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死の味のカルボナーラ

 そいつ等は自分たち人間と同じように「擬態」していた。

 奴らは地球を植民地にするために派遣された宇宙人で、俺たちなんかより知能は上でその上身体能力も上だった。おまけに、再生能力もあり、銃弾などの武器も吸収してしまうというふざけた能力付きだ。
 なんとか捕まえて弱点を見つければよいが、いかんせん人間に擬態しているため無差別に殺すことはできない。だが、国連に参加していない国は、どうやら無差別攻撃をしているらしい。全くふざけた事態だ。

 俺は今、国連の会議に参加している。だが、参加しているやつの中にも擬態した宇宙人がいるかもしれない。政治家はどうも呑気な奴らが多いらしい。

 昼食の時間だ。
 「今日はゴルゴンゾーラのカルボナーラと、トリュフでございます」
 トリュフなんて今まで3回食べたことがあるが、いかんせん口に合わない。だから俺はゴルゴンゾーラのカルボナーラだけ頼んだ。
 ここだけの話し、俺はカルボナーラが大好きだ。卵とチーズのまろやかなソースと、ベーコンの塩気。そのアンサンブルをソースが絡みやすい太めのパスタがまとめる。なんと至極のハーモニー。
 俺はカルボナーラを一口食べた。
 このゴルゴンゾーラは、辛口タイプか。なるほど。ベーコンの塩気は抑え気味か、上手いな。
 そう味わっているうちに、うっ、とうめき声が聞こえた。
 「おい、大丈夫か!?」
 「すぐにこいつの成分を調べろ!毒が入っているかもしれないぞ」 
 その言葉は、すぐに嘘と化した。
 うめき声を上げながら、おぞましい生物に変化していったのである。そう、彼は宇宙人だったのである。
 「ウ''オオオオ、アアアア!」
 宇宙人は喉を引っ掻きそのまま絶命した。

 人類はリーサル・ウェポンを手に入れたのである。そう、それこそがゴルゴンゾーラである。正確に言うと、ゴルゴンゾーラに含まれる青カビなのである。この事実を知った人類は、擬態している宇宙人の見分け方にゴルゴンゾーラのカルボナーラを出すことを決めた。

 R.I.P 親友だった宇宙人よ。お前はいつもカルボナーラはゴルゴンゾーラのを頼まなかったな。いつから擬態していたかは分からないが、この味を教えてやれないのが残念だよ。


No.6600リーサル・ウェポン
No.3489ゴルゴンゾーラ
No.5474R.I.P.

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