お手軽30分トリテ制作

皆さんこんにちは。りかちと申します。四等星というサークルでゲームを作っています。
今回もトリテアドベントカレンダーに参加させていただきました。
楽しい記事が毎日読める素敵な企画です。ぜひご覧ください。

さて、トリックテイキングと言えばゲーム制作者の人気も高く、噂ではゲームマーケットでも毎回多くのトリテが発表されてはりかちの財布に攻撃を仕掛けてくるとか 世は大トリテ時代。現況を詠んだ有名な自由律俳句がこちら
「ゲムマはトリテが9割」
ちなみに昨日までの記事の中でも新作が4作紹介されています。

かくいう私もよくトリテを作ります。仕事が終わらず終バスをのがして最寄駅から家まで徒歩で帰る30分間や仕事が終わらず終電をのがして職場から家までレンタサイクルで帰る40分間が主なトリテ制作時間です。
トリテ、作りやすいんですよね。構造がしっかりしていてゲームとして成立しやすい。そんなわけで今回は私がトリテを制作しているときに考えていることをまとめてみようと思います。
この記事を読んでトリテ制作を楽しんでいただけたら幸甚です。

ちなみに直前まで「仲良シふれんず」の感想文とどちらを投稿するか悩んでいました。

トリテ制作のメリット

そもそもなぜ「トリテを」作るのか。実際にトリテ以外を作る場合もあるのですが、やはりトリテを考えることが多いです。トリテが制作しやすい理由としては「構造がしっかりしている」「狙い通りの展開を作りやすい」という2点が挙げられると思います。

構造がしっかりしておりゲーム展開が制御しやすい

ゲームを作るときに決めることは星の数ほどあります。
手札の枚数とカードの補充枚数、手番制か同時進行か、手番にできること、手番以外にできること、ゲームの終了条件、etc.
これらをゲームの目的に合わせて取捨選択したり創造したりしていくわけですが、トリテにすると決めた段階で多くの工程をスキップできます。
「マストフォロー、ノートランプのトリテを13トリック行います」
これだけでゲームの決め事の大半が片付いているわけです。もちろんこの段階で「トリテを作る」から3歩くらい前進しているわけですが、すべてを1から考えていくのに比べればマストフォローかメイフォローか、切り札はあるか等を決めていく作業ははるかに簡単であるといえるでしょう。

余談ですが、トリテの構造がしっかりしていることは遊びやすさにもつながります。
「マストフォロー、ノートランプのトリテを13トリック行います」
と聞けばルールの8割は理解できたといえるのではないでしょうか。
共通認識ができているということは作る側にも遊ぶ側にも大きなメリットになっています。

初期手札からゲームの展開や目標を考えやすい

配られた手札を見て、何トリック取れそうか。クイックトリックがいくつあるか、ロングスートのエスタブリッシュは狙えるか等を考えることができます。また、トリックを取らないゲームだったらボイドは作れるか、ハイカードの処理はどうするかなどの方針が立てられます。

すなわち、トリックテイキングはゲームの中で明示された目標に対してプランを考えることが比較的容易なゲームと言えると思います。
これはそのまま作者が意図した面白さを実現しやすいということです。

例えばディスカードを引き取ると失点になり、仲良しカードには友達がついてくるトリテの場合、うさぎは枚数が少ないからボイドにできそうだ、くまの3にはねこの2をつけられるがねこの2は貴重な防御札だから温存しようといった作戦が考えられます。
また、ゲーム中に自分の弱点のスートが攻められてハイカードが引きずり出されたときに失点札がつかないでくれと祈る瞬間はこのゲームの面白さが濃縮している時間だと思います。
何の話でしたっけ? ああトリテはゲーム展開や目標を考えやすいという話でしたね。一度ルールを聞いただけですんなりとルールが覚えられる点、カードの強さの順が明確で手札のカードの使い方がイメージしやすい点等はゲームの面白さをダイレクトにプレイヤーに届けやすくしており、トリテを作りやすくしていると言えるでしょう。

トリテ制作の手順

コンセプトを決める

トリテを制作するにあたって
「マストフォロー、ノートランプのトリテを作ろう」
からゲームを作りはじめることはまずありませんほとんどありません。あまりありません。
どんなトリテにしたいのかを最初に考えます。システム面から考えることもありますし、テーマから考えることもあります。

システムから考えるときは、何らかの困難を設定してそこを突破させることを考える場合が多いです。ディスカードが失点になるとかなるべく低ランクで勝ちたいとか。
(実際にどう作られたかはわかりません)

テーマから考えるときは、それこそ「火星をテラフォーミングするトリテを作りたい」等自由に設定していただいてよいと思いますが、トリテっぽい何かからゲームを作る方が制作が順調に進みます。なにせ30分1本勝負ですからね。カードを1枚ずつ出すの競りっぽいよねとかボディビルの大会ってマストフォローっぽいよねとか。

トリテの大まかなジャンルを決める

コンセプトが決まったらいよいよ具体的なゲーム制作です。コンセプトと相談しながら大枠を決めていきます。

  • マストフォロー/メイフォロー

  • 切り札はある/ない

  • トリックをたくさん取りたい/程よく取りたい/取りたくない/勝敗は関係ない

  • ビッドはある/ない

ボディビルの大会だから演目は決まっているはずなのでレーンフォローだ。大会に向けてトレーニングがしたいから手札のドラフトをしようといったことが自然に決まるといいゲームになりやすい気がします。いったい誰の記事だよ自分で考えて書きなさいよ

より面白くなるルールを選択する

「大まかなジャンルを決める」とも内容はかぶりますが、いじれるところは無数にあります。積極的に、より面白くなるルールを決めていく場合もありますが、ゲームにならない(見通しが立たなすぎる/立ちすぎる)という状況を回避するためにルールを決めていく場面も多いです。
具体的な内容は思いつく限り次の章に書いてみたいと思います。

ルールを選択すると書きましたが、既存のゲームから引用する必要はありません。ゲームにあったアイディアが降ってくればうれしいです。パートナーと隣同士に座ったら必ずトリックのラストがパートナーになるようにできるとかね。車輪の再発明もよく起こります。
ジャンルの選択は必然的に決まっていく場合が多いですが、細かいルールはどちらを選んでもゲームになるという場合が結構あります。
どちらのほうが面白いか、コンセプトに合うか、わかりやすいか、悩ましいか、などを考慮して適当に決めます総合的に判断します。

トリテ制作のポイント

どういう点がいじれるか、どんなメリット・デメリットがあるか。思いつくままに列挙していきます。次の章まで読み飛ばしてください。
大きな軸としては
コントローラブル/アンコントローラブル
の度合いを調整していくことになります。ゲーム展開が見えすぎると手札運の問題が大きくのしかかってきますが、ゲーム展開が見えなすぎると途端に面白くなくなります。

また、ことトリテにおいては煩雑になるほどゲームの面白さは目減りしていきやすいです。不要なルールを削り、いかに少ないルールでコンセプトを実現できるかを考えるのも重要です。

勝ちたいのか、負けたいのか

コンセプトに合わせてトリックを取るゲーム、取らないゲーム、決まった数だけ取るゲームなどを決めていくかと思います。ビッドが絡んでくる場合もありますね。

勝ちたい、負けたいが明白だとゲームの見通しは良くなります。勝ちたい人と負けたい人が混在している状態だと予測が狂いやすく悩ましくなりますが、その場合は「このプレイヤーは勝ちたいのか負けたいのか」を外部からの情報である程度判断できるようにしておかないと暗中模索になりやすいです。勝ちたいと負けたいが混在しているゲームの例としては妖怪セプテットブードゥープリンスHii Fuu!!などが挙げられます。

ミゼールのルールを特別に設ける場合もあるかと思います。ミゼールを狙う人がいるとその他のプレイヤーのトリック数は増えることになります。ミゼールの価値を高くするほど、ミゼールを成功したプレイヤー、ミゼールを狙わなかったプレイヤーとミゼールを失敗したプレイヤーの差が開くことになり、注意が必要です。

フォローの仕方

メイフォローは難しいです。極端な例ですが「メイフォロー、ノートランプのトリックアボイダンス」はゲームになっていない予感がします。
王道のマストフォロー、メイフォローの他にもマストウィン、マストラフなどの条件がついていたり、特定のカードがフォローの義務を無視できたり、変わったところではレーンフォローなどもあります。マストウィン、マストラフはタロットでよく見かける印象です。フォローのルールを微妙に外すのは大新さんが得意とするところです。

工夫のしどころではありますが、フォローのルールを複雑にするとトリテの利点のひとつである見通しのよさが損なわれるので注意が必要です。

切り札はあるか

切り札なし、切り札スートが固定、ビッドで切り札が決まる、その他のルールで切り札が決まる等のケースが考えられます。その他のケースとしてはミットレールヤスなどが有名です。
切り札があった方が自分の力ではどうしようもない展開が減ってストレスフリーなゲームになりやすいです。ただし、切り札スートを固定すると手札の配り運の影響が大きくなります。

ポイントテイキングの方がトリック数を競うタイプのトリックテイキングより切り札を導入しやすいです。

プレイヤーが負けたいトリテで切り札があるものは少ない印象です。とりあえず邪魔な切り札を片付けてからという展開が多くなってしまうのかと思いますが、工夫の余地はあると思います。

手札交換

手札の配り運でゲームが決まってしまっては興醒めです。初期手札の偏りを是正するのに有効な手段の一つが手札交換です。
ただし、手札交換は万能の調整機構ではありません。特にトリックをたくさん取りたいゲームでは不要なローカードのやり取りが行われたところでゲームへの影響が小さいです。
アンバランスハンドの方が強いとき、序盤にボイドがあった方がゲーム展開が盛り上がるとき、ペア戦でペアと意思疎通をする手段などは手札交換が有効に働く例だと思います。

強さの特殊ルール、特殊カード

こちらも手札運の解消に有効になる場合があります。また、特に特定の状況下で最強になるカード(Aと2が一緒に出ていると2が勝ちます等)はカードを上から叩きつけて回収していけばよいという状況を改善し、カードを出すタイミングを悩ませるメリットがあります。
もちろん特殊カードが多すぎると見通しは悪くなりますし読み落としも起こりやすくなり、何よりテンポを損なう可能性が大きくなります。
特殊カードは無理に用意せず、多くても3種類程度に抑えたほうが無難です。

ビッドについて

手札運の解消について現在最もよく問題を解消していると言えるのがビッドではないかと思います。
現在主流のビッド方法は大きく分けて2種類あります。

  • 最低ラインを示すビッド

  • ピッタリを狙うビッド

最低ラインを示すビッドとは例えばコントラクトブリッジやスカートなど、ビッド以上のトリックなり得点なりが取れればよいというゲームです。手札の偏りに応じてよりチャレンジングなビッドをすることになり、13トリック中1トリックしか取れなかったけれど相手のスラムを阻止したので勝ちといった展開が生まれて盛り上がります。

ピッタリを狙うビッド、所謂イグザクトビッドは全員が自分の目標をクリアするために主体的にトリテに参加することができます。
一方でそれぞれのプレイヤーがどの程度目標達成しやすいかは読み取れない場合が多く、予定が崩れやすい点は注意が必要です。特に他のプレイヤーも他人の目標達成を妨害するためにアナーにはアナーをカバーしてくるでしょうし、ローカードをぽろっと勝たせようとしてきます。予定が崩れてからのリカバーは腕の見せ所であり、悩ましいところではありますが、予定が簡単に崩れてしまうようでは見通しが悪くなってしまいます。
イグザクトビッドを導入する場合でもプレイヤーにトリックを取らせたいか取らせたくないかを考えておくとゲームの展開が制御しやすいと思います。

配りきりかカードを残すか

カードをすべて配るとカウンティングが効きやすく実力差が出やすくなります。逆にカードを残すと、特にハイカードの勝敗が読みづらくなります。配り残しをウィドーとして手札調整に使う場合や配り残しを利用して切り札を決めることもできます。
ポイントテイキングの場合、ポイントのカードの配り残しがある場合の処理を定める必要があり厄介です。ビッドがある場合は挑戦者サイドのものになるゲームも妨害者サイドのものになるゲームもあります。最終トリックの獲得者が配り残しのカードを合わせて獲得する例もあります。

その他

そもそも何人で遊ぶのか、何トリックでゲームが終了するのか、スートは何種類あるのかなどが可変な値となります。
トリック数は、迷ったらゲーム時間が短くなるように抑えめにするほうが無難です。同じ理由で、人数が多いときのほうがトリック数が少ないほうが無難ですが、トリック数が少なすぎると一方的なゲーム展開が生まれやすいのが悩みの種です。
スートの数はトリック数から使うカードの数が決まるのでそこから決まります。1スートあたりのカード枚数はプレイ人数の2倍以上あったほうが良いと思います。つまり全員が同じスートを持っていたら2周できる枚数は欲しいです。

トリテをシステムとして使う

トリテの面白さを引き出す方向ではなく、トリテはあくまでカードをプレイする規則として使い、ゲームのメインシステムは別に用意するという場合もあると思います。カードプレイの制限としてマストフォローを採用したり、他プレイヤーの動向に注目させるためにメイフォローのルールを入れたり。ゲームのコンセプトに合わせて自由に設定していただけるとよいと思いますが、トリテがメインでないゲームの場合はトリテ部分をなるべく簡略化してトリテ以外のルールを前面に押し出す形で制作したほうがうまくいきやすい印象です。

トリテ制作をしよう

前の章で調整ポイントをつらつらと書いてきました。
実際に自分でゲームを作るときは必要条件からゲームのルールを導き出す場合が多く、ルールを選んでいくというよりはルールを生み出していくほうが多いのですが、チェックポイントとその特性を意識しておくとゲーム制作の詰めの部分がやりやすくなるのかなと思います。

決めることが多くて大変に見えるかもしれませんが、実際はどちらのルールを採用しても面白いというケースも多く、トリテは気軽に作ることができるというのは間違いないと思います。

来年も面白いトリテに多く出会えることを願ってやみません。

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