某ゲームの妄想恥文

春の終わりに(薄桜鬼短編小説  土方  原田)

がたっ・・がたたっ!!


玄関で凄まじい音が聞こえた。


それは、鬼副長土方歳三にもはっきりと。


土方は玄関へと出向く。


そこには・・・・・。


「あれぇ、土方さんじゃないかぁ。」


酔っ払って大の字に倒れ込む十番組組長原田左之助がいた。


「なんだ、原田じゃないか。どうした、そんなに酔っ払って。お前一人かぁ?」


「あ、そうだな・・・あはは、土方さんが逆さまにみえる・・・あはははっ。」


原田はしこたま飲んだのか泥酔している。


「おいっ、こんなとこで寝てんじゃねぇよ。幹部隊士がこんなことでどうしやがる。」

「あっ、そうだな・・・・でもなぁ、起きれないんだよ、なんかしらねぇけど・・へへっ・・へへへへ。」


「原田、何かあったのか?お前がそんなに酔うまで飲むなんてなぁ、久しぶりじゃねぇか。」


「あっ、あぁ。大したことじゃねぇんだけどな。何かよ、飲みたくなっちまった。」


原田の目が一瞬曇るのを土方は見逃さない。


「なぁ、原田、俺には話せない事か?俺でよければ話くらいは聞けるが。」


「んっ、あぁ、いくらあんたでも話せないな。これは俺自身の中に納めなきゃならねぇ問題だ。」


「女か?」


「え、あぁ、まぁそうだな。・・・・なぁ、一つだけ聞いてもいいか、土方さん。」


原田の声が真面目になる。


「ああ、俺が答えられる事ならな。」


原田は少し間をおいてから言う。


「もしよ、この世の中が平和になったとして、土方さんなら惚れた女とどうやって暮らして生きて
ぇ?」


「・・・・・・。そりゃぁ、あれか、もし生き残れてって事か?」


「んっ、ああ、そうだな。」


土方は少し考えこんだ。

考えをまとまったのかゆっくりと口を開く。


「もし、生き残れたら俺なら惚れた女のしたい事、望むことを叶えてやろうと思う。」


「・・・・・。そうか。」


原田は土方に目を向けると言う。


「俺は・・・もし生き残れて平和な時代を生き抜くなら静かな場所で惚れた女を生涯守り貫いて生きていきてぇっておもってんだ。」


少しいった言葉がはずかしかしくおもったのか、酒で赤くなってる顔をまた少しいろずかせていた。


「いい夢じゃねぇか。叶えるためにも原田、生き残れるといいな。」


「あぁ・・。土方さんも、な・・・・・・・・。」


そいうと原田は目を閉じて玄関で寝てしまった。


「おいっ、原田っ、こんなとこで寝てんじゃねぇよ。・・・たくっ。おいっ、誰かっ、原田を部屋まで連れてくから手伝えっ!!」


土方が大きな声で呼ぶと小さな人影が近寄ってくる。


「あのっ、土方さん、私でよければお手伝いします。」


それは千鶴だった。


「お前、か。まぁ、いい。手伝え。」

「はいっ。」


土方と千鶴は原田を二人でひきずるようにして部屋へ連れて行き布団を敷いて寝かせた。

「すまねぇな。こいつがこんなになるまで飲むことなんてめったねぇんだが。」


「いえ、いいんです。」


「たくっ、屯所には男どもはうようよいるってのに、役にたたねぇときた。」


「みなさん、お疲れなんですよ。」


「・・・はぁぁ。千鶴、もう寝ろ。ありがとうよ。」


「はいっ、それでは、おやすみなさい。」


千鶴は頭を下げると原田の部屋をあとにした。


土方は千鶴がさったのを確認すると原田に目をむける。

そして、優しい口調で呟く。


「原田ぁ、お前の夢が叶う世の中になればいいな。そして、お前は生き残れよ。」

そして、原田の部屋を後にするのだった。



これは、春の終わりの出来事。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?