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診療画像検査学12/4(日)

問1
 無散瞳眼底写真を次に示す。
 写真を見てアーチファクトの名称と対処法の組み合わせで正しいのはどれか。

MR・超音波・眼底 基礎知識図解ノート 第2版 P533 参照

1、リング状ーーフラッシュの光量を上げる。
2、三日月状ーーフォーカスノブを調整しスプリッド輝線を一直線にする。
3、櫛状ーーーー対物レンズをきれいにする。
4、フレアーーーワーキングドットが最小になるように位置合わせを行う。
5、モーションー2つのワーキングドットが線に乗るよう位置合わせを行う。

解答:4

眼底検査のアーチファクト

白い点、写真全体が白っぽい、写真中央に白い反射
原因
・対物レンズの汚れ
対策
・対物レンズの清掃

フレア
 
照明光+撮影光が水晶体の前面or後面に掛かったときに現れる。
原因
・作動距離が近いor遠い
・対物レンズと被検眼の距離が近いor遠い
・コントロールレバーの押し込みすぎor引きすぎ
対策
・作動距離、対物レンズと被検眼の距離を適切にする。
・コントロールレバーを適切な位置に設定し、モニタ画面でワーキングドットが最小になるように位置合わせを行う。

三日月状
原因
・被検眼に対して眼底カメラの位置が右or左にずれている。
対策
・コントロールレバーを操作し、2つのワーキングドットが線に乗るように位置合わせをする。

写真の一部が黒い
原因
・散瞳不十分
対策
・暗所で瞳孔が開くのを待つ

写真全体が暗い
原因
・光量不足
対策
・フラッシュ光量を上げる。

写真全体のボケ
原因
・ピントが合っていない。
対策
・フォーカスノブを回し、スプリッド輝線が一直線になったところで撮影する。

上方ボケ
原因
・涙の乾きによる角膜の露出
対策
・瞬目(まばたき)を促す。

櫛状
原因
・まつ毛の下がりすぎ
対策
・眼を大きく開けてもらう。
・指でまぶたを上げる。


問2
 MRAについて正しいのはどれか。

1、Dixon法が用いられる。
2、PC法では造影剤を用いる。
3、TOF法では血流の流速測定が可能である。
4、非造影MRAは造影MRAに比べ撮像時間が短い。
5、造影MRAでは目的とする血管に応じて撮像タイミングを決定する。

解答:5

Dixon法
・GRE法で、脂肪と水の共鳴周波数差を利用し、TEを変化させることで、脂肪と水に位相差を生じさせる方法
・脂肪抑制法の一つ
・水と脂肪が同位相(※1.5Tの場合 TE:0、4.46ms)の場合をin phaseという。
・水と脂肪が逆位相(※1.5Tの場合 TE:2.23ms)の場合をout of phase(opposed phase)という。
・脂肪肝の診断、腫瘍内のわずかな脂肪の検出、膵臓の脂肪変性や浸潤などの観察に用いる。

PC法
・MRAに用いる(つまりGRE法を利用)
・双極傾斜磁場(速度エンコード傾斜磁場)を用いて位相変化を捉える。
・血管像の描出や血流速の測定が可能
・流れの方向に依存しないが、乱流の影響を受けやすい。
・2Dでも3Dでも利用可能

※双極傾斜磁場
 極性の異なる、大きさの等しい傾斜磁場

TOF法
・GRE法を用い、in flow効果を利用して血流を高信号に描出する方法
・MIPによって連続的な血管像を描出できる。

(2D-TOF)
・薄いスライスを1枚ずつ撮像する。
・FAは60°~80°
・撮像時間は5~7分
・流入効果による影響が大きく、遅い血流でも高信号が得られる。
・スライス方向の分解能は低くなり、ステアステップアーチファクトが出現する。
・動脈と静脈の分離が可能(トラベリングサット
・乱流に弱い
・ターゲットMIPの作成が可能

トラベリングサット
 抑制したい血流の流入部側に飽和パルス(サチュレーションパルス)を印加する方法

(3D-TOF)
・スラブでボリュームデータを取得し、薄いスライスで画像再構成する。
・FAは20°~30°
・高SNR、高分解能が得られる。
飽和効果により信号低下が起こるため、遅い血流には不向きで、速い血流で高信号が得られる。
・撮像時間が長くなるため、高速撮像法を用いる。
・乱流に弱い
・ターゲットMIPの作成が可能

飽和効果
 血流がスラブ内を通過するときに短い間隔でRFパルスを受けるため、縦磁化が回復できずに信号が低下する。
 スラブが厚いほど、血流が遅いほど、TRが短いほど、FAが大きいほど飽和効果が高くなる。

(飽和効果対策)
傾斜フリップ角法
 FAを流入部側から流出部にかけて段階的に大きくし、血流の信号を均一化する方法
マルチスラブ法
 スラブを複数に分割し、オーバーラップさせてつなぎ合わせる方法

※ターゲットMIPの欠点
 血流以外に高信号なものがあると血流が描出されない。

TOF法とPC法の比較


造影MRA
・Gd製剤のT₁短縮効果を利用する撮像法
・3D高速GREを用いる
・撮像範囲は広範囲で短時間撮像(10~20s)が可能
・造影後の画像から造影前の画像をサブトラクションし、目的血管のみを描出(MR-DSA)
・広範囲の撮像では、2~3回に分割し、テーブルを移動して撮像する。
・撮像タイミングが難しいため撮像タイミングを決める方法がいくつかある。

(撮像タイミング)
・テストインジェクション法
 少量の造影剤をテスト注入して目的部への到達時間をあらかじめ調べる方法
・トラッキング法(タイミングモニタリング法)
 目的部へROIを設定し、信号上昇で到達を検知し、自動的にスキャンを開始する方法
リアルタイムスキャン法
 モニタ上でリアルタイムに観察し、目的部に造影剤の到達を確認してからスキャンを開始する方法


参考文献

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