平凡な会社員の私が、シャニドルにどハマりする話

※うたプリ界で生きるモブ女が主人公です。苦手な方はUターンしてください
※うたプリ界を妄想で補完しておりますのでご容赦ください











アイドル、それは私達を照らす太陽

アイドル、それは私達を支えてくれる月

アイドル、それは私達に勇気をくれる翼

アイドル、それは未来へ共に歩む導

あの歌が聴こえる、あの言葉を覚えている

アイドル、それは私達にとっての、生きる糧

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私の名前は満島光。なんてことはない、ただの女性社会人。
今の会社に入社してから1年、ようやく仕事や新しい環境にも慣れて
ちょっとぐらいはゆとりが出てきたような感じだ。
いつものようにドタバタしながら仕事を終えて、疲れ切った顔で帰路についているところだ。

「ねえ、この前出たスタリの新曲聴いた?」

「聴いた聴いた!あれ最高だよねーいつもと違う感じで、めっちゃかっこいい!
いや、いつもかっこいいんだけどさ…あれは別格だよねー」

楽しそうにアイドルについて話をしている同い年ぐらいの女性2人組が目に入る。
スタリ、正式名称は確かST☆RISHだったか…残念ながら私にはそれぐらいの知識しかない。

私は、悲しいことに無趣味な人間だ。特にこれといって好きなものや趣味がない。部屋も驚く程殺風景で、こだわりも何もない。だから、彼女達のようにアイドルを好きになる気持ちも、よく分からない。そんな自分が、ちょっと悲しくはある。

そうだ、たまには真っ直ぐ家に帰らずにCDショップでも寄ってみようかな。

彼女達の話を聞いて、珍しくそんな事を思った。


最寄り駅の駅ビルの中にある、小さなCDショップ。最近はネットで音楽を買うのが主流だから、こういうCDショップは大変なんだろうな。
ここは小さいながらも品揃えもいいし、ちょっとふらっと見るには最適だった。

『I love youついておいで

 Legend days

 叶えてあげる

 Dear my precious

 永遠の夢…教えよう』

え、なんて素敵なハーモニーなんだろう。お店に入った瞬間に聞こえてきた歌声に、ふと心を奪われる。聞こえてきた方向をみれば、手作りのPOPやブロマイドで彩られた華やかな特設ディスプレイが目に入った。
ちょっと興奮気味に近寄って、MVと音楽を観て、聞いてみる。

可愛くもかっこよくもあり、魅力的な大人っぽさもある茶髪の男性

オッドアイが特徴的で、とっても男らしい、ちょっと荒々しそうな男性

可愛くて、どこか儚げで、でも力強い歌声の美少年

綺麗な金髪の、おそらく外国人であろう高貴そうな男性

一見するとてんでバラバラそうな4人が、グループとなって、とても美しいハーモニーを奏でている。高音、中高音、低音、中低音と奇跡的なくらい綺麗に揃っていてとにかく綺麗なハモリ…!

凄い!凄い、凄い!!

こんな素晴らしい歌があったなんて!

私はその日、生まれてはじめて、アイドルのCDを買った。




その日から、私は繰り返し同じ曲を聞いていた。曲のタイトルもグループ名も『QUARTET NIGHT』

どうやらクリスマスライブ限定で結成したグループで、それで出したCDが私が購入したものらしい。大変好評のようで、グループが今後も続いていくことが決定したんだとか。
う、嬉しすぎる。すっかりこの曲の虜になっていた私は、そのことを素直に喜んだ。
他の曲も聴いてみたいな。
生まれて初めてそんな事を思った。

調べてみて知ったことだが、彼らはそもそもは個人個人で活動しているアイドルであるらしい。皆さんベテランで、同じシャイニング事務所の所属なんだそうだ。
QUARTET NIGHT、その後輩アイドルグループであるST☆RISHの存在も知った。
皆輝いて見えて、その煌びやかな世界にすっかり心を奪われている私がいた。

まず、何かソロ曲を聴いてみよう。私はそう決意した。

色々調べてみたものの、どれから聴いてみようか迷ってしまい、なかなか結論が出せずいつしか時間だけが過ぎていた。

何かこれだってものが見つけられるかもしれない。私はまたあのCDショップに行くことを決意した。

「あれ、満島さん?」

いきなり名前を呼ばれて驚いて振り向くと、そこには同じ会社で同じ部署の先輩がいた。
散々お世話になっているし、たまにたわいもない話をすることもある間柄だ。
名前は東雲梓さん。え、なんでまたここに先輩が?

