同人版月姫ヒットの要因
※Switch版の月姫が出る直前くらいにぶわーっと書いてた駄文。
主に妄想を書き連ねてるだけなので 間違いだらけだと思うけど悪しからず、、、あと脱線しまくる。まとめきれてないしオチも付いてないけど、ほっといてもお蔵入りになる文章なのでこっそり公開だけしとく。
さて、、、かつて同人でありながら月姫が大ヒットして今日に至ることについて。
これは作品が荒削りながら魅力的だったということを大前提に、思いっきり私見と偏見で
「商業えろげが提供できなかったユーザーの求めていたものを提供できたから」
なのかな?って思ってたりする(そもそも月姫は「えろげ」よ、念のため)。
結論だけ読みたければ末に飛んでもらうとして、時代背景を含めた話が必要になるのだけど、、、
えろげユーザーが爆発的に増えたのは一般家庭にもPCが普及したWindows95発売(実質的には1996年)以降のお話。そしてえろげが最も発展した時期というのが恐らくは1990年代半ばから2000年代前半くらいのことだと思う。
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PC自体は年々普及していただろうと思うけど、爆発的に増えたのはWindows95の発売がきっかけ。
1992年にきゃんきゃんバニープルミエールが24,000本(?)を売るヒットとなる(数字は怪しいけど かなり売れたっぽい)。
これは傾いていたカクテルソフト(アイデス)を救ったと言っても過言ではないレベルの大ヒットのはずだけど同年末に発売された同級生はなんと10万本を超えるセールスだった(えろげとしては史上初の10万本超えタイトル)。
この同級生は「みんなプレイしてた」とか言われているので、中古やコピーユーザーも含めて考えると潜在的えろげユーザーは数十万人程度いたのではと想像している。あ、コピーユーザーというのは実際の所かなり多いと思うよ。WIZARDとファイラーなんていう実質コピープロテクトを外すことが目的のソフトが実在したわけで。
もっとも同級生はコピープロテクトはかかってないんだけどね(ディレクトリエントリが一部違ってたかと思うけどいわゆる8セクタディスク)。アイデスは基本的にコピープロテクトは掛かってるけど、PC-9800後期の作品に関しては掛ける対費用効果が低くなったのか掛かってない(Piaキャロットへようこそ!!とかロマンスは剣の輝きあたりは掛かってないよ)。
更に話がそれてしまった。
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Windows95タイトル最初の大ヒットえろげはたぶん鬼畜王ランス(※1)なんだけど、ここではランス様のことは飛ばして、1997年のToHeartのお話へ。
Leaf Visual Novel Vol.3としてリリースされたToHeartは前評判が異常に高かった作品のように見える。
発売されてない、内容すらよくわからないゲームの評判が高いのはおかしな話なんだけど、その理由ってLeafが前作「痕~きずあと~」や「雫~しずく~」で確かな評価を得ていたという背景があったのではと思う。
ともかく前評判が高いから初動でも良く売れたし話題にもなった。
もちろん前評判だけの作品ではなくヒット相応の内容だと、わたしは思う。
ヒロインも個性的なキャラを勢揃いさせて、メイドロボ「マルチ」なんていう怪物まで生み出した。「マルチ」といえば、先にタイトルを挙げたランスさまに匹敵する人気キャラ(*2)。
ノベル形式を起用しシナリオも音楽もレベルが高かった本作だけど、個人的にはこのゲームはノベルではなく普通のAVGのほうが良かったのでは?と今でも思う。いやだって場所の移動の選択すら全画面表示された文字で表示されるのよ?ノベルシステムである必要があったのかというと、疑問ではあるのよね(*3)。
ともあれえろげ業界にノベルブームが巻き起こり、ノベル形式のゲームが増える。もっともこのシステムは相応のシナリオを作れて初めて活きるので形だけ真似てもヒットは生まれない(*4)。
そしてメディアミックス展開もうまかった。
トレカやマスコットフィギュアのような、えろげにしては異例のグッズ展開の多さに加え地上波でアニメ化(*5)。同人作品も多くLeafはかつて公式サイト内に即興小説掲示板なんていうSS投稿用の掲示板まで用意していた(*6)(これに関してはほぼ全作品がりーふ図書館に収録されていて現在でも参照可能)。
後の月姫格闘ゲームMELTY BLOODの原点はToHeartの同人格闘ゲームThe Queen of Heart’98(略称QOH、 制作は渡辺製作所(現在のフランスパン))。
極めて高いクオリティと程よいバランスに加えて(まだダイヤルアップも多い当時の環境では難しかったと思われるけど)ネット対戦を行う機能まであった。現代ならいざしらず90年代に格闘ゲームのネット対戦というのは驚きである。
わたしは理奈クラッシュ→下段小で浮かせてEX LD投げ→エリアル数発→EXアイドルサマー→ガードキックのコンボが好き。
このQOH、無償であれば友人知人にコピーを渡しても良いという扱いだったのが爆発的に広まった理由の一つと見ている。渡辺製作所(フランスパン)は他にもあゆちゃんパンチ、魔物ハンター舞などクオリティ高めの二次創作同人ゲームをだしていたけどプロ声優まで起用した月姫の同人格闘ゲーム「MELTY BLOOD」は流石に同人としては異常な展開であったように思う。
これには月姫のアフターストーリーも含まれるので二次創作というよりも実質的には月姫の続編に相当する。東方Projectのような「二次創作が作品界隈を盛り上げていく」というものとはまた事情が異なる。
で、結局なんで月姫は大ヒットしたの?
