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チャネリングを最小化するパックを作る

1.チャネリングって

パック内にコーヒー粉を詰めた時、均一に詰められずにパック内にエアポケットや、密度の低い場所があると抽出の際にパックに湯が注がれた時にその部分に集中的に流量が集中してしまう。これがチャネリング。流量が一部分に集中してしまうとその部分だけ抽出が進んでしまう。つまり、チャネリング発生場所では過抽出、その他の部分では未抽出な抽出液になってしまい、そんなエスプレッソが美味しいわけがない。例えばドリップコーヒーを淹れる時に右端だけにずっと湯を注ぐようなもので(エスプレッソでは9bar程度の圧力で抽出するので単純に偏ったドリップコーヒーの抽出をした場合の9倍偏りが出る。)それだけチャネリングには注意しないといけない。

チャネリングには大規模なものや、小さなもの(マイクロチャネリング)があり、大規模なものを見分けることは目視でできるが、マイクロチャネリングまで目視で確認することはとても難しい。チャネリングが抽出液に与える影響はとてつもなく大きくていかにチャネリングのない均一な抽出ができるかが全ての基本になっていて、それに合わせてグルーミング器具を選択したり、オペレーションを考えている。

2.チャネル部分で起きていること

どのように湯は通過していくのか

【層流と乱流】

一般的には水は重力に従って上から下へ直線状に流れていく

左:層流 右:乱流

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層流とは粘り気のある液体がパイプなどを流れるときに、パイプの壁に接する箇所の流量は実質ゼロであるという物理学の概念。境界(壁)に最も近い分子はパイプの壁に付着して動かない。しかし隣接する分子の層はその外側の層を滑り、また次の内側の層がその分子の上を滑っていく。個々の層がどれだけ滑りやすいかは、液体の粘度によって決まる。このような層で発生する流れをいう。↓

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エスプレッソの場合、かかる圧力、押し詰められたコーヒー粉、などの影響を受ける為、単純な層流になるわけじゃない。

チャネリングが起こるとチャネル内では流れが速くなり乱流が生まれやすくなる。乱流は流れの遅い層に食い込んで通常抽出しにくいような分子(擬似タンニン、フェノール分子など)を運んでいくことがありこれが嫌な苦味や収斂味を生んでしまう。これらが抽出されるとミルクで割ったとしても舌がざらついたり雑味が残ったりする。

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つまり抽出されるタンニンやフェノール分子の量は流量だけでなく、流れ方にも影響をうける。

層流か乱流かの判断には、レイノルズ数という数値を用いて表すことができるけど、難しいしよくわからないのでスルーしている。

3.チャネリングがもたらすもの

1、2で分かるとおりチャネリング の発生はエスプレッソに大きな悪影響を与える。チャネリングが発生すると不快なフレーバーのあるエスプレッソ になる。これは通常の抽出では抽出されずらい擬似タンニンやフェノール分子がチャネルに流量が集中することで抽出されてしまうから。(これらの分子はサイズが大きく、水に溶けにくいので均一に抽出できた場合はこれらが抽出される前に抽出が終了するので抽出液にこれらが抽出することはない)これらの分子は強い苦味と収斂味を持ち、唾液内のタンパク質と結合することによってドライ感をもたらす。

→チャネリング が発生したエスプレッソは苦く、焦げ臭く、ドライな味になる。

エスプレッソを淹れる上で、何よりも大切なのはいかにしてチャネリングを最小にするかということ。それができなければどんなに美味しいコーヒー豆を使用してもどれだけ高価なコーヒー豆を使用してもそれらの特徴はかき消される。エスプレッソマシンでの抽出には大きな圧力がかかる分、少しのズレや差が、大きな差になることを十分すぎるほど注意しないといけない。

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