「東雲先輩!」

「シャニドルコーナーにいるってことはさては…」

「最近良いなあと思いまして…何かソロ曲を聴いてみようと思ってるんですけど、なんか迷ってしまって」

「なるほどねー皆魅力的だもんね。私の推しは黒崎蘭丸なんだけど…まずはねーそうだなー」

先輩がまさかシャニドル好きだったとは。意外といえば意外。バリバリのキャリアウーマンといった感じの先輩なので、こういったものは興味がないと思っていた。

「そうだ!今度さ、歌謡祭があるんだけど行ってみる?」

「か、歌謡祭…ですか?」

「シャイニング事務所総出の音楽の祭典よ、行ってみたら推しが見つかるかもよ?」

え、でもいきなりそんな大規模イベントの行っていいのだろうか。全然にわかんないんだけれでも…いや、でも迷っている場合ではないかもしれない。

うん、うん、行ってみよう!自分を変えるために!

「ぜ、是非行かせてください…!」

こうして私の初ライブ参戦は決定した。

その後、先輩は手慣れたご様子でチケットを2人分用意してくださった。完全抽選だったのでドキドキしたけれど、行けるということは大変嬉しい。感謝せねば。
私は予習しておけと渡されたCDを聴きながら、当日を待ち侘びた。推しが見つかれば、私の人生も変わるかもしれない!

当日がやってきた。ドキドキし過ぎて待ち合わせの時間より1時間も早く着いてしまい、先輩に大爆笑されてしまった。前日からスキンケアもバッチリしたし、メイクもいつもよりかなり気合を入れた。服も今日のために買ったちょっと良いもの。これでアイドルに会っても恥ずかしくないはず!
先輩も今日のために気合を入れているご様子だったので、同じ思いで良かった。
いざ、会場へ!

歌謡祭が開幕した。華やかなセットの中、アイドル達は縦横無尽にかけ回って、私達を魅了していった。なんて素敵な世界なのだろう、心が温まる。

音也君はパワフルで真っ直ぐで、本当に太陽みたい。

真斗様の歌は本当に淡雪のようで、今にも溶けてしまいそう。

那月君の優しさは、なんという強さなんだろう。包み込まれるような優しやに癒される。

トキヤ君は歌もパフォーマンスも本当に完璧で隙がなくて圧倒される。

レン君はその華やかなさと歌声の魅了される。本当にエンターテイナー!

翔君のパワフルさは本当に元気をもらえて、明日からも頑張ろうと思えた。

嶺ちゃんの歌は本当に大人の魅力満載で、なんてずるいんだろうか…。

黒崎さんのそのかっこよさは唯一無二だと思える。音域の広さが凄い。

藍君の儚さと力強さ、優しさの共存はなんて綺麗なんだろうか…。

それぞれがそれぞれの良さを出し切り、最高の音楽祭になっていて、本当に来て良かった。
もっともっと聴いていたい。私はすっかり彼らの虜だった。

そして、その瞬間は訪れた。

「平伏せ」

登場した瞬間、そう言いはなったのは、異国出身の伯爵にして執事アイドル、カミュであった。整った顔立ち、綺麗なブルーの瞳、流れるような金の髪、溢れ出る高貴。

登場した瞬間、場の空気が一変した。

こ、これは…!何かビビッとくるものがあった。無条件にひれ伏したくなるこの気持ち。この場に跪きたい…!跪く膝が足りない…!

こ、これが推したいという感情…?

歌が始まる。鳴り響く鐘の音、透き通るような歌声。愛を歌う歌。ああ、これは誰に向けた感情なんだろう。私だったら死んでしまう。

「お前だけに跪こう majestic Love」

あああああ…なんて衝撃のワンフレーズ。待って、跪きたいのはこちらです…

気がついたら私はカミュ様に魅了されまくり、頭の中は大混乱だった。

気がつけば、私の目は釘付けになってカミュ様から目が離せなくなっていた。
どうしよう、もっと聴きたい。この歌を聴いていたい。他の皆さんも素晴らしかったけれど、これ以上ない位、好きだと、推したいと思えた。


「どうだった?」

「もう最高でした…!本当にありがとうございます!連れて来てくださって本当にありがとうございます!」

私は先輩に何度もお辞儀した。ちょっと大袈裟だっただろうか。でもその位感動したし、本当に良かった。

「推しは見つかったかい?」

「はい、カミュ様です!」

こうして私は、カミュ様最推しのシャニドルオタクへの第一歩を踏み出したのであった。

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