さて、ここまでの脱線しまくりの長い前置きから冒頭に戻り。
わたしが感じる「商業えろげが提供できなかったユーザーの求めていたもの」とは「痕の路線を踏襲した作品だった」ということ。
ToHeartの前評判を跳ね上げていた「えろげオタク」どもが真に求めていたものはきっとToHeartではなかった。
でもその要望を満たす作品は一向にリリースされない。
そんな中で月姫が登場する。
これこそがあの時えろげオタクどもが望んだ作品だったのだ。
痕ファンが月姫をプレイすると痕の焼き直し感を若干感じると思うけど、これは月姫という作品に対する批判の類ではなく「そういった路線の作品」だということ。結果として「月姫」は同人ソフトながら空前の大ヒットを記録することになる。TVアニメにまでなった(なったんだよ)。
あの時のLeafがToHeartではなく痕の路線に進んでいたら、えろげ業界の今日は変わっていたのではと思う。それくらいToHeartという作品はえろげを語る上で大きな存在である(同級生のインパクトとかに比べれば、まぁ弱いのかなぁ、、、?)
これ以降の時代についてはあまり追求できていないので多くは語れないので差し控えるけど(*7)、ToHeart発売以降、業界の作品の方向性が感動系、泣きゲーといった路線に流れていき最終的には「葉鍵系」なんて言葉も生まれた。
あのとき痕路線の作品がリリースされていたなら、、、
また別の方向でえろげ世界は発展していたのかもしれない。
おしまい。
余談
余談ではあるけれどToHeartは決して駄作ではないよ。痕のファンがVN3に求めていたものとはやはり乖離していたのではと思うけど、ToHeartの登場が後発作品に与えた影響は大きい。
この作品はえろげ業界における大きな転換期を迎えるキッカケだったのだと思う(*8)。特にTacticsからリリースされた「ONE~輝く季節へ~」は「ToHeartみたいなゲームを作れ」という指示で生まれた作品なので、いうなればToHeartの落し子と言える。実際、ToHeartの面影を感じる作品ではあるよね(オリジナル作品としてきちんと昇華している)。
TacticsのスタッフはONEを最後にTacticsを離れて独立、そして誕生したのが今なお活躍中のKeyブランドである。あ、でもリメイク版がSwitchやPCで出るらしいよ、2023年現在の情報では(note公開前追記:これのプレミアム版だかを予約した)。月姫もONEもリリースできるSwitchつよいな?!
そして話題のKeyブランドが第一作目として「Kanon」をリリース。この作品も前評判が高かったようだけど、これは明確にONEの人気によるもの。痕に対するToHeartと違ってKanonはONEの方向性を踏襲していた。その意味ではONEは鍵作品の根幹と言える。
Kanonは大ヒットし「葉鍵系」という言葉が生まれる。テーマは違えどKey作品の方向性や傾向はKanonで決まったと言えるかもしれない。そんなKanonの発売は奇しくもLeafの「こみっくパーティ」の発売からわずか一週間後のことだった。
そしてヒットしたものを真似るのは当たり前とばかりに方向性の似た作品が生まれだす。
特にSNOW(*9)。「いや飛鳥ぴょん(*10)おまえ悪夢とか絶望作ってたくせに何パクリ作品作ってんの??」という感じである。
時系列整理
1996年 雫、痕リリース
1997年 ToHeartリリース
1998年 ONE、WHITE ALBUMリリース
1999年 Kanon、こみっくパーティリリース
2000年 月姫リリース
注釈という名の余談
*1
1996年12月に発売されて年末発売ながらえろげ年間トップセールスに食い込んだ超大作。えろげ云々以前にとにかく面白いゲームだけど、現在では「配布フリー宣言」の対象なので無償で遊べるよ。このゲーム、えろげ史上でもFateに次ぐ本数が売れていると思われる。そもそもこの作品、10年近く定価で販売されてたのに売れ続けてたんだもん。
ランスシリーズ自体は後に1作目リリースから30年ほどかけて完結にたどり着く。平成元年に1作目がリリースされたランスシリーズ。平成という時代を1人の主人公が駆け抜けたと考えると凄まじいよね。
そもそも30年続いたえろげブランドというのが皆無に近い。
強いて言うならアイデス(現F&C)が一応存命ではあるようだけど、、、
あ?HARD?そうね。BEEPが権利を取得してあやよ6がもし発売されたなら、80年代から続くシリーズということに?
