「春の丘で」
"私、この季節のこの丘が一番好き"
君が好きな緑の季節がきたよ。
君が居ないけど、僕はまた此処に来た。
此処に来れば君に逢える気がして。
君を感じられるような気がして。
そんなわけないんだけどね。
君が居なくなってからの僕は何をするのも上の空で。
ふと、独りになると君の事を思い出していた。
でもね、今日、此処に来たのは君を思い出して泣く為じゃないんだ。
君との事を忘れる為でもない。
君が最後に願ってくれた"幸せ"になることを始めようと思う。
君への決意表明をしに来たんだ。
だからといって君を忘れるんじゃない。
君を心の片隅の小さな小箱にしまって前を向いて歩いていくんだ。
君が望んでくれた僕自身の幸せを掴むために。
ザワザワと風が草木を揺する。
その風が僕をつつみこむように吹き抜けた。
"頑張れ"と励ます君を感じた。
ありがとう、君。
僕は一歩踏み出せるよ。
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