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冬休みの夜更かし

 人生で初めて夜更かしするのはいつが多いのだろうか。僕は大晦日だったように思う。僕の家は早寝早起きが徹底されていたため、午後9時に就寝、遅くとも午後10時には床につかされていた(実際に高校生の頃もニュースステーションの始まりの音楽を背中で聞きながら部屋に眠りに行っていた)。小学校への行き道で友達が「ナインティナインのオールナイトニッポンを聴いていたので寝不足で吐き気がする」と言っているのを聞いたときは寝不足の辛さが全く共感できず、またクラスメイトが深夜まで起きていることに心底驚いたことを覚えている。95年位のことで、急にその友達が大人びて見えたものだった。
 それが年越しの日、大晦日は「年越しそばを食べる」という名目で午後11時頃までは起きていることが許されていた(と言っても中学生の頃くらいからか)。当然、子ども心に興奮する。さすがに「行く年来る年」をテレビで観た記憶はないから、それまでには寝るように言われていたのだろう。
 部屋に戻ってもこんな時間まで起きている事実にドキドキし、眠れそうもない。明るくすると起きているのがバレるので、小さい音でお下がりのラジカセで音楽を聴いて過ごすのが常だった。ある時ラジオを聴いてみた。ラジオから流れてきたのはシャンプーハットさんの「だいこんの花」という番組だった。うつらうつらしながら聴いていたのだが、段々目が覚めてきた。むちゃくちゃ面白かったのである。当時、超若手と思われるこいでさんとてつじさんの力の抜けたシュールなやり取りに爆笑を枕に押し付け耐えることとなった。
 そこから深夜ラジオに目覚めそうなものだが、親の管理は徹底していた。年明け早々にまたいつもの早寝早起きの生活へと帰っていくのだった。しかしこのラジオ番組「だいこんの花」はシャンプーハットさんのWikipediaにも載っていない。もしや記憶違いもあるかも知れないが、面白かったなぁ。
載っていないと言えば格闘家の角田さんがフランソワーズ広田さんとやっていたラジオ(番組名は失念)もそうだ。放送されていたのはK-1全盛期の2001年頃でゲストにはK-1選手も来ていた。同じく格闘技好きの級友と感想を交流したものだった。余談だがフランソワーズ広田さんの声としゃべり方が空手部顧問の先生にそっくりでそれも面白かった。自分にある色濃い記憶がネットを検索しても出て来ないと、まるで無かったことになったようで少し寂しい。

 今はYouTubeに色んな人、それこそ格闘家(ムサマサチャンネル大好きである)も参加していて飽きが来ないが、番組表も見ずにラジオのチューニングを合わせ予期せぬ出会いがある楽しさも捨てがたい。自分は本当に贅沢な時代に生きていると思うのであった。

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