こんなん書いてましてん『居場所』(薄桜鬼 斎藤 千鶴)

"あぁ、まだ熱下がらないな…。平助くんが居なくなってからすぐ寝ちゃったんだけど、あんまり寝付けてないなぁ。"


「雪村、目が覚めたのか?」

声のする方に目をやるとそこには三番組組長斎藤一が座っていた。


「斎藤、さん。」


千鶴は少し驚いていた。

まさか、斎藤までもが自分の部屋を訪ねてくれるなどと思ってもいなかったから。


「すまぬ、一応外で声をかけたのだが返事がなかった。なので襖を少し開けて様子を見たのだが熱のせいで魘されていたのが気になって中に入った。物音をたてないように気をつけていたが起こしてしまったか…。」


部屋に入るまでの説明を斎藤は長々語っていたのを聞き終えると千鶴は小さく首を左右に振りか細い声で言う。


「いえ、別に物音はしてなかったのですがあまりに寝苦しくなって目が覚めてしまっただけですから斎藤さんは悪くないです。」


「そうか。しかし…。」


と言いかけて千鶴の枕元をみやると斎藤は言葉をつづけた。


「枕元に随分と物がそろっているが俺以外にも誰か来たのか?」


斉藤が枕元をみやり言う。


「え、あ、はい。原田さんが桶と手拭をもってきてくださって、永倉さんが水をもってきてくださって、平助くんが金平糖をくれたんです。」

千鶴が説明すると斉藤は小さくため息をつき千鶴に気の毒そうな顔を向ける。


「左之はともかく、あの二人が来たのならなかなかに騒がしかったろうな。とても寝ていられるような感じではなかったろう。」


「いえ、正直、心ぼそかったので嬉かったです。と、いうか、逆に申し訳なくて。」


「何故だ?」


「みなさんのお役にも立ててない私がこんなにもみなさんに優しくして頂いていいのかなって・・・。ただ優しさをもらってばかりいるような気がして・・・・。」


私の言葉に斉藤さんは少し考えてから言葉を発っする。


「雪村、誰に役にたってないと言われたのかは容易に推測できるがお前は充分に自分のやるべき事を見つけて働いていると思う。それで幾分か俺達が楽をできているのは確かなのだ。だから皆が心配するのだ。甘えられるべきところは甘えても何ら苦にする必要もないだろう。」


「斉藤さんは私が役に立ててると思いますか?単に自分の居場所を見つけるために動いてると思いませんか?」


千鶴の質問に斉藤はまたしばし考えこむ。


そして、考えがまとまったのか千鶴に小さく不器用に微笑みながら言う。


「居場所をみつけるためでも、雪村が役にたたないとは思わない。ちゃんと皆、ささやかながら助けられている。俺もここに来た皆も・・そしてお前にきつい事いう総司にしても雪村、お前のことを心配しているのだ。あまり、人に関心を示さない総司がお前の顔色に気がついたのもちゃんとお前のことを心配しているからだろう。あれは天邪鬼だからな。」


斉藤の最後の言葉に千鶴は何だかホっとしたのかクスクスと笑う。


「そうですね、沖田さんはそんな感じがします。ありがとうございます、斉藤さん。」


「いや・・・礼を言われるほどのことでもない。雪村、安心したのならまた少し眠るといい。俺は桶の水を取り替えてくる。」


「はい、すみません。ありがとうございます。」


「謝るな。甘えるべき時は甘えていればいい。」


そういい残すと斉藤は桶を手に千鶴の部屋を一旦後にするのだった。


”斉藤さんの言葉。心にしみわたるようだった。それが病気でよわってる私への配慮だとしても嬉しい”


千鶴は暖かな気持ちになり、また夢の中へと落ちていった。








続く・・・・・。

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