすぎていた)
その中で白秋先生の問いかけ。それに惑わされていくオダサク。見ていて肝が冷えていく。薬のせいで正常な判断が出来ない中で言っていい台詞ではなかった。あれは洗脳と呼ぶものだよ…。
結果として、オダサクは檀くんに対して言ってはいけない言葉を言ってしまった。互いに傷つくだけになってしまったのに、安吾は耗弱しているので何も出来ない。本当にどうしてこんなことするんですか……。
疑心暗鬼でオダサクは檀くんを信じられなくなったのは、きっと嫉妬と羨望もあったから。そこに惑わすような言葉を言われたら自分にとって、救われる言葉を信じてしまう。
帰る場所がどこにもないと叫んだ檀くんは、力強いのに儚い存在でした。彼を奮い立たせているのは、ずっと図書館にいない太宰と合流して、無頼派4人で飲み明かしたいというのがあったんだなって…。

タイトルに戻りたいんですが、戯作者は誰か?
この言葉を指すのは白秋さんでした。普通にそんなことすると思いませんよね。白秋先生に茶番をさせるとは……。これってある意味白秋先生の魂の叫びを「滑稽」と思っていた皮肉を出してきたんですか。
白秋先生は、或る男の魂が入っていた。白秋先生が1番憎んでいた男の魂、文劇3の館長の魂が。
いやー、これを知った時そういう転生方法取る!?となりましたよ…。これ、今後もされたら分からないわけじゃないですか。メタル館長(よく呼ばれている3の館長名称)の独壇場ですよ。マリオネットが増えてしまう。
でも、ヤニカス白秋先生が「煙草は嫌い」と言った瞬間に違和感があったので、この辺はもう史実もゲームの「北原白秋」をご存知ですよね?だって国民的詩人ですからね?って運営側が言っている。知らない人がいたら違和感なく受け入れてしまうシーンですよこれ。知識がなければそのまま受け入れての発覚絶望、知識があればミスリードをしてからの発覚絶望なので、どう足掻いても運営の手のひらでころころ転がされてるんですがね……。

その後が赤い紐が徐々に舞台を侵蝕して…。比較的落ち着いた今だから分かるんですが、あれって3の時に使ってた紐でしたよね?い、今になって気付いた…。何を見てたんだ…。すなおくんが事切れてるところを見て、頭真っ白になったのしか思い出せない。
プロレタリア文学を守るために奮闘して、守るべきものがあるためにプロレタリア文学を辞めて筆を折ってしまった彼を、再度奪うような形で転生した命を奪うような表現???
もうやだ、思い出したくない……。
どうしてそんな残酷な表現を取ったんですか……。

なんかもう、記憶が色々とあやふやで、ふわふわなんですが、堕ち切ったオダサクに届く太宰くんの声と、追悼の文章。そこが光となって、オダサクが覚醒というのは、オダサクが求めていたものがやっとで見えて、手に出来た瞬間だったなって…。だからこその覚醒だったし、白秋さんのようなナニカを退けることが出来た。
その結果がオダサクと安吾の死という、仲間達からしてみたら受け入れ難い現実を残して。
文劇3に比べたら死人は少ないかもしれない。比べる対象がおかしいのであれですが。ただ、一番尽力したオダサクと安吾がいなくなってしまうのは、残された4人に対してあまりにも残酷だった。
檀くんの帰る場所がまたなくなってしまった。文アルの檀くんなら、自分や他の無頼メンバーが帰る場所になって待つんだろうなという強さは感じる。最後の無頼派だからこその強さがあると思ってます。檀くんすごいよ。
白秋先生が導き手となり、この道で導いていくのは宗教絵画のような世界観にいると思いました。白秋さんだけが残ると決めたのは、弟子である2人が転生の輪に入るのを待っているのかな。その姿を見た時、ほんの一足先に転生して、図書館で煙草をふかしながら「遅かったね君達」って言って弟子2人の帰るところになるのかなと、ふわふわした頭で考えてました。

今回はオダサクが主演だけど、世界観としては安吾が影響受けたキリスト教の宗教価値観と、仏教の価値観をうまく混ぜていたなぁ…。
ソナタの構成は色々とあると知ったんですが、今回は室内ソナタ(急ー緩ー急)なのか、教会ソナタ(緩ー急ー緩ー急)なのかは、捉える人によって違いそう。私は教会ソナタかなと思いました。この辺も人によって分かれそうだから、色んな人に聞いてみたい。
あと、実は見る前に最後の晩餐の画像を個人間のやり取りでいただいて、ゲネプロ写真で見かけたすなおくんの立ち位置でめちゃくちゃ動揺してたのですが、どの立ち位置もすなおくんらしさが出ていてもうダメだ……となりました。どうしてそんなポジションに置いたんですか。私がダメになってしまいます。もうだめです。バルトもヤコブも私の中では納得しすぎてだめでした。本当にもうダメだ…。

あと、観た人が地獄だなんだと言っていたけど、残酷ではあるが地獄ではないかな…と思ったりはしました。辛い展開があると地獄だとすぐに表現しがちなのですが、今のところ現代社会の情勢の中で平和に生きている私は、文豪達の味わったであろう地獄のような体験はまだしていません。だからこそ、地獄と思うのは人それぞれになってしまうので、どう表現するのがいいのかは分からない。
確かに、主演が最後絶命して終わるのはどうなの!?やりやがったな!?と思うけども、本人達は次で太宰と会えると良いなと前向きでした。多分オダサクと安吾だから前向きにいけたのかもしれない。堕ちるところまで堕ちて、そこから這い上がった彼らだからこそ、あのような振る舞いが出来たのかもしれない。
未来で必ず会えるという、確約ではない約束がされているからこそ、信じていられるんだろうなって。
もしもこれが多喜二が絶命だったら、割と洒落にならなかったので、誰よりも悲惨な死を遂げた彼に対して明るい未来を残した終わり方にしてるのは、吉谷さんとなるせさんが伝えたかった、「悲しみの中にある希望」なのかな。
それはそれとして、こちらの情緒は全く別方向でぐちゃぐちゃにされたので、大阪公演を観るのが楽しみであり恐怖でもあります。演技や演出がどんどんブラッシュアップされていくことは、良いことなのに、自分が情緒ボロボロになるのが見えているので怖いです。助けてくれ……。
大阪公演まであと1週間を切っており、本日が東京千穐楽。そんな中で自分のふわふわした気持ちをまとめるのは、あまりにもタイミングが悪すぎて笑ってしまいました。
いまだにすなおくんが現実にいることに混乱して、写真が直視出来ない生活が続いてます。どうしたら慣れることが出来るでしょうか、教えてください(地方住み いい年齢 女性)

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