【それはとてもとても風の強い、軽やかな曇天の日】について
黒崎ろく様作
『それはとてもとても風の強い、軽やかな曇天の日』
http://studio693.oops.jp/donten/
言わずと知れた、有名声劇台本!
最初に読んだ時は自分にはやれそうにないな…と思いましたが、それが何故ここまで好きになったのか…( ・᷄ ᴗ・᷅ )ゝ
今回はこちらの台本について、ジーンとロッカの2人の少年(台本には転換差分もあります)の事をつらつら書いていきたいと思います。
あくまでも私見であることを念頭に置いてくださいね。
このお話は周りに少し煙たがられている少年2人が、その煙い部分でもってお互いに認め合い、最高のパートナーになっていく(であろう)物語。
特にロッカの方は有名な家柄もあって、ある程度傷ついてきていて最初はまた同じような人種が寄ってきたと、ジーンに対して冷たいです。
ジーンは一見ただただ資格が欲しいだけの軽い人間の様ですが、空を飛びたい!という強い気持ちと、その為に出来ることを真剣にやっている熱い男。
彼の飛空挺を見てその事を整備士として目の当たりにし、キッパリと船の改善点を指摘しても嫌がるどころか称賛され、多少呆れながらも彼の船に乗ることを決めます。
尊敬する人物が同じ事や、無いと言われている雲の上の青い空を一緒に見た事、死ぬか生きるかの体験を共に乗り越えた事などを経て、ジーンの操舵技術を最終的にロッカは認めます。
ジーンの方は一貫して自分に正直に生きている人間なのでロッカ程には響いてないかも…?(演じる人によりけり)
こうして、2人は良きパートナーになっていくのだろうなぁといった形で終わっています。いい!
というのが詳しいストーリーで、ここからは今回ロッカを演じるにあたって気をつけた部分を書いていきます。
まずこの台本は音響があった方が聴いてる側に解りやすい本で、作者の黒崎さんも細かな音の指定を書かれています。
それと、音響があってもなくてもかなりの具体的な想像力が必要と考えます(それがない音声に音だけ乗せても上手く混ざらないので)。
この先は箇条書きになります!
冒頭
本編のどの辺のシーンで、どのくらいの熱量が必要なのかを考える。
ここでグッと惹き付けられるか。
カフェテリア
ロッカはあからさまに嫌な態度。
ジーンは解りやすく無神経。
険悪なムードを印象づける。
後の、ぶん殴ってやろうと思ったよに続く様に。
図書館
ここが図書館だということをロッカは必ず意識して、声色を調整。
ジーンは悪いと言いながら多少は気をつけるものの基本的には場所にお構い無し。
飛びたいだけというジーンに興味を持つ→まあ見てやるかの変化に違和感を出さないように。
スカイポッド
一歩近づくシーン。大事に。
ジーンなりにきちんとやってるのを見て、ロッカは専門の整備士として彼に解るように説明する。
自分の整備士としての腕をひけらかす様に聞こえさせたくないので早口で話したりしない。
船オタクな部分を出す。飛空艇が好き。
船の褒めるところは素直に褒める。
ジーンはそこに感心する。
ロッカのなにが?は他意のないように。
当然だよ、は少し照れてもいいが、今回は言葉通り。驕らず。
ここでロッカが自分の事を話す。
可哀想がられたい訳では無いので、あくまで事実を淡々と。
ジーンのなるほどな、は同情の色があってもいいし、だろうな、でもいいし。
ロッカ、確固たる信念を示す。
その上でジーンが改めて船に誘い、ロッカが了承する。空気感大事に。
飛行場
軽口からはじまる。
ここから先の飛行シーン、ロッカは基本酔っていて、その程度を意識する。グラデーションを出来るだけきっちりと。違和感を感じさせない様に。
飛んでからの異常の確認はしっかりと。
動きも出てくるので2人ともタイミングよく。
(余談だが、「さすがホッジソン……」の台詞、初回はわりと平気そうにやってしまったので、今回は気持ち悪そうにやったの、ちょっと気に入っている)
図書館・食堂・飛空艇内
作戦会議のシーン。2人の距離感が少し近くなった事が判るように。
スカイポッド夜
ロッカ、作業中の声色。ジーンにかけてる部分とそうでない部分をしっかり分ける。
じいちゃんの事件の真相を話すのは他人ではジーンが最初の人物だと仮定。
話し出す前の躊躇があってもいい。
「だから、整備が一番大事なんだ」どこを立てるか。
生死がかかる整備士→いなくてもいい発言に殴ってやろうかと思った→ジーン、誠意を持って謝る→「もういいよ」に続くように。
また一歩近づく大事なシーン。しっかりと。
雲の上があるらしい。
そうだ、これが見たかったんだ。ロッカ気づく。
レース会場
雷を印象づける。
ジーンを認めたら名前で呼んでやる。大事。
飛行開始してからは少しスピード感を意識。
第1チェックポイントまでは気が張ってる。
第4チェックポイントの指示は気分が悪いながらもしっかり解るように。
雲の上~着水まで
見ているものをしっかりイメージして、2人の空気感を合わせる。
また一歩近づく。
船の異常。この物語の一番の見せ場。盛り上がりを意識する。
死ぬか生きるか、緊迫感大事に。のんびりやらない。
やんなきゃ死ぬ、という状況を解らせる。
船の報告は何を言っているかジーンに解るように。
覚悟を決めてからは緩急大事に。勢いだけでやらない。
緊張と緩和。
協力して助かったことを喜び合う。
また一歩近づく。
最終地点
かなり打ち解けた2人の会話。
ここでロッカがジーンをファーストネームで呼ぶ。
自分は、そこだけこれみよがしに言うようなキャラには作ってないのであくまでサラリと。
ラストのロッカの台詞「付き合ってあげるよ」に2人の近づいてきた距離を乗せる。
こんな所でしょうか。
この物語はロッカが軸だと思ってるのでジーンの部分が少なくてすみません。
あー、楽しかった!
ここまで読んでくださる方がいらっしゃるかわかりませんが、少しでもこの楽しさが伝わればいいなと思います。
最後になりましたが、作者の黒崎ろく様。
こんなに素晴らしい作品を書いてくださって本当にありがとうございます…!
みんな!空飛ぼうぜ!!
以下、切り抜きです。