*2
某えろげ雑誌のキャラ人気投票でこのマルチとランスが長年に渡ってトップ争いを繰り広げるという異常事態が起きる。
いや、えろげ雑誌の人気投票なら女の子キャラに投票しろよ。書いてなくても女の子にいれるでしょ?ランス様って男だよ?あと結構上位の遺作さんに入れたやつ、お前らほんとに何考えてるの、、、?
*3
前作までの評判からもノベルシリーズ第3弾を出したかったのは想像に難くない。それ以前のDR^2ナイト雀鬼やFilsnownは売れ行きが悪かったと聞く(Filsnown作中でナイト雀鬼の在庫の山がでてくる)。
SFCのかまいたちの夜のように画面全体にテキスト表示するタイプのゲームをPCゲーム業界で初めてリリースしたのがLeafの雫だと(一般的には)言われているけど、実際には1995年にTOPCATの「メッセンジャーフロムダークナイト」が作品全体ではないけど近い形式を採っていたのでこの辺りは議論の余地がある話題かもしれない。
*4
同級生シリーズが大ヒットしたにもかかわらず、そのシステムを真似たゲームがごく少数なのは「難しい」から。あれは天才蛭田昌人だからこそ成し得たシステムだったのかもしれない。
逆にノベルゲームは従来のAVGのテキスト表示形式を置き換えるだけでも実装できるので簡単にみえる。だから乱造されてしまったという部分もあるのかもしれない。
*5
メディアミックス展開自体はノベライズ版のようなものは当時でも多数あった。大規模展開ではないにせよグッズ展開も多少あった。
一番多方面に展開できていたのが同級生シリーズ。
ポスタードリームとかゲーセンにすら関連グッズが並んだくらいには同級生シリーズはメディアミックス展開を広げていた。
同級生のノベライズ版も名作なのでえろげという偏見なく機会があれば読んで欲しい。著者はまほろまてぃっくの中山文十郎。
*6
SSは日本独自の表記。
SideStoryだったりShortStoryだったり語源が定まらない自然発生した用語だけどS(即興)S(小説)のSSでもあると思っている。
この当時でいうとエヴァ、GS美神あたり(と少し進んで「葉鍵」)のSSが特に盛んな時期になるのかな。GS美神系大規模個人SSサイト「夜に咲く話の華」の管理者ry
*7
わたしはPC-9800時代の美少女ゲームの収集家でもあるのでそれに続く時代の作品も少しだけフォロー範囲。実質的には1998年のラブエスカレーターが98美少女ゲームの最後と考えてはいるけど2000年代前半程度くらいまではある程度フォローしている。
*8
ジャストを分裂させてキララが誕生したこと、キララからの独立()でエルフが誕生したこと、沙織事件が起こったこと、同級生という作品が発売されたこと、いろんな転換期があったと思うよ。
*9
どうみてもAIRのパクリ。絵は超かわいい。え?みつみ美里か?と思ったくらい。
Keyが制作を手伝っていること、リスペクトを公言していたことで問題にはならなかったようだけど、どうみてもパクリでしょ。
*10
えろげの絵を描いてた人。
ほぼ彼一人だけのスタジオメビウスというVA系ブランド(*11)で悪夢というゲームをリリース。
悪夢はどう考えてもク○ゲーなんだけど絵が可愛いのでアホみたいに売れたらしい。絵だけで売れるってすごいよね。
スタジオメビウス自体が飛鳥ぴょん以外ほとんど誰もいないブランドだからいろんな意味でよく分からない二十歳かそこらの兄ちゃんに億単位のお金がガッポガッポ流れ込んだとかいう話。この辺は田所広成の反省記FC編下巻に面白おかしく書かれてる。
*11
現在のビジュアルアーツ、旧ビジュアルアーティストオフィス。
Keyはここの直営ブランドなんだけど、基本的にはゲームエンジン(システム)と販路を提供する感じの会社。上前だけ跳ねればいいこの仕組を組み敷いたのは大したものだと思うよ、ほんと。
たとえば「いたる絵」の樋上いたるもVA系ブランドのボンびぃボンボン出身(たまご料理というオムニバスアドベンチャーにCGで参加)
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