TTP賞2020 1次審査通過作品の感想

トリックテイキングが好きな皆さんこんにちは。りかちと申します。今回はこの場を借りてTTP賞2020の1次審査通過作品の感想などを書いてみようと思います。プレイ感などはすべて想像で書いていますので、実際のプレイ感と異なる点も多々あるかと思います。それではよろしくお願いします。

TTP賞の応募作品のルールはこちらにあります。興味がわきましたらぜひ読んでみてください。

77 Schwartz Oder Wei? 黒か白か

なんとビッドが全トリックか0トリックしかないという究極のトリックテイキングです。ビッダーはダミープレイヤーの助けを借りながら全トリックか0トリックを目指します。ビッドの方法もカードを配りながらリアルタイムで早い者勝ちという思い切りのよいルールです。切り札を決められる上に2人プレイでは全体の3分の2のカードをコントロールできるので、意外とチャンスはありそうな気がします。
全トリックを目指すゲームは私自身も以前考えたことがあるのですがうまくまとまりませんでした。気軽に全トリックを狙えるゲームは気になります。ぜひ遊んでみたいです。

76 ゴールドマイン

メイフォローの2人用トリテです。6トリックで27点を取り合うのですが、各トリックの得点は秘匿されており、情報を得るか手札の交換をするかを繰り返しながら得点を稼いでいきます。
6トリックで切り札が6枚ありメイフォローなので、切り札以外のスートではなかなか勝ちにくそうです。一方で大事な切り札をいつ使うかは事前に情報を得ないと判断が難しく、山札に眠る切り札を探しにいくか、手札の切り札の使いどころを探す情報収集か、判断が悩ましいトリテです。情報の格差を逆手に取って切り札のロウカードをリードしてブラフをかけるのも楽しそうですね。
相手より多く得点したら1勝というシステムではなく、得点の累積で50点を目指すゲームになっています。3,4ディールですね。最後まで気を抜けない展開になりそうです。

68 The Settai 〜ヘッポコ専務を勝たせろ〜

ハーツのルールをベースとした協力トリテです。1人が専務役になるのですが、専務は何も考えずに低い札をフォローする上にハイカードを捨てられるチャンスでも何故か全然関係ないスートのディスカードにこだわります。しかもどういうわけか運も悪くて手札にハイカードが集まります。そしてさらにそんな勝ち目が薄い状態で単独1位でないと気が済まない。なかなか難しいミッションです笑
専務のボイドスートを見つけて専務のハイカードを捨てさせる展開になるのでしょうか。お互いにロングスートが走れるように平社員同士の手札のエントリーも考える必要があり、専務以外の3人の心労が偲ばれます。このゲームの後にハーツをやると一層盛り上がりそうです笑

63 トリック&ゴール

シンプルな1トリック2点に各種条件達成1点を追加したトリテです。条件達成は38枚からランダムで10枚。獲得されるたびに補充されます。比較的容易なものが多くお気軽に寄り道の得点が得られます。
リードプレイヤーの方が自由度が高く、条件達成を狙いやすいので基本的にはトリックを取った方が強いように見えます。一方でトリックの勝敗に絡みにくいカードにも活躍の機会があり、考え所がほどよく追加されていて楽しそうです。

18 ガットーネ

おそろしくシンプルな2人用トリテです。2人なのでフォローで出すカードはほぼ一意に決まります。シンプルすぎてこれで完成とするのにかなり勇気がいるくらいシンプルです。ぜひルールを読んでみてください。
使うカードはわずか2スートで14枚。5枚ずつ配り、4枚伏せられます。配られた手札5枚で3トリック取れそうならガット、全トリック取れそうならガットーネを宣言します。オープニングリードはビッダーではない方なので、オープニングリードから3たてされるとビッドが失敗になってしまいます。ビッド失敗は失点が2倍なので、スートが2つしかないですが、ビッドには両方のスートのストッパーが欲しいところです。
お互いにビッドをしなかったら獲得トリック数を抑えるガッティーノが始まります。ビッドできないほど弱い手札なら負けてみろというわけですね。配り直しにせず別ゲームにする仕組みは好みです。

59 フィミカ

与左衛門さんの新作は4人用のマストフォローノートランプのトリテです。4ラウンドで獲得したトリック数が得点になりますが13トリック以上獲得すると10点減点されてしまいます。また、各ラウンドで他人とトリック数が同じになると減点です。
各ラウンドで3トリック程度取れるとちょうど良く12点を目指せますが、3トリック付近ではトリック数の一致が起こりやすくなってしまいます。自然と少ないトリックで抑えるラウンドとたくさんトリックを取るラウンドが生まれ、目的の不一致からゲームに波乱が起きやすくなっています。また、4人のうち1人は13トリックを超えるのでオーバートリックを目指すようになり、第4ラウンドは少ないトリック数で被りが発生する恐れがあります。狙った結果が得にくく最後まで気が抜けないゲームです。
このゲームの最大の特長についてまだ触れられていませんでした。なんとこのゲーム、カードのシャッフルはゲーム開始時のみなのです。第2ラウンド以降は今までの手札から2枚選び、下家から渡される11枚と合わせて新たな手札とします。つまり下家に手札の85%がバレている状態で次のゲームが始まるのです。どのカードがどこにあるかの情報は理論上1ラウンドで大体判明します。
さて、手札交換の2枚残すルールがこのゲームにどのように作用するかを説明しましょう。先程このゲームは勝ちたいラウンドと負けたいラウンドができると説明しました。あなたは第1ラウンドで思うようにトリックが取れませんでした。第2ラウンドはたくさん勝ちたいと考え、手元の13枚のうちハイカード2枚を残し、残りを下家に押し付けます。すると第2ラウンドの下家の手札は、第1ラウンドよりさらに弱いカードが集まってくるということになりかねません。このように2枚残すルールがうまく機能して手札の偏りはラウンドを経るごとに成長していきます。第4ラウンドのクライマックスを無理なく表現しており、脱帽です。

02 相席

最初の4トリックが終わった時点で2つのテーブルに分かれて続きを行うトリテです。
ゲームの得点ルールはカードを配るときに余った1枚により決定され、第一テーブルと第二テーブルのどちらに着くべきかを考えながら慎重に最初の4トリックをプレイすることになります。

スペードのゲーム
どちらのテーブルもトリックをたくさん取るほど得点が高くなります。第一テーブルの方が得点の伸びがよいですが、第一テーブルに着くためにハイカードを切らねばならず、ライバルも強力になりそうなのが悩みどころです

ダイヤのゲーム
どちらのテーブルでも得点を取らないことを目指します。第一テーブルの方が1トリックごとの失点が大きいので13トリックを通してうまく逃げられるかが鍵になります。

ハートのゲーム
第一テーブルはトリックを取るほど得点が得られ、第二テーブルはトリックを取らない方が得点が高くなります。手札と相談して希望のテーブルに着けるかが重要になりそうです。

クラブのゲーム
カードに得点が着きますが、得失点のルールが第一テーブルと第二テーブルで逆になります。4つのゲームの中で一番大きく得点が動く可能性があり、しかも得失点のルールが3トリック目まで決まらないパターンもあるのでハートのゲーム以上にどちらのテーブルに着くかの見極めが重要になります。

勝ちたい人と負けたい人がどちらも存在するトリテはかなり好きなのですが、最初の4トリックでテーブルを分けるという思い切ったアイディアは舌を巻きます。1ディールごとに隣のテーブルの得点情報とドラマが聞こえてくるのも楽しそうです。

78 ザラバ22

3人用のちょっと変わったマストフォローノートランプのトリテです。トリックで獲得したカードが得点になるのですが1枚あたり何点になるかはゲーム中に成長していく株価チャートによって決まります。株価チャートにカードがたまっていくにつれ、カードの得点が上がっていくのですが、いきすぎるとカードの価値がマイナスになってしまいます。
3人のトリテなのですが、リードプレイヤーはカードを2枚リードします。2番目のプレイヤーはそのうち1枚を選んでフォローし、選ばれなかったカードは株価チャートに移動します。
ゲーム終了時の得点は株価チャートにある同スートのカードの枚数で決まります。例えばスペードが3枚あれば手元のスペードは1枚につき3点、クラブがなかったら手元のクラブは0点です。ただし、株価チャートのカードのランクが合計22以上だと、そのスートは1枚につきマイナス1点になります。
プレイヤーは常に様々な要素に気を配ることになります。自分がたくさん得点できるスートの得点を伸ばすにはどうすればいいか、他人がたくさん獲得しているスートをどうにしかしてマイナスにできないか、2枚のスートのどちらをフォローしてどちらを株価チャートに送り込むべきか、このカードは獲得すべきか、それとも他人に押し付けてマイナスまで成長させるべきか。
得点システムも自然とドラマが生まれる仕組みになっています。株価チャートにカードが集まってくるにつれ、得点が高くなる一方でバーストのリスクも高まってくるのです。高得点で踏みとどまらせたいプレイヤーとマイナスに突き落としたいプレイヤーの駆け引きは手に汗握る展開となるでしょう。
また、丁寧に行われたと思われるバランス調整もこのゲームの魅力の一つです。カードはQとKを除いた1スート11枚。バーストの基準は22以上。Aは最弱ですが株価チャートでは11扱い、Jは10となります。したがってカード2枚では絶対にバーストしません。同スートリードを2回繰り返すとカードが8枚使われ残り3枚。ギリギリバーストするかどうかというところになります。丁寧にプレイしていけば自分のロングスートを得点化しやすそうにも見え、一方で簡単には得点を確定させられない手が届きそうで届かないところにゲームのコツが見え隠れするニクいゲームです。

いろいろなルールを読ませていただきましたがトリテはベースがしっかりしているのでルールの作用も読みやすく、ルールを読んでいるだけで楽しいですね。これらのゲームはいつでも大歓迎なので、ぜひお気軽に誘ってください。

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