辞典からたどる「絵文字」の戦後

今日「絵文字」といったとき、🌠(星)や✨(キラキラ)といった。

絵で感情を表現する文字が、まず浮かんでくると思います。

とりあえず記事の一発目は、国語辞典に書かれている絵文字の意味について、時系列的にたどってみるという内容でお送りします。

(といっても、カッチリした話ではなくて、むしろ「だからどうした」的なものなので、気楽な感じで読まれることを推奨します…)


さて、絵文字について、例えば「goo辞書(デジタル大辞泉)」の項目をみてみると、

1 記録や意志伝達のために用いられる絵画的表現。文字発生の初期の形態で、象形文字以前のもの。ピクトグラフ。
2 簡単な絵のような形で、言葉・文字・記号の代わりとするもの。例えば、非常口や禁煙を表すマークなど。
3 電子メールやメッセンジャーアプリなどで用いる、1文字サイズのイラストやアニメーションのこと。記号を組み合わせて表情を表す顔文字を含んでいう場合もある。

と、3つの項目にわけて説明されており、かつ3の意味により多くの紙幅を割いていることがわかります。

とはいえ、2や3の意味で辞典に掲載されるようになったのは、2だと案内標識の出現、3だとデジタル化以降の話でしょう。

最初から、掲載されていなかったであろうことは間違いなく。順々に追加されていった様子をうかがえます。


というわけで。時系列をたどるために、10年スパンで更新している『広辞苑』の第1版から7版までを追いかけてみましょう。

すると、

文字発生の初期に属するもので、絵画により意志を表現するもの。象形文字のさらに幼稚な段階。(第1版:1955年)
文字発生の初期に属するもので、絵画により意思を表現するもの。象形文字のさらに幼稚な段階。ピクトグラフ。(第2版・増補:1976年)
文字発生の初期に属し、絵画により意思を表現するもの。象形文字の前の段階。ピクトグラフ。(第3版:1983年)

ここまでは大きな変化はないものの(今だと突っ込まれるような表現は変えていますね)。

①文字発生の初期に属し、絵画により意思を表現するもの。象形文字の前の段階。ピクトグラフ。②絵のような形で、記号や言葉の代りとするもの。(第4版:1991年)

80年代をはさんだ第4版で、意味が追加されました。

この80年代は、非常口の誘導標識の導入にはじまり、②の意味で使われる絵文字(ピクトグラム)がとくに普及した時期といわれています(64年の東京オリンピックからの流れも忘れてはいけない)。

goo辞書でいえば、「2 簡単な絵のような形で、言葉・文字・記号の代わりとするもの」が、辞典に載せるほどに成熟したのだといえるでしょう。


続けて、第5版以降では、

①表意文字の一。絵を簡略化して文字として用いたもの。クレタ島のミノア期、イースター島、メキシコのザボテク族などにみられる。ピクトグラフ。②絵のような形で、記号や言葉の代りとするもの。(第5版:1998年)
①表意文字の一。絵を簡略化して文字として用いたもの。クレタ島のミノア期、イースター島、メキシコのザボテク族などにみられる。ピクトグラフ。②簡略な絵を文字や言葉の代りとするもの。公共の案内表示に用いるマークなど。ピクトグラム。ピクトグラフ。(第6版:2008年)

と、より具体例をともなった表記となっていきます。

そして、第7版において、

①表意文字の一。絵を簡略化して文字として用いたもの。クレタ島のミノア期、イースター島、メキシコのザボテク族などにみられる。ピクトグラフ。②簡略な絵を文字や言葉の言葉の代りとするもの。公共の案内表示に用いるマークや電子メールで気持を表すアイコンなど。ピクトグラム。ピクトグラフ。(第7版:2018年)

「電子メールで気持を表すアイコンなど」と記載されており、今日のデジタル化をふまえた説明にいたる流れがみえてきます。

そして、冒頭のgoo辞書で説明されていた3つの項目でいえば、1、2、3の順で追加されていったという理解で間違いなさそうです。

社会的な出来事というべきか、時代のうねりというものが、国語辞典を時系列に読むだけで何となくわかってくるのが面白いですね。


加えていえば、用語に関しては、どの時期に変化があったのかというのが明確に浮かんでくるので。

今だと、wikiの説明(絵文字だとこんな説明)と突き合わせながら、考証を進めていくという方法もありそうですね。

例えば、80年代の説明なんか雑だったので、ここを埋めると、きちんとした解説になるはず(自分は、手元に資料がなく断念…)。


というわけで。こんな感じの、ゆるーいテイストでnoteをお送りしていきます。。

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