メタの開発! LOCK//IN São Paulo 優勝「FNATIC」のFractureの戦い方

コーチ アナリストを行っておりましたrimm(りん)です。

自分のnoteはなるべく短くまとめて、手短に見れるような記事を目指しているので、専門的なものよりも戦略、各チームの戦い方の紹介などがメインになると思います。
(どこかで長々としたものをあげるかも)
今回は、FNATICが優勝したLOCK//IN でのFractureを解剖しようと思います。

構成

2イニシエーター+kill/joy構成

FNATICは上記の構成をLOCK//INでは使い続けていました。現在行われているVCT2023 EMEAではFractureをplayしていなので、現在の構成は不明です。
LOCK//INではこの構成で勝利率100%を記録し、世界的にメタになりつつあります。
LOCK//IN前のVCJ VCKのAsia地域では2 Duelistの構成がメタとされていた。
しかし、LOCK//IN後はFNATICの構成をコピーするチームや 2イニシエーター+kill/joy構成 にするチームが増加しました。

・紹介する要素

本当にきれいな攻めや守りがたくさんあり、紹介したい要素はいくつもありますが、特に重要なものにとことん絞って、以下の3点ついて説明します。

①基本戦術 :今回はA 側の特徴的な戦術を軽く紹介します
②コミュニケーションが徹底的に取れたサイト内の守り
③読み勝つエリア取り


①基本戦術


A側の守り

まずは次の動画の7-10の第18ラウンドをご覧ください。
決勝LOUD戦のFracture、LOUDがB攻めに悪い印象を持ち始めた次ラウンドのAmeinのプライドファイトが行われるラウンドです。

LOUD vs. FNC — VCT LOCK//IN — Grand Final Day 15 Map 2 - YouTube

攻めのLOUDは開幕でのAメインの取得を選択。
FNATICは、アクションがあれば自分達のskill ultを1つずつ返していきLOUD側のskill 時間を使わせる。お互いのスキル交換がAmainで行われ一時停止。
その間にFNATICは A site2人 B site3人の配置の守り方に変更。LOUDはAmein取りにskillをかなり使用したので、ほぼskillなしでのサイト入りになる。
site内で耐えるBreach kill/joy をカバーする形でB siteから最速で寄りA site A meinとの撃ち合いになり、一気に殲滅して防衛側の勝利。

このA mein を前目で圧をかけ続ける動きはFNATIC側からするとデフォルトの動きの1つです。
A site にkill/joyは基本的に遅延ができないといわれていますが、このA meinの圧をかけ続けることで相手がどれだけ人数をかけたとしてもドライでこのエリアを取らせないように徹底し、A site に来るまでにskillを使わせることでkill/joyでもA siteを守れるようにしています。

A側の攻め

まずは次の動画の6-1の第7ラウンドをご覧ください。
100T戦のFracture、FNATICがA meinを簡単に取得できたためにそのまま
A siteにエントリーするラウンドです。

100T vs. FNC — VCT LOCK//IN — Omega Bracket Day 12 Map 1 - YouTube

攻めのFNATICは、このロープ下からのAエントリーを主軸としています。
FNATICは、A site に入る際には絶対にA mein 側からのエントリーは vs100T vs LOUDの2試合を合わせて1回しかないほど、ロープ下からのエントリーを主軸にしています。

このA mein を使わないメリット デメリットは明確です。

メリット:メイン側の通路が狭いのでskill1つで止まる・分断されることを防ぐ
  ロープ下からのエントリーであればカバーが取れればskillで止まらない
デメリット:ロープからの早めのリテイクに対して事故が起こる可能性がある

このデメリットがあるにも関わらず、FNATICがA site のエントリーが可能になっているのは下記の2つが完璧にできているからです。

Raze Breachの2段での射線
Fadeのどこでもすぐにカバーができるポジショニング

ついでに、A設置後でかなり強力な射線の組み方があったので載せておきます。

②コミュニケーションが徹底的に取れたサイト内の守り

まずは次の動画の12-1の第14ラウンドをご覧ください。
100T戦のFracture、100T側がBラッシュを仕掛けFNATICはサイト内で耐える判断を行ったラウンドです。
100T vs. FNC — VCT LOCK//IN — Omega Bracket Day 12 Map 1 - YouTube

このラウンドにFNATICの強さの1つである徹底なカバーの形が出ています。

画像にもある通り、breach brimstoneの2人の動きに注目して欲しい
相手のエントリーに対して常に2人で行動し、カバーの形ができていた。
この焦る場面でも細かいコミュニケーションを取ることができることがFNATICの強さの秘訣にもなっている。

③読み勝つエリア取り

まずは次の動画の1ラウンドから4ラウンドまでのエリア取りをご覧ください。
LOUD vs. FNC — VCT LOCK//IN — Grand Final Day 15 Map 2 - YouTube

・1stラウンド
A meinのsetで追い返す動きを見せ、エリアを譲りません
・2ラウンド
ミスがありましたが、パラボラ側にアクションをかけます
・3ラウンド
Bメインを詰めきります
ラウンドを取られてしまいましたが、Bメインに嫌な圧をかけます
・4ラウンド目
上側のスポーンに挟むような形でアクションをかけます

このアクションのかけ方によって、FNATICは防衛サイドで常にエリア取りを先手で行うことを可能としています。
この先手で行うことで、相手のスモーク1つだけでも
・詰めてる可能性があるのでskillまたは人数をかけての取り返し
・多数のエリア取りに時間がかかる

などと、相手の行動を制限することができます。

LOUDの脳内はこうなります(※想像です)
1ラウンド
A meinは2人では取れないな
B site手前までとれたし行けそうだからいこう

2ラウンド
相手パラボラ側詰めてくるかも!

3ラウンド
BUYラウンドだから丁寧にいこう
B mein詰めてきた、事故怖いしAいこう!

4ラウンド
A meinはkill/joyのタレットのセットあるし、B meinは詰める可能性があるな
じゃ、アーケド パラボラアクションにしよう

このような脳内のイメージ付けによって、FNATICのIGL Boasterは相手の行動を読んでの行動を起こし続けています。

このようなPush作戦や配置変更など手札の数が多く、かつラウンド状況に応じて適切に選択できるのは同じ構成での練度が非常に高く、IGLの経験も長いベテラン選手だからこそですね。

おわりに

FNATICのFractureの戦術要素をいくつか紹介しましたが、列挙していて実感したのはチームが持っている強みをとことん活かしていることです。ただ単に上手にやっているというより、IGLのラウンドの組み方によってすべてが噛み合っているからこそ、圧倒的な勝率なのが改めてよく分かりました。

今後も定期的にVALORANTに関する発信を行いますので、ご意見ご要望などお待ちしております